無垢の領域

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103277231

感想・レビュー・書評

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  • 観光客というものは、おおむね数週間ないし数ヶ月ののち家にもどるのに対して、旅行者は、いずれの土地にも属しておらず、何年もの期間をかけて、地球上の一部分から他の部分へと、ゆっくる動いてゆく  ポールボウルズ シルタリングスカイ 極地の空

  • 釧路の図書館で館長を務める林原の元に、生活能力に欠ける妹の純香が移り住む。一方、書道家の秋津は妻玲子の収入を頼りに、介護の必要な母と暮らしていた。秋津は、書道に天才的な才能をもつ純香に関心を寄せ、自らの書道教室に呼ぶ。これをきっかけに、林原と玲子は接近して行き・・・
    人の狡さや嫉妬心を描くのが上手く、ずっしりとのしかかる。対比する純香が輝いて見えるも、それがまた余計に心に刺さる。しかし、ずっと詐病というのは少々疑問。終わりは予想の範囲内。

  • 桜木紫乃さんらしいどんでん返しなラスト

  • 大人はしれっと上手に嘘をつくものなのだな。
    男女の機微や家族の繋がりだってコントロールしながら継続できなくてはいけないのだ。
    純粋だった純香もあんなことになり気持ち的に救われない。
    義母の気持ちも計り知れず、もう辛くなってしまった。

  • 図書館の館長である林原の妹純香がその土地に来た時から、人間関係が変わり始めた。
    人の心の多面性が、その土地の暗さと相俟って読ませる。

  • 結局、作者は何を伝えたかったんだろう?
    純香の無垢か? 精神障害の問題であって無垢とはちょっと違うんじゃないかな。
    なんだかハッキリしない恋愛小説だった。

  • みんなドロドロ。そんな中にいる純香だけが無垢な存在。秋津が脆くて儚そうだったのにラストが衝撃的であの脆さや儚さは汚さの裏返しだったのかと。個人的には伶子と信輝にもっとドロドロを演じて欲しかったかな。秋津はこの後、どうやって生きてくのかな。

  • 913.6サク
    2015.11.28 挫折
    林原信輝と純香、秋津龍生と怜子

  • まさか泣かされるとは思ってなかった。
    私は自分自身に他人より能力がない事が悲しいと思っていたので、彼女の死に様は本当に悲しかった。

  • 指定管理の図書館長のもとに、長い間一緒に暮らしていなかった異父妹が一緒に住む事になった。少し成長に遅れのある妹は祖母と暮らしていたが、祖母が亡くなったのだ。
    亡くなった母は、著名な書道家で、妹はその才能を受け継いでいる。
    ここに、図書館で作品展を開いていた売れない書道家の家族が絡み、介護の負担など描きつつ、衝撃のラストへ。
    重苦しかった。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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