橋のない川〈第1部〉

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 11
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103111085

作品紹介・あらすじ

奈良盆地の小さな村"小森"。そこに住む人々は、いわれのない差別の壁に囲まれ、貧しさに苦しみながらもなお愛を失わず、明るく真摯に生きていた。日露戦争で父を失った誠太郎と孝二の幼い兄弟は、母と祖母の温かい手に守られて、素直に、感受性豊かに成長する。しかし、小学校に通いはじめる頃、彼らは、自分たちを包む、暗い不安な環境に気づきはじめる。級友たちの針のような侮蔑の言葉、そして、無言の圧迫…。それは、生涯にわたる闘いの幕開けだった-。"部落"の歴史にメスを入れ、人間の尊さを謳いあげる不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 1908年(明治41年)、奈良県の被差別部落を舞台に描かれた物語です。
    職場の人に勧められて図書館で探してみたらびっくり、1部でもわりと分厚いですが、7部まであるんですね。
    ただ、すごく読みやすいので厚さは全く気になりません。重いくらいで。

    物語の時代は、既に身分解放令が発令された後にも関わらずエタを穢れとして遠ざけたがり、交わりたがらない人々の姿が描かれていました。
    日本史で穢多・非人について習った時は、なんでえぐい政策だと思ったのを覚えています。穢多と規定された人以外にとっては、常に自分より下の存在がいて、辛くてもあいつらよりはマシだ、と思えて、穢れ仕事もすべて押し付けられる。そんな都合のいい存在ですが、血まで穢れていると言われ、親子代々受け継がれる穢多と呼ばれた人にとってはたまったもんじゃないですよね。
    大体、生まれた時から自由が制限され一方的に差別をされる存在なんて、絶対に間違っていますよね。

    物語ではエタ村の少年の目を通して「どうしてこんな謂れ無き扱いをされなければいけないのか」という憤りと哀しみがあり、人間が平等に生きることについて考えさせられます。
    人が誰かを迫害するとき、遠ざけようとするとき、その根底には誤った知識がある気がしています。ネットがこれだけ普及して私たちが容易にいろんな情報を手に入れられるようになった今でもなお、正しい知識を適切に手に入れて知るということは難しい。
    でも、だからこそ伝えたい真実、正しい知識のある人はそれを世に広める責務があるのかもしれないですね。この本の存在は、日本人にとって宝のようなものだと思います。

    それから、こんなにも自分の力ではどうしようもない辛くしんどい状況の中生き抜いてきた人たちの哲学や処世術にも目がいきます。辛いことがあったとき、親や家族に心配はかけたくない、というのはいつの時代も共通の認識なのですね。
    辛さを乗り越えるには、分かち合ってくれる仲間の存在が本当に大きいことが本書から見て取れます。

    日本人として自分の祖先が歩んできた道を知ることも大切ですね。自分からは手に取らなかったであろう、読めてよかった1冊でした。

  • 三葛館一般 913.6||SU||1

    部落差別の歴史と共に、部落に暮らす一家族の兄弟の成長を描いている本書。
    部落差別という重いテーマを扱っていますが、差別と闘いながら成長していく兄弟のたくましさや家族愛が綴られていて、感動をおぼえたり心和みながら読み進みます。
    また、本書を一読すると、人がつくるルールや定着した概念の恐ろしさを実感し、それらにとらわれることなく、自分自身の感じたことや考えを大事にして、後悔しないよう生きていくことの大切さを痛感します。
    全部で第7部まである大作ですが、長いお休みの間などに本書にチャレンジして、部落差別について一度考えてみませんか。
                                  (かき)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=32966

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