自転しながら公転する

著者 :
  • 新潮社
4.00
  • (880)
  • (1271)
  • (592)
  • (110)
  • (19)
本棚登録 : 12176
感想 : 1055
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103080121

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 恋愛、仕事、親の世話。めまぐるしい生活。

    都(みやこ)の気の強いところもすぐ泣くところもわかる!とか読んでて凄く共感した。
    右へ左へ感情がジェットコースターのように揺さぶられる。

  • いっきに読むつもりではなかったのですが、
    読み始めたら止まらず、
    終わりが気になりあっという間に読み終わってしまいました。

    最後は結局、元の男に戻ったこと、
    なんであんなにいろいろあったのに、
    あの男と結婚したのか、

    意味がわらかない。学習しない女。
    ダメ女はダメ男を選ぶ等の感想をネットでみた。
    失敗を糧に学習し、いい男を見つけて幸せを掴む…

    みんなそれを願い幸せを求めるけれど、
    つらかった経験の伏線が幸せとなってすべて回収される程人生そんなに甘くない。

    やっぱり理屈ではなく、惹かれ合ってしまう人はいるんだと思う。人がどう思おうと。いいか悪いかはわからないけれど、最後は元の男性に戻った事がリアルでわたしは良かったです。

    小説の最後に、『別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ』

    という主人公の言葉があった。
    今の世の中、SNSで幸せ像のようなものが作り上げられ、そこに到達しないと、自分の人生はなんてつまらないんだろうかと思ってしまいがちになる。夢を持たないなんて淋しい。人生一度きりなのに、、、等の文言が人を苦しめることもある。でもそんなの追い求めなくてもいいんだよって言われた気がして、気持ちが軽くなった。

    この小説の著者の山本文緒さんは亡くなられたと知り、非常に残念。もっとたくさん新しい作品を読みたかった。

     

  • 社会人になって数年が経ち、アラサーになった今、この作品の主人公が抱える悩みや不安に共感することが多く、心を揺さぶられる思いをしながら読んだ。

    幸せになりたい。だれもがそう思うはずで、だけど幸せの形は定まっていなくて、そこが苦しい。普通に(普通にも形はないけど)、結婚して子供を育てて、家を持ってお金があって……そういう古き良き人生観にとらわれている人の多いことは、きっとたくさんの人が感じている。感じているけれど、なんとなくそれがひとつの「型」になっているため、なんとなく「ああならなきゃ」と思ってしまう。

    主人公の周りを取り囲む問題は、仕事・恋愛・介護・自立など様々。どの問題を取っても、考え方は人それぞれで、正解はなく。幸せになりたい主人公はその「正解のなさ」から、しょっちゅう不安に駆られる。

    この作品が教えてくれるのは、完璧を求めてしまうとそばにある幸せが見えなくなってしまうよ、ということだと思う。ひとりの女性の人生の一片を覗きながら、私は自分が今大切にしたいものを大切に育てていきたいと思った。

    また、タイトルの「自転しながら公転する」にこめられた意味もしっくりくる。私たちはものすごいスピードで回りながら、もっと大きなものの回りも同時に動いている。その軌道が同じところを通ることはない。
    自分がもがき苦しんでいることとは別の、大きな力に動かされたり影響されたりする私たちを的確に表しているように思った。この作品は、自転しながら公転するたくさんの人の苦しみに寄り添ってくれる。

  • これ、オモロいですよ。主人公の女性はマジ苦手なタイプで、まぁ、はっきり言って
    素っ頓狂かっ。って感じで嫌いっす。
    でも、オモロい。気づけば、かんいちおみやに夢中でした。

  • 「自転しながら公転する」これは、上手い表現だ。
    本を読む時は、いつもその世界に浸り、没頭し読むのですが、この作品はなんて言うか、自分も一緒に成長している感じがしました。
    今の時代の恋愛観や諸事情が絡み合い読み応えのある作品でした。

