たかが江川されど江川

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103703013

感想・レビュー・書評

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  •  入団のゴタゴタがあったことで、子供への教育の仕方や、20勝を挙げる日までの極限状態まで、かなりのプレッシャーの中でエースとして巨人を支えていたということを改めて認識した内容であった。

  • チェック項目8箇所。今にして思う、もし僕が、投手として人間として自分を信じることができなかったら、この9年間の野球生活を乗り切ることはできなかったと、この本の題名には、そんな僕の思いがこもっている。「いいか、卓。この佐久間では、太陽は9時に昇り3時に沈む。でもな、世の中には水平線から陽が昇って水平線に沈むところもあるんだ。いつまでも狭い範囲に閉じこもっていては、人間、大きくならない。関東平野は大きいぞ。俺といっしょに行こう」。「江川を合格にすれば、六大学での彼の活躍を見込んだ裏口入学と騒がれてしまう危険性が大きい。落とせば”さすが慶応”と認められる。そういう大学側の思惑がからんでいた」。結局、江川獲得を断念したクラウンの球団の赤字は解消されず、翌53年西武に身売りすることになる、もし江川が入団していれば……、球団経営は正常化し、身売りは避けられたかもしれない、となると、現在の西武ライオンズはなかったかもしれない、その西武が巨人にとってかわる常勝軍団に成長していることをミレア、ここでも”球界の歴史を変えた”江川の存在が浮かびあがるのである。食事のときだって「もっと上手に食べろ」などと、ちょっとおこりすぎたかなと思うくらい厳しくしつけたし、子供が人に責任をなすりつけるようなことを言ったときには、是も非もなくしかりつけた、それもこれも、「あの江川の子が……」といった負い目を、子供たちにおわせたくないと願ったからだった。走者が二塁にいようと三塁にいようと、打者を三振に仕留めてケリをつける、相手がストレートを待っているとわかっていて、それでもストレートを投げて、空振りさせる、僕の頭の中にいる江川卓は、そういう投手なのだ、それができずにいるフラストレーションが、心の中にたまっていた。

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著者プロフィール

1955年5月25日、福島県いわき市に生まれる。高校時代(栃木県作新学院)にノーヒットノーラン12回、145回無失点など数々の記録を達成し注目を集める。法政大学時代は1年生からエースとなり、在学中六大学4連覇を達成。歴代最多記録の17完封、歴代2位の通算47勝をマーク。1979年、巨人入団。在籍9年間で、MVP1回、 最多勝2回、防御率1位1回。1987年の現役引退以降は野球解説者として活動する。2022年に開設したYouTubeチャンネル「江川卓のたかされ」はすでに登録者数が22万人を超えている。

「2023年 『巨人論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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