ちょうちんそで

著者 :
  • 新潮社
3.18
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本棚登録 : 1505
感想 : 224
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103808107

感想・レビュー・書評

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  • 日常を切り取ったような話(話ってほどの話でもないのかも)
    何かひそんでるような登場人物各々の中になにか含めたような予感を持たせるんだけどオチがなくてちょっととまどった
    読み終わったら夢見てた気分
    好きなのかどうかも正直分かんない(ストーリーとは別にひとつひとつの言葉は好きだからきっと江國氏の感覚は好きなんだと思う)
    ただこの世界の延長線が気になる

  • 初めての江國香織さん。
    何も変化はないしこれからも何も変わらないんだろうなぁと思った。
    ずっと読んでいられる感じ。
    嫌いではなかったです。

  • 人はひとりで生きているわけじゃないのよね。
    繋がっていないようで誰かしらと繋がっているんだもん。
    近くにいなくても妹が気になり、許せないと思っていても母が気になり、妹のことで力になってあげたいと隣人が気にかけてくれて……。

  • 難しい。
    普段、なにかインパクトを求めて本を読んでしまうので、こう、「コレだ!」というものや、オチはなく、たんたんと進んでいくストーリーは、意味を考えだしても答えは出ないし、物語の中には書かれていない。いや本当は奥底に書かれているのだけどそれに気付けていないのかも。気付ければ、★は5つになるのかもしれない。

    主人公は不倫の末、夫や子供と離れひとりで暮らす女性、雛子。ただ、その生活の中にはもう何年も会っていない妹の飴子が、想像の姿として、存在している。最初はまったく繋がりが分からないいくつかの場面が次々と描かれていくが、次第にその関係性が見えてくる。実の息子たちのそれぞれの生活や、なんともつかめない不思議な隣人との様子など、という普通の日常が描かれているとわかる。飴子は、どうやら異国の地で日本人学校の教師をしているよう。そこで出会ったひとりの生徒に、姉の姿を重ねてみている様子が描かれていて、どうやら二人は、離れて暮らして何年も会っていないがお互いを想いやっていることが窺い知れる。でも、これといった進展は、とくにない。

    けれど人はみな、こうしたなんでもない日常を重ねて生きていて、その中に大切なことはひそんでいるというメッセージなのかも、しれないな。

    時間が経ったらまた読み直してみよう。

  • 心の中にいる人とこんなにお話しできる時間があるなら、少しくらい周りにおかしいと思われたって構わないなと思った。羨ましい。でも現実にもこんな感じでお話ししてうれしい人がいるから、わたしはよかった。

  • 江國香織の新刊。
    江國香織らしくない単語や表現があった気がしてあれ?と思った。
    でもこの何ともいえない透明感がやっぱいいー!
    あと、装丁が美しい!

  • +++
    取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。いい匂い。あの街の夕方の匂い――人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。
    +++

    高齢者マンションで一人暮らす54歳の雛子が主人公である。自ら周囲の人たちとかかわることをせず、かと言ってまったく人を寄せつけないわけでもなく、周りからは、なんとなくとらえどころのない存在とみなされている。現在(いま)を生きているというより、過去(むかし)を漂っているような印象である。場面を変えて語られる人たちと雛子とのつながりが、章を追うごとに少しずつ明らかになっていき、だからと言って雛子のしあわせな日々が見えてくるわけでもない。物語の本筋には関係のないような細かい描写がとても濃やかで、それこそがいちばん大切なことなのかもしれないと思わされるほどである。殺風景ながらも濃やかな気配に満ちた雛子の部屋が目に浮かぶような一冊である。

  • 江國さんが描く姉妹の関係って、私と姉とは全く違って儚くて美しくて現実感が無くて夢見心地で、時々その世界を覗きたくなる。

  • まだ若いのに老人向けのマンションに入居し、人とほとんど関わらずに「架空の」妹と会話している女性、雛子を中心に、一見関係ないようでいて後々雛子とつながっているとわかる人物たちの日常を断片的に追った物語だ。
    物語の底を流れる、体温の低さというかあきらめのようなもの、後ろ向きではなくカラリと明るく感じるのに決して浮き立ちはしない、そのなんともいえない雰囲気が江國香織の作品だなぁ、と思った。

  • 唐突に始まって、唐突に終わる、とても江國香織らしい小説だった。ストーリーの起伏はほぼないけど、読み進めていくと、朧げな全体像がみえてくる。どの人たちも現実離れしてみえるのに、会話や心理描写の一端にすごく近しい感覚もあってはっとする。たしかに秩序のなかにいるのは安心。でも、どこか曖昧さが潜む場所を信じて安心してしまうのも滑稽なのだろうなぁ、と。そんなことを思った。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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