- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103313823
作品紹介・あらすじ
岩塩、なんと崇高な、魅惑的な鉱物であろう――作家生活十年の記念碑的小説集。芥川賞受賞の鮮烈なデビュー作から、さらに千変万化する緻密な小説世界。日常と地続きの異界へ。自分の内なる非日常空間へ。探索は果てなく進み行く。〈これが今の僕の「身体」である〉。六年ぶりの小説集。「無声抄」「岩塩の女王」「修那羅」「ある平衡」「幻聴譜」「蝸牛邸」―― 典雅な言葉の結晶が異空間を創出する六篇を収録。
感想・レビュー・書評
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短編集。「無声抄」、「蝸牛邸」は京都の地名が出てくる。
失語症のような感覚、言葉の不安さを感じさせるような、独特な世界観がある。
ちょっと難解なときもあるけど… -
いい とか
いや とかじゃなく。
10年ぶりの新刊でも、諏訪さんらしい感じも少なく。
あとがきを読んで分かったり。
読んでいる間中、幻惑され続ける。 -
「無声抄」
「岩塩の女王」★
「修那羅」★
「ある平衡」
「幻聴譜」★
「蝸牛邸」
表題作は一見ドイツ文芸っぽいが、親知らずが無数に転がる岩山、という書き出しはいきなり、肉体と無機物にこだわる著者の真骨頂。
それがさらに「親さえ知らず」という終盤に至り、急激に賽の河原だとか地獄の業だとか国境を飛び越えてきてびっくり。
続く「修那羅」はまるで泉鏡花。
時代もそうかと思いきや、唐突にメールやプロデューサーやと出てきて、おお、現代にこの小説が可能だとは。
もっと読み込みたいのは「幻聴譜」。