0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103324621

作品紹介・あらすじ

お金に依存するのはもう止めた! すべて無料で暮らすための「カネ無し生活」マニュアル。たとえ失業したって怖くない。対価なしに不要品を貰う、余っているものをシェアする、まだ使えるものを拾う、元手ゼロで稼ぐ、無料の公共サービスを利用する、自分で栽培した作物を食すなど、収入が激減しても豊かに暮らしていけるノウハウが満載。お金のかからない生活を実践する著者が、新しい「幸福の形」を教えます。

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃人生の書と心に決めたのが
    カミュの『異邦人』。
    それは今で変わらない。
    人生のネクストステージにおいて
    現在人生の書と思うのは
    中野孝次の『清貧の思想』と
    養老孟司の『無思想の発見』。
    それに連なるものとして
    phaと大原扁理の本がある。
    この辺の発想は小池龍之介の『しない生活』や
    玄侑宗久の『無功徳』などに
    端を発している気がする。
    朝日のアフロ記者だった稲垣えみ子の
    本なども興味深く読んだ。
    その流れのなかに必然的に
    鶴見済の名前も上がってきた。
    たしか『老後に備えない新哲学』を
    書いた鷲田小彌太あたりだったろう。
    pha、大原、鷲田そして鶴見済のように
    現代的なお金をかけない生活を具体的に
    意味を示して語ってくれる本は
    非常に学ぶものがある。
    先日待ち時間に図書館でphaの『持たない幸福論』
    を再読した時意を強くした。
    老莊や禅の話も好きで、並行して読むと
    更に趣が深くなる。

  • 現代のお金至上主義、お金があれば何してもいい、どんどん買って、どんどん捨てて、たくさんお金を使う人がエライ、というような風潮がいやでたまらない

    子育てや、楽しみはお金で買うんじゃなく、自ら作り出すような自助サークルを作ったりしながら模索しているけど、私の気持ちを理解してくれる人はほぼいないー笑

  • 0円で生きるためのテクニック集。
    実践しようと思わないで読むとつまらない本。

  • 0円(もしくはかなり少額)で生きるための知恵をまとめた本。
    こういう知識はいざという時、役に立つんだろうなと思った。
    例えば、誰かがいらないものをタダでもらう方法など。こういうのは使ったことないけど、フリーペーパーにもよくあるので知ってる(一応、うちの会社のグループウェアにもそんなやりとりが行われている時がある)。だけど、東京の世田谷区には、「くるくるひろば」という不用品放出用の常設店があるということは初めて知って、驚いた。家賃とかどうしてるんだと思ったら、カンパによって賄われているらしい。利用した人はだいたいカンパしているのだとか。
    ただ、0円で利用できるといっても、中には「それって普通に働いてるような」と思うことも。例えば、部屋に0円で泊めさせてもらうかわりに家事や子どもの面倒をするとか。
    後、新聞は駅のごみ箱から引き抜くとか。確かに、たまに捨ててる人みると、自分もくれないかなと思うことがある。漫画雑誌とか特にもったいないよなと思うことあるのだけど、あれって駅員に言ったらもらえたりしないのだろうか(言う勇気はない)。
    ゴミというと、店が捨てたゴミから無料で持って帰ることもあるとか。食品廃棄とかは本当にもったいないなと思う。うまいこと、生活保護受給者とかホームレスとかに配布できる仕組みが作られたらいいのだけど。フランスでは、2016年にまだ食べられる食品の廃棄を禁止して、慈善団体のへの寄付を義務付ける法律ができたらしい。日本でもこういう取り組みをやればいいのに。
    そういえば、ゴミの話で思い出したけど、まだ粗大ごみ収集が無料だったころ、捨てられていたテレビ台を持って帰ったことがあるのを思い出した。今は有料で引き取りに来るので、さすがに持ち帰るわけにはいかないだろうなと思う(300円と書かれたラベルが貼ってある)。
    なお、この本によると日本は意外とヒッチハイクのしやすい国らしい。確かにこれは意外。確かに、前にヒッチハイクで目的地までめざす企画の番組があって、結構乗せてもらえていたけど、自分なら乗せないだろうなと思った(そもそも、車の運転自体滅多にしないのだけど)。
    後、初めて知ったことと言えば、共産主義の「共産」という言葉は「共有財産」の略だということ(というより、意味かも)。いまいち共産って意味分からなかったけど、こう言われると分かりやすい。正直、この本を読んでいると、著者は共産党支持なんだろうなとは思った。
    そういえば、0円といえば、昔本町に無料のカフェ(播磨屋ステーション)があったような(いつの間にか無くなってるけど)。さすがに、カフェに0円は難しいんだろうなと思う。

