ポエムに万歳!

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 245
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103349518

作品紹介・あらすじ

自分自分自分……自分語り大好き! 日本は〝鳥肌もの〞ポエムであふれてる。北朝鮮ばりのニュース朗読に説教くさ~い五輪招致コピー、野放図な自分語りはもはや私生活ストリップ……現実を直視したくない人たちの間で、意味より雰囲気重視で成り立つポエム・ワールド。個性って素敵だよね。でも演出過剰、感情過多は、邪魔くさいよね。名物コラムニストが斬る、社会の隙間の埋め草、ポエムとは?

感想・レビュー・書評

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  • ポエムってコピーも含まれてるのか?
    ヴィトンの偽物は作れてもトヨタカローラの偽物は無理に納得。

  • マンションや車の広告、J-POPの歌詞などで、いま「ポエム」と呼ばれるものが増殖している。
    小田嶋流に定義づけるならば、それは「書き手が、詩であれ、散文であれ、日記であれ、手紙であれ、とにかく何かを書こうとして、その『何か』になりきれなかったところのもの」となる。
    「人は、『言葉』だけを受け止めているのではない。その言葉を発している人間の境涯や、歌っている歌手の全人格を含み置いた上で言葉を聞いている」……確かにその通りである。

    それにしても、いま言われているポエムの原点が、中田英寿氏の引退メッセージであったとは。検索してあらためて読んでみて、「ああ……」と苦笑してしまった。もちろん当時、あれを読んで感じ入っていた自分に対しても、である。

  • 小田嶋さん。
    最近ヤキがまわったと思う。

    最も好きな物書きだったのだが。ヤキがまわった。

    この本は過去に発表した文章をまとめたものだが、初期のものは、古館氏のしゃべりや中田氏の引退時のポエムへの違和感を切り取っていて痛快ではあった。

    しかし。
    段々「昔はよかった」的な言説が増えてきており、また、それに自分も気づき、「年を取ったせいか」などと言い訳までしてみせている。

    最近の小田嶋さんのTwitterもそうだが、現体制に対する批判のような、「左派」のやる十八番芸の片棒を担いでいる姿には無残なものしか感じられない。

    ま、この感想からして「昔はよかった」というのがさえないところだけど。

    復活を心より願う。

  • ポエムがテーマとなっているが、内容はいつもの小田嶋氏の切れ味鋭いコラムとなっている。氏は東京の五輪招致は反対だったようだ。最後に対談が収録されているが、あまり面白くなかった。話すよりも文章のほうが断然面白い。

  • ポエムが気持ち悪いってことを明言したのが偉い

  • ことば
    社会

  •  第1章の前半と巻末対談で、いわゆる「『ポエム化』する日本」について論じている。そこからこの書名になったのだろうが、全体としては多彩なコラムを集めたものだ。

     そんなことは買う前に目次を見れば、あるいはネット書店の紹介文を読めばわかりそうなものなのに、アマゾンのカスタマーレビューを見たら「詩論の本だと思って買ったのに、そうではなかった。だいたい、この著者は詩というものを馬鹿にしすぎていてケシカラン!」と大マジメに怒っている人がいた。困ったものである。

     小田嶋隆を「現代日本を代表する批評的知性」と評したのは内田樹だが、私も、時評コラムを書かせたら日本でオダジマの右に出る者はいないと思う。
     彼のうまさが抜きん出ていることは、自分で同じような文章を書いてみればいちばんよくわかる。ためしに、「ア・ピース・オブ警句」の任意の一編を選んで、同じテーマの時評コラムを書いてみるとよい。「自分にはとてもオダジマのようには書けない」ことが身にしみてわかるはずだ。

     本書も、安心のハイクオリティ。「うまいこと言うもんだなあ」と感嘆する必殺のフレーズがちりばめられている。たとえば――。

    《人が集まっているということは、それだけで人を集める理由になる。
     行列のできるラーメン屋の一番の売りが行列であるのと同様な理路において、デモは、「人数」という万能の通貨を、順次権力に両替しながら、次の段階をうかがうことになる。》

    《男は時に愚かになることで自分を保っている。》

    《20歳を過ぎた女性が、森ガールをやっているというのは、これは、一種の適応障害に近い。おっさんの半ズボンよりもまだタチが悪いと思う。
     なので、森ガールの皆さんは、ぜひ20歳で卒業するように。》

    《おそらく、本当のクールジャパンは、経済産業省の管轄下にではなく、非経済的かつ非産業的な、われらが才能の無駄遣いの周辺に漂っている。》

     まあ、デビュー作『我が心はICにあらず』以来四半世紀以上のファンとしては、最近の鋭い時評家としてのオダジマもよいが、言葉遊びに満ちたナンセンスな(よい意味で)お笑いコラムを書きまくっていた初期のオダジマが、時々懐かしくもなるのだが……。

  • わかったようなわからないような、フワッとモヤッとした「ポエム」的な文章が社会に溢れているように感じ、手にとってみました。残念ながらポエムの話も出ては来るものの、大半は著者の社会に対する愚痴でした。

  • 途中でポエムの話じゃなくなって、個人的ないらつきがただ書かれている本だった。

  • 昔好きだったコラムニストなのでちょっと期待していたのですが、そういえば小田島、すっかりくだらない人に成り下がっていたのでした。
    ポエムの章は面白かったんですが他はクソみたいな文章の垂れ流しでしたね。

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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