国境越え

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103456209

作品紹介・あらすじ

港町で性の洗礼を受け、アルゼンチンの山中でナチス残党らしき一家に救われ、チリの娼館で夢を見て、バリではあやしい人妻に近づいていく…。写真からよみがえる、眩しい風、膿んだ闇、うごめく男たち女たち、匂いたつ記憶-カメラ片手に世界中を旅したシーナが、新たな物語の地平を発見する。

感想・レビュー・書評

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  • 写真付きの短編が何本か。
    登場人物がダブっていたりするが、それがどういう風に繋がってるのか分からなかった。
    ただ、バリ島のムワァーっとした熱帯夜の様子は伝わってきた。

  • シーナ隊長の公式Webサイト「椎名誠 旅する文学館」のコンテンツの一つに「椎名誠の仕事 聞き手目黒考二」というのがある。隊長の全著作について、順を追って、その裏話を目黒さんがきくというスタイル。週一回更新されるこのページをいつも楽しみにしている。ほかに「思えばたくさん書いてきた」というタイトルの全著作リストがあり、「自著を語る」というコメント付きのもあるのだが、目黒さんとの対談の方がずっとおもしろい。

    目黒さん、もう全然遠慮がない。「これは駄作」「ここがダメ」とか平気で言う。対する隊長も隊長で「忘れた」とか「そんなこと書いてたかなあ」とか、脱力感満載。敬愛してやまないこのお二人の掛け合いを、そばで聞いているような気持ちになって、実に楽しいのである。

    基本的に一回で一作ずつ。「たくさん書いてきた」隊長のこと、ずいぶん長く続いているけれど、だんだん現在に近づいてきた。出ていることも知らなかったこの本が少し前に話題になっていて、おもしろそうだったので読んでみた。まったく著作が多いので、ぬるいファンは追いかけきれないのです。

    短篇中篇合わせて五篇。私小説のようでもあり、そうでないようでもあり、そこらへんは曖昧だ。下敷きになっている体験を知っている読者は、フィルムのネガを見るような不思議な感覚が味わえる。精力的で豪快なポジに対して、こちらはちょっとダークで暗い官能の気配が立ちこめている。椎名さんにしては異色と言えるかもしれない。

    ただ、私小説でも「哀愁の街に霧が降るのだ」や「岳物語」とは違った系列の一連の作品(「黄金時代」など)には、陰翳の深いものがあることや、椎名SFの多くが決して明るい雰囲気のものではないことが示しているように、こういう傾向も椎名さんの重要な側面だと思う。わたしはこっちも好きだ。

  • シーナさんの作品はすっごく好きなんだけど、これは心がまったく乗らなかったな。悪くは無いんだけど、初っ端がよろしく無かったかな。

  •  私、椎名さんの作品は小説よりもエッセイが好きですね。

  • 6本の短編から成る写真小説。正直なところ、あまり心を動かされなかったなあ。
    「目の中の蚊」の、いつの間にか蚊を密かなパートナーにして可愛がっている主人公が可愛らしい。

  • これは作者の新境地!

  • ハチャメチャなんだけど、憧れちゃう経験です。
    男!って、こうでなくちゃ。

  • のっけの作品は,何がなんだかさっぱりわからんかった。
    『銀転公社のねずみ君?』の二の舞かと思った。
    いや『ひとつめ女』の三の舞かあ?

    しかし,最近のシ-ナにはよくある傾向の小説なのだ。
    このままこの手の小説書いてると,気がつくと頭が本当に脳みそ味噌汁混合状態に
    なってしまうのだろうなあ。
    ああ,シーナ先生,なんまいだぶつ。

    最初この本は例の「写真エッセイ集」だと思った。
    それはそれで悪くは無い。=面白いという意味だよ。

    そしたら,小説だった。
    しかも,書いた小説に,既に撮ってあるある写真の中から選ん,後からで強引に
    くっつけてしまおう,という嗜好の本なのだ。
    ふーむ,結構初めての遣り方挑戦のような気もする。

    で,読んだら,のけの一話が冒頭のような感じだったってわけさ。

    そおして、づんづんと読み進めていくと物語は面白くなってきたけど、写真を付けていく、という行為がどうやらおろそかになっているようで、文字ばかりのペジがやたらと多いのであった。

    しかし、そこはそれシーナ兄いの作品なのだから、それでいいのだ。
    おしまい。

  • 過去のエッセイともつながりがあって楽しく読めました

  • すごく古い話と、ちょっと古い話が写真とともに断片的なかたちで構成されている短編集的な構成。
    「そらをみてますないてます」で登場した人物たちとのボーナストラック的な旅の話もあり、つかの間の再会をしたような気持ちになった。埃っぽく、錆びた味のするビターさが魅力。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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