  • この本は、行き過ぎた資本主義社会へのアンチテーゼなのだと思う。

    この世界がこんなに不安で生きづらく感じるのは、お金への依存度が高すぎるのが一つの大きな原因だと私も思う。

    それで、無料でできることを、この本ではたくさん紹介してくれているのだけれど、

    知ってたこともあったけど、知らなかったこともいっぱい載ってて、あぁ無料でまたは格安でできることって、こんなにあるんだ…世界はまだ楽しいのかもしれない。

    共有の話はとても興味深かった。過去にはいろんなものを共有していた人類が、個人所有するようになり、個人所有も頂点を極めた後(2000年あたり)、貸し出しの文化が先進資本主義諸国で始まっている。

    ところが、私にとって最大のネックになりそうなのは、私は人間関係にかなり苦手意識を持っているということだ。

    結局、お金を使って、あまりまたは全く人と関わらずにいられた方が、気持ちが楽なのです。多分そう思う人がそこそこいて、それで世界がこういう流れになってきたのではないか。

    第五章「助け合う」には、昔は人々が助け合う仕組みがあったのだけどそれにはデメリットもあったとある。

    そこで現代では、一方的・慈善的な「ボランティア活動」が多い。ここには自らが助けてもらう権利はない代わりに、助ける義務も長期にわたる人間関係もない。

    あとがきより;

    人づきあいが大変になってしまう人、特に気を遣いすぎる人は、無理してまでそれをやる必要はない。ただでさえ学校や職場の人間関係が濃すぎる社会なのだから。自分が生きやすくなることを何よりも優先するべきだ。個人の生きづらさを減らすことが最も大事だとは、自分が言論活動を始めた九〇年代の当初から言い続けていることだ。


    自分が苦しくない範囲で、ならば、私にもやってみたいことがいろいろある。

    Airbnb(カウチサーフィンは自分にはハードル高すぎると思うので。)
    WWOOF(ずっと前から憧れだけど私のような中高年にもできるのだろうか?)
    海外ボランティアもできればやってみたい…
    家庭菜園(ネギ、ニラ、トウガラシ、三つ葉)をやりたいな♪

    あと、自然からの贈与として、木や花、野鳥、景色などを眺める、というのも、すごく素敵な時間の過ごし方だなぁ、と思った。


    ところで、老後の不安は貯金では解決しないと思う(そもそも貯金できないという事実は棚に上げておく)。そこで、私は「きぼうのまち」に寄付をすることにしました。

    https://www.houboku.net/pj/kibou/

    もし今後、お金が無いなどの理由で生きていくのが難しくなったら、ここに行けば大丈夫っていう場所を作ってもらえたら、それはめちゃめちゃ安心なことだと思う。そのために少額ですが寄付します。ほんとに少額だけど。


    P.S. この本の作者さんって「完全自殺マニュアル」の作者さんだったのか…(^^;なんかイメージ違うけど。

  • 物をあげたりもらったりする贈与経済による無料のやりとりは、人間関係が明らかに濃くなる。お金を使うことは人間関係の省略でもあったのだとわかる。資本主義(お金儲け最優先主義)は格差、環境破壊、過剰消費などの問題を生む。儲けのためなら天然資源の浪費、ゴミの撒き散らしも厭わない。

  • 象徴としてのモノ(事物)と、それがないような諸世界(0円)を考察する

    本書は「0円生活圏」と、ある共同体の諸システムの考察をしながら、併せて、
    その無条件的な、あるいはある何らかの条件の下の諸方法、諸アプローチや、
    その営みの実践ができるような書である。
     (まえがき)
     ・ここに書いてあるのは、(~)にもとづいた無料の生活圏を社会のなかに広げるための方法(~)
     (5頁)

     (あとがき)
     ・ひとりでできることもたくさん載っている(図書館を利用する、自然鑑賞、野菜を育てるなど)
     ・無料の生活をしているうちにできてくるものは(~)
      そのような(~)(諸システムなど)との距離を自分で決めることができるような(~)
     ・決まった場所があってもなくても、それはある種の居場所とも言えような、ある何らかの(~)
     (ヒトや諸共同体・道具との、ある程度の距離からの諸視点)(218,219頁)