  • 本屋大賞ノミネート作品と言うことで、久しぶりに山本文緒の作品を読んでみることに。
    20代、30代の悩みを誠実に書いていると言うことは、帯で十分伝わってくる。
    年齢を重ねるごとに、「うまくいかないなぁ」と感じることは、誰しも増えて来ることだと思う。そこに焦点を当てた今作は確かに共感も得られるだろうが、個人的には全編に漂う主人公・都の人を見下す態度が不快だった。
    例えば、冒頭シーン。
    先日までは都内のおしゃれなカフェで、ソイラテを呑みながら、人混みを眺めるのが日課だったが、母の看病の為、地元である茨城に戻った都は、だだっ広いアウトレットモールの駐車場から高さ120mの牛久大仏を眺めながら、軽自動車の中で朝食を摂る。
    阿見のアウトレットは、確かに平面的で夏場などは日影がほとんどない。それでも、阿見のアウトレットが好きな人はいるし、アウトレットのバーゲンを楽しみにしている人は茨城県内ではなく、近県にもたくさんいる。
    都内ほど、おしゃれではないけれど、おしゃれなど価値観は人それぞれ。それをいちいち都の基準で批判しかしない主人公に反感しか感じない。
    親の介護で仕方なく茨城に戻ったとあるが、実際には介護ではなく、母親は更年期障害。もちろん人によって、差があることは分かっている。しかし、世の中には寝たきりや、命の期限のある親の介護をしている人はたくさんいる。都内への通勤圏内に土地や家を持ち、全然好感の持てない主人公が何故かアルバイトの職場で、評価されるのも、一生懸命仕事をしている人に対して、失礼な感じさえする。
    恋人の貫一にも、いちいち疑問を持って、中卒であることで結婚に悩む。高卒で就活もせずに、自分が好きなブランドにアルバイトで入り込んだ都に貫一を下に見る資格があるのだろうか?
    恵まれた現代においても、まだ就職の難しい人はいる。
    それを全て受け入れろとは言わないが、大した人間じゃない都の他人の評価が偉そうで、最後まで読んでいて、イライラした。
    コバルト文庫の頃から読んでいて、路線変換してから、そんなに読んでいる訳ではないが、都が実在するのならば、殴ってやりたいくらいむかつく主人公だった。
    貫一の話した「自転しながら公転する」の意味は分かるが、少なくても、都は自転すら出来ていない。それをラストまでに改善するかと思ったけど、全然変わっていなくて、残念でならない。

  • なるほど
    上手いタイトルだなぁ

    人はどうやっても過去には戻れないし、出会いも経験も一期一会

    この作品は読む人の年代や経験で印象が変わるのかなあと思った

    登場人物が実にリアル
    みんないるいる!

    一言に恋愛小説でもないし、かと言ってそれぞれが大きく成長するかというとそうでもないし……
    それぞれの人物の心情が、包み隠さずマイナスな部分も表現されているので、ダメ出ししたくなる

    いや、みんな甘いよ
    隙が多い
    甘い人々

    でもきっとこれが現実


    プロローグで始まり、
    物語が進むにつれてプロローグの謎が気になり、
    先が読みたくて2日で読了

    プロローグとエピローグは書き下ろしのようなので、後付けなのかな?
    上手く引き込まれました!

    この方の作品をまだまだ読みたかった
    残念です

  • 私は30代はじめ山本文緒さんの小説に夢中になった。恋愛に揺れ身の振り方に迷っていた頃にどっぷりと。
    7年ぶりの執筆とかで、この本の刊行当時、テレビで彼女の緩やかな笑顔を拝見した。直後膵臓がんの宣告を受けそして急逝された。

    娘にも読ませたいな。
    最後の母と娘の会話、せつなくて息ができない。

  • プロローグ・・・
    ふ~んどんな感じと斜めな気持ちで読み進めていく。
    が、どんどん話に引き込まれていく。
    アラサー女子の結婚、家族、仕事の悩み、ハラスメント、介護。。。
    プロローグから想像したエンディングはみごとに外れた。
    寛一お宮の行方。
    まさかのニャンさんの流れでずっこけ
    家族の関係性。
    最期までノンストップで読み切った。

    自転しながら公転する。
    生活、家族など
    繰り返しているようで、同じところにはいない。
    ぐるぐる回っているようで、進化しているんだ。

  • 都は私なのかなって、、、その性格も置かれた状況も今の私の悩んでる事まんま。
    人との繋がりって不思議だけど、本との繋がりも不思議。なぜこのタイミングでこの本を読もうと思ったのか、、、
    でも共感できるってことは都みたいな人はどこにでもいるんだろうな。私もそのひとり。
    読んでてリアルで泣いてしまった。
    今後の私はどうしたいのだろう、、、

全1055件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本文緒の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×