何様

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330622

感想・レビュー・書評

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  • 初読

    「何者」のスピンオフ。
    「何様」というタイトルにすべて帰結する、うまいなぁ。

    「水曜日の南階段はきれい」
    光太郎が何故出版に拘ってたか、忘れられない人って誰?
    何者でぽっかり浮いた疑問に充分過ぎる答え。
    高校生のきらきら、上手いなぁ…

    「それでは二人組を作ってください」
    でたー、理香!理香の嫌なところ、すっごくよくわかるよ!w
    宮本君のダサさというかバカさというかも。
    この2人の痛々しさ、本当に知ってる。
    あまり救いがないようなラストだと思うけど、
    バッドエンドにも感じない読後感。

    「君だけの絶対」
    ギンジ君は成功?して何者かになれたんだね。
    演劇を観に来る、来れる人だけが見る事の出来る生き辛さへのエールね。
    うん。

    「何様」
    えー、誰だ?って思ったら、面接の眉毛カッターのあいつか!
    1%の本気の瞬間。

  • 人の心の中にある、わざわざ言うまでのこともないんだけど、ずっと引っかかっているもの、を、書くのが上手いなーと思いながら読みました。
    人の目を気にしながら生きている日々に疲れていたり、ふと言われた一言がずっと重しとなっていたり。誰もが持っているもの。その荷物を下ろせたとき、本当の自分を認められるのではないか、と思える作品。

  • 図書館にて。
    最近子育て中のためたまにしか読めていない小説だったが、久々に堪能。
    ほかの方のレビューを読むと1話目の「水曜日の階段はきれい」が高評価のようだったが、わたしは「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」が好きだった。
    ただ残念ながら元の「何者」を読んでから時間が経ちすぎていた上、申し訳ないが「何者」はあまり印象に残っておらず、なおかつ後日談を求めるほど多分当時も登場人物に愛着を感じていなかったため、逆にこの本が何かの続きって言うんじゃなかった方が良かったなという気が今はしている。
    もう一度「何者」を読んでみたら違うんだろうか。
    それには今の自分が就活の頃から変わりすぎていて、あのテンションや環境を描いた小説を読みたいと思うほど余裕がない気がする。
    この本のせいではないけれど、ちょっと残念。

  • 他人を見下すことで自分の位置を確認する。あるあるネタだと思うけど誰もそんなことしてるなんて言わない。自分の汚さをわざわざ晒す必要ないし、そんなことをしたら自分が見下される。
    自分より下だと思ってた人が本当は自分よりしっかりとした考え方や、行動をしていたときのダメージは大きい。

    『何者』のスピンオフらしいけど、そういうの関係なしに面白かった。朝井さんはデビュー作から一貫して、感情の醜い部分をトリックとして使うのが上手な作家さんだ。

  • 『何者』を読んでからこの本を読んだ方が良かったかな。読んでないものは仕方なく。続きものでなかったので救いかしら。私にとっては、普通の短編集となっていまいました。
    作中あるよう、「大きい物語として」ではなく「生きづらさ」に「寄り添う」、「自分一人じゃない」と思えるような内容で書いていているのかなあと。若者の心の中をうまく書いてはいますが、嫌な面でもうまく書いてますね。ドロドロしすぎていないのがいいとこです。ただ、<むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった>は30代女性が主人公で、これは浅い。朝井さんが描くのは少々無理があったのでは。

  • 自意識にとらわれて悩む6人の男女の姿を描いた短編集。

    『何者』のサイドストーリーとのことだが、個別の登場人物についての記憶がないため、独立した作品として読んだ。
    立場はそれぞれだが、他人の目、評価を異様に気にするという点ではみな共通する。自意識の塊のようなタイプが足掻く様を、じくじくと追い詰めていく息苦しい展開は、相変わらず健在。ただ、短編のためオチがあってさらりと次にいくので、読み手の気分としてはラクだ。
    こういう青臭い悩みは、年齢を重ねるとともに消えていくものだが、作者のような感覚の人にはずっとついて回るのかも。

    表題作の本気の一秒がスタートになるというポジティブな捉え方は、何をするにも励みになっていいな。

  • 『何者』のアナザーストーリー。短編集・全6編。
    ●水曜日の南階段はきれい ●それでは二人組を作ってください ●逆算 ●きみだけの絶対 ●むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった ●何様

    何者を読んでからだいぶ経ってしまったので、主要メンバー以外のことはもう忘れかけており…。最初の2話以降は特に覚えてなくても差し支えなさそうでした。

    朝井さんの描く若者たちはみんな自我が強くて人間の負の感情が多く、読んでいてずーんとします。なにかしらの圧力を感じます。
    それでも最後はからっとした爽やかさがあるのだけど、今作はもやっとした部分も結構ありました。

    「むしゃくしゃ~」は、まあ主人公の言いたいことはわかるけど・・・親に可愛がられたいってばっかりで親の誕生日すら忘れてて妹に嫉妬して自分しか見えてない、結局自分一番かわいいって人なんだなと。
    自分から知ろうともしなかったくせに、そんなの言ってくれなかった、知らない聞いてないとひねくれる。
    それで表題のようなこと言われてもあまり同情できません。
    終わり方もなんだかすっきりしませんでした。こういう毒はあんまり好きではありません。
    「それでは二人組~」は心の中で嗚咽あげてしまいました。こういう毒は好きです(ぇ
    理香に幸あれ・・・。

  • 図書館で借りた本。
    「何者」のアナザーストーリーということで借りてみた。どんな話だったか覚えていなかったけど、読めば思い出すと思っていたら甘かった。話によってはぼんやりと覚えていて、なんとなく知ってる話だなぁっていうところまでは思い出せたけど、詳細はさっぱりでした。自分の記憶力の悪さにがっかりしました。機会があればどちらももう一度読み返してみたい。

  • スルスルと読み進めてしまう。おもしろかった。
    材料となる一つ一つのシーンは平凡でつまらない日常なのに読み進めたくなる。朝井さんは何気ない日常を「今風」エンターテイメントに変えてしまう。そう感じる。言葉の表現、粒、リズムが何気ないけど実はかなり意図的で絶妙。初めて朝井さん作品を読んだときから、文章のセンスがすごいなと思ったけど、本作品は更にパワーアップしてる感じがした。わざとらしさが少なくなってる=共感できることが多くなってる。
    特に一番最後の章「何様」はすごく共感した。「あーそれな!あるある!」て感じで。メッセージ性がすごい。まさに「今風」を見事に表現してた。

  • ”何者”の続編かと思いきや、サイドスートリー的なもので、私はこっちのほうが面白く読む。
    でも、読んだそばから内容を忘れてしまうのはなぜ。

    湊かなえも朝井リョウも面白くさくさく読めるんだけど、
    なぜか心に残らないんだよね。
    最初の”水曜日の南階段はいつもきれい”、光太郎の出版社に就職した気持ちは翻訳者になってるだろう夕子さんと再会したい一心でのことでちょっとひいてしまうくらい静かな情熱で光太郎を想っていた夕子さんに合い通じるものを感じた。

    ラストの”何様”これだけが”何者”の登場人物がひとりもでてこなかったような…。拓人を落とした面接官の話しだったの?
    これが就職試験の現実なの?ほんと今、大学生じゃなくてほんと良かった。絶対選ばれる気しないもの。
    海千山千の面接官の前でとうとうと自己アピールをして質問にも完璧に答え… ムリムリ。
    まっ、だからこそ面接官の難しさ、やるせなさを描いてるんだけど。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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