    本書では≪無償の贈与(純粋贈与)≫といわれるものの考察もなされているが、
    仮に西欧世界のような一般的といわれる贈与が<無>であるとすれば、
    その<無>に対して意義・意味づけられたモノ(象徴)として、
    ある事物(資源)を加工したり、生活を営んでいるのがヒトであるのかもしれない、
    とも考察することもできる。
     (贈与といわれる概念の二重性・両義性(空性・恣意性))
     ・太陽は意図があって光っているわけではなく、単に光っているだけだ
     ・温泉はお湯をわれわれが使おうが使うまいが、そこに沸いているのであって、
      われわれのために沸いているわけではない
     ・植物や動物の行動(営み)が利他的か利己的か一概には言えない(~)(211頁)
     ・人類は自然界から手に入れる≪もの≫を、無償の(~)と受け止めた
     ・この見返りを求めない自然界の(~)に最高の(~)を見出してきた(212頁)
      (何らかの意義・意味づけがない、諸項のない、ある何らかの連続性)

    以上のような諸共同体の諸システムとして、一例を挙げるとすれば、
    太陽や森などから無償に得た事物を捧げものとして、
    それ自身(太陽や森など)に対して、返礼する・返すような諸世界や、また、
    アルカイックな社会・未開社会などの、あるモノを象徴交換などの方法をとりながら、
    象徴的なもの自体(諸共同体の象徴)を消費しつくすような、
    そこには返礼に対するものとしての贈与が(結果的に)相殺されるような諸共同体のシステムもあり、
    それとは対照的に、使いきれないくらいの資本(象徴)を蓄積しながら、
    そのシステム自体を蓄積(象徴の蓄積/再生産・剰余・蓄積)しているような、
    諸共同体のシステムもある、といわれるようなことから、
    諸共同体における諸システムは自明なものではない、と本書から考察することもできる。

     (『論理哲学論考(岩波文庫)』引用)
     ・(~)が見るものすべて、また別のものでもありえた。
      およそ(~)が記述しうるものすべて、また別のようでもありえたの(~)
      もの(こと)にはアプリオリな秩序は存在しない(断章5634)
     
     (『宗教の理論(バタイユ)』引用)
     ・供儀(la sacrifice)はある失われた価値を<その価値の放棄>という手段によって復原するという点で(~)
      犠牲として捧げるということは殺すことではなく、
      <放棄する(アバンドネ)>ことであり、贈与する(ドネ)ことである(~)
      保存する世界(システム・象徴・蓄積)から外へ出ることが(~)(63)
      供儀においては、捧者はどんな有用性をも免れている(~)
      捧物はまさしく迅速に消尽の世界へと通過する(64)

     (記号の消尽/度合い)
     ・日本では古くから最初の収穫物を「初穂」として(~)に捧げる(~)もあった(214)
     ・バツアツ共和国の諸社会の贈与の体系
      (① お返しがいらない/② お返しが期待される・お返しが必要)(213)

     ・北アメリカのインディアンが行う「ポトラッチ」(~)
      部族の首長などが客(他部族)を招いて開くこの宴は(~)
      貴重な財産を目の前で燃やしたり、壊したり(~)
      (使用しきった・使いきられた象徴/交換/消費・消尽)
      (両義性もまたありうる)
      (対抗贈与的な<蓄積と消尽の逆転>による象徴の蓄積(消尽の象徴)/項が残る)
      (<無>/諸システム・象徴と、その逆説/度合い)(39頁)

    参考図書
    『生物から見た世界 (岩波文庫)』
    『消費社会の神話と構造 普及版』『象徴交換と死 (ちくま学芸文庫 ホ 1-1)』
    『不可能な交換』『パワー・インフェルノ(ボードリヤール)』『誘惑の戦略 叢書・ウニベルシタス』
    『呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫)』『宗教の理論 (ちくま学芸文庫)』
    『言語・思考・現実 (講談社学術文庫)』『文化人類学と言語学』
    『ソシュール小事典』『言葉とは何か (ちくま学芸文庫)』
    『ウィトゲンシュタイン全集1/全集8/全集9』
    『ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観』
    『意識に直接与えられたものについての試論 (ちくま学芸文庫)』『物質と記憶』
    ------------------------------------------------------------------------------------
    (諸システム(象徴としての事物の蓄積」を考察する)
     ・太陽は意図があって光っているわけではなく、単に光っているだけだ
     ・温泉はお湯をわれわれが使おうが使うまいが、そこに沸いているのであって、
      われわれのために沸いているわけではない
     ・植物や動物の行動(営み)が利他的か利己的か一概には言えない(~)(211)
     ・人類は自然界から手に入れる≪もの≫を、無償の(~)と受け止めた
     ・この見返りを求めない自然界の(~)に最高の(~)を見出してきた(212)

