- Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103528111
作品紹介・あらすじ
窓のない閉鎖空間に、対立する政治団体の男女が二人。 この部屋と、民主主義という密室に出口はあるのか? 政権打倒を標榜する若者団体で活動する凛は、気付くと薄暗い部屋にいた。両手首を縛られ動けない。一方隣の部屋では、外国人排斥をうたう「AFPU」のメンバー大輝が目を覚ましていた。二人に直前の記憶はなく、眼前には横たわる人体。一体、誰が、何のために? 民主主義の根幹を問う、新時代の本格ミステリ。
感想・レビュー・書評
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在日外国人にヘイトスピーチを繰り返す〈AFPU〉と、反現政権の〈コスモス〉。
相反するふたつの政治集団のメンバーが、なぜか密室に閉じ込められる。
冒頭の政治まわりは表面的で、あまり引き込まれなかった。
密室の謎解きになって、おもしろくなる。
二つの部屋。
それぞれの死体と、生存者の置かれた状況。
かなり奇妙な設定が、ひとつひとつ解き明かされていく。
密室部分は、ミステリとしておもしろかった。
全体としては、さらっとしている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
正反対の政治団体に所属する男女が隣り合う密室で目覚める。女性側には顔の焼かれた死体があり、どうやら彼女の所属する団体の代表者らしい。二人とも目覚める前の記憶が曖昧な中、なんとか状況を把握しようとするが…。二人の活動風景や代表者達の主張、そして二人の直接対決の描き方は中庸を目指していると思うけどやや左寄りに読めたのは自分がやや右寄りだからか(そんなに保守派ではないとは思うけど左寄りという所まではいかない。)スマホでしか繋がれない探偵役が出てきてからは謎→意外な真相とミステリの王道の流れだし伏線回収も丁寧だけど色々無茶な点が気になる。政治色が強めなのは人選ぶかもなー。
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2020/06/07読了
#市川憂人作品
政治活動をテーマとしたミステリ。
密室トリックはかなり難解。
ストーリーとしては現在の安倍政権に
かなり辛辣に重ねたところがある。
ジェリーフィッシュとは異テイストだが面白い。 -
左翼のジャンヌダルクとネトウヨのアイドルオタクが、密室で死体を囲んで、まんまSAWみたいな場面展開していく、突拍子もない小説。
ノンポリ気味のわたしは、右も左も興味が薄く乗り切れない感じが否めないですが、ミステリとしては意外性あって結構面白い。
2010年代前半のコロナ前のカルチャーがふんだんに盛り込まれていて、やや懐かしく感じる。 -
★3.5
右翼、左翼絡みの正義振りかざす設定は好ましくないけど、密室ミステリーとしては面白かった。面識のない男女に謎の死体が閉じ込められた地下室。舞台はここからほとんど動かないけど、第3の謎の探偵加わり推理合戦。謎が解けていく過程が良かった。 -
「ジェリーフィッシュは眠らない」シリーズの作者さんの新作。
出来れば、シリーズの続きを読みたかったが、今作でも密室トリックは健在で、十分楽しめた。
左翼運動をする大学生の凛。団体の主催者に会いに行く約束をしたところで、意識がなくなり、気づけば両手を縛られ、地下室ようなところに軟禁されていた。
その部屋の隣には「ネットウヨ」で、同じく活動団体の主催者を目撃した後、意識を失くした大輝がいた。
最初は思想の違いから、対立する二人の様子が描かれるが、凛のSNSのフォロワーの「ちりめんさん」の助言により、二人が巻き込まれた事件の概要が明らかに。
なかなかトリックも分からないし、「ちりめんさん」の正体も分からないし、最後まで読んで、納得の作品。
政治に詳しくないから、政治的思想な部分は良く理解出来なかったけど、密室ものとしては、なかなか面白いと思う。 -
スタイルは変わっても、やはり彼らしい密室物だと感じる。
それにしても、ステレオタイプの政治的言説が、小説の多くを覆うというスタイルは、もう少し工夫があっても良かったのではないか。
張り巡らされた関係の糸は、なかなかに巧みだった分だけに。 -
対立する政治団体の男女が密室に閉じこめられた。閉じこめられる直前の記憶がない。部屋の中には死体が。スマホはあるが状況的に自分が犯人と疑われそうで通報も出来ない。誰が何のために。
密室自体はおもしろかったが、そこにいたるまでの政治団体の話が冗長で、読み進めるのに根気がいった。途中で読むのをやめてしまった人もいるのでは。その点が残念。 -
密室の中に対立する政治団体の二人と死体。どちらも直前の記憶を失っており、スマホはあるが明らかに自分が容疑者になりそうで迂闊に通報もできない。誰が何のために仕組んだことなのか…
ホラー映画「ソウ」のようなシチュエーションで、なかなかトリッキーなミステリであるが、現代日本における民主主義についても考えさせられる内容で面白かった。
ただ犯人の正体や動機についてはいまいちしっくりこない。