     ・かつて人間は自然界から衣食住すべての材料を採ってきては、加工して使っていた(214)
     ・日本では古くから最初の収穫物を「初穂」として(~)に捧げる(~)もあった(214)
     ・バツアツ共和国の諸社会の贈与の体系
      (① お返しがいらない/② お返しが期待される・お返しが必要)(213)
     ・北アメリカのインディアンが行う「ポトラッチ」
     (象徴・贈与を消尽/無に返す/両義性もまたありうる)(39)
     ・場の資本化(象徴化)(公道から屋台が消えた)(116)
     ・消費しきれないくらいの事物(モノ)が蓄積されている諸共同体
     (消費・再生産・剰余/反復ループ)
     (返礼しきれない贈与(象徴)/諸システムの象徴の蓄積(負債)/他者性の再分配不可能性)
     (無条件的に触れることができない他者性/不可能な交換)

    (「遊ぶ・触れる・消尽する・返す(剰余を消尽する・0円や無に触れてみるなど)」)
     ・ある何らかの感覚的なもの、変幻自在の雰囲気に触れてみる
     (夜、明け方、暮れ、野生、鳴き声、土、海、山、散策/即自的、無条件的、無定形的なものなど)
     ・育てる(作物をつくる、野草など)
     ・システムの記号(税・剰余・象徴記号への結びつき)を弁別しながら消費する(図書館など)
     ・ある剰余(物=オブジェ)を消尽する(衣食住モノなど、使いきって返すなど)
     ・廃棄・ゴミ(加工された資源が消費されたモノ)を消費する・返す(など)
     ・諸ループ(消費・再生産・剰余/反復)から、ある程度の距離がおかれた諸視点
     (本書には以上の事項以外にも、様々な諸方法の記述がなされている)
     (太陽、植物、動物、鉱物、場、自身の剰余、0円圏、無、交換できないもの)
     (ある記号の二重性の連続性/不可能な交換の考察)
     (以上の事項は、
      何らかのかたちで自身に反ね返ってくるような鏡(他者性)のようなものかもしれない、
      と考察することもできる)

  • 本書「0円で生きる」では、資本主義の問題、また贈与交換のメリットなど実際の事例が挙げられておりとても興味深かった。
    その中でも、「キャンプワークショップ」と呼ばれるものは、ぜひ挑戦してみたい。

  • ☆頭でっかちが鼻につくが、気にしないで読むとよい。
    1.タダでもらう:ジモティー;メールが来るように設定。mixi:あげます&ください コミュニティ。Freecyle:アメリカ
    不要品放出市 0円ショップ、不要品を回す店(もらうのも持ち込み自由、家賃はカンパ)。realy realy free market 、givebox(ドイツ)
    2.共有する
    自宅での食事会や飲み会。車の相乗り。
    3.拾う
    4.育てる
    ネギ:白い部分は育たないが、葉は数年。しそ。ニラ。とうがらし(プランターは無理)。三つ葉、サンショウ。みょうが、ニンニク(秋買って)。
    ハーブ:オレガノ、タイム、ローズマリ-、ミント、レモンバーム
    リーフレタス、ルッコラ、水菜、ラディッシュ、小松菜、ほうれん草、春菊、ミニトマト
    野草:たんぽぽ・ハルジオン・ヒメジオン・ツユクサ・ハコベ・ヤブカラシ:茹でてアクを抜く
    よもぎ、雪の下:天ぷら
    茶;柿葉、びわの葉、どくだみ、ミント、ローズマリー:陰干しで10分煮出す。

  • 「お金がない」と嘆いている人は嫌いです。
    病気とかやむを得ない事情がある方はともかく。
    嘆く前にこの本を読め。
    そして、頭を使ってほしい。

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著者プロフィール

鶴見済(つるみ・わたる)
1964年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒。複数の会社に勤務した後、90年代初めにフリーライターに。生きづらさの問題を追い続けてきた。精神科通院は10代から。
つながりづくりの場「不適応者の居場所」を主宰。
著書に『0円で生きる』『完全自殺マニュアル』『脱資本主義宣言』『人格改造マニュアル』『檻のなかのダンス』『無気力製造工場』などがある。
ブログ:鶴見済のブログ(tsurumitext.seesaa.net)
Twitter:鶴見済(@wtsurumi)

「2022年 『人間関係を半分降りる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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