- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103823032
感想・レビュー・書評
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語り手(視点)がころころ変わっていって、慣れるまでは読みにくく感じた。
また、あまり詳しくない分野だからか、
どこまでが真実でどこからがフィクションかわからない部分も多くあった。
エピローグは最後、一気に流れていく。
最後の数ページ、ドキドキしながら読んだ。
スティーブン。。
しかし、途中で出てきた登場人物たちはその後どうなったのか、
あとあとまで気になってしまい、何だかすっきりしない感じが残った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スギハラ・ダラーの前の本です。インテリジェンス。ガーベージ・イン、ガーベージ・アウトですから、(1)入れる情報の質を高める、(2)その情報による深い洞察ができるようなトレーニングをする、ということがこの本を読んだ際の結論の一つ、と思いました。(この本はいろんな側面から読むことができますが)
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文学・評論
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情報を巡る、国家間のし烈な争いを描いた物語。情報という扱いが難しいものを対象としているため、どこまでがフィクションなのか、判別することは難しい。
外交官、諜報員など、それぞれの立場の思惑が絡み合う。
誰にでも分かりやすいように書かれているためか、終盤は非常にすっきりと事が進む。
私としては、もう少し謎を残したまま結論を迎えて欲しかった気がする。
とはいいつつ、本書を読了した駅のホームで、私の不意に後ろに立った乗客に、思わずドキリとする私であった。 -
世界で起きていることの舞台裏が見えてくる、素晴らしいドキュメンタリー小説だった。外交・インテリジェンスというものがどれだけこの世界を支配しているのか、我々の知らないところでどのような駆け引きがあるのか、時代背景も含めて理解を深めることができた。
佐藤優氏の小説と本書はとても関係性を感じる。
この本を何年も読まずに積んでいたことを後悔している。 -
偽造通貨だけでなく、人間関係に関しても深い。最後の展開にびっくり。
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いろんな意味で不思議な小説(?)。はじめ、北朝鮮製偽造100ドル札をめぐる国際謀略小説かと思っていると、それがスパイ小説になり、最後は冒険小説調に転ずる。偏見かもしれないが、この手の小説は、著者が得意とする(こだわりのある)分野の描写がしつこくなる傾向が見られ、本書でも居食住、嗜好品、外交、諜報、いずれにもこだわりがあるようなシーンが展開されていく。すると、普通はバランスが取れなくなり、ストーリー全体が破綻するのだが、本書の場合、何となく、それほどの破綻もなく終わる。書きたい事が決まらないまま書き出した小説でもなく、書きたい事を詰め込み過ぎた小説でもない。書きたい事が、それなりにうまく配置された小説というべきか。
ただ、それは食事のシーンに象徴されるように、メニューを連呼するばかりで、食するシーンがほとんど無く、おいしさ(味覚)が伝わってこない。 -
元NHKワシントン支局長だった氏のデビュー作。
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外交ジャーナリスト手嶋龍一の久しぶりの著作ということで、期待して読んだが、小説という形がよくないのか、どこまでが真実で、どこからが創作なのかが曖昧なのが、逆に小説の書き手としては、高くないのかなと思ってしまう。
やはり、手嶋龍一はノンフィクションを書かせた方がよいのではないだろうか?内容としては、北朝鮮に拉致された印刷工が、ウルトラダラーという、偽札としては基準が高いものを作り出し、それを追うインテリジェンスのがるスティーブンの話なのだが、視点がいろいろな人に移るので、読みにくい。
真実こそ、手嶋さんにとっては書きがいがあるのではないか? -
ウルトラ・ダラー。
極度に精巧な偽100ドル札。
この流通を巡り、
日米欧をまたにかけたドラマが展開する。
主人公はBBC日本特派員にして
英国諜報員のスティーブン。
さながら007か。
スティーブンは日本文化を解し
日本語も流ちょうに操り
篠笛を美人師匠に学ぶ。
しかもこの美人師匠の麻子といい関係。
ちょっとしゃくにさわる。
話は偽100ドル札が北朝鮮で印刷されているという
辺りから話がきな臭くなってくる。
スティーブンの大学時代の親友で
米国諜報員であるコリンズと連絡を取り合い
インテリジェンス~情報のやりとりを行う。
日本のスティーブン、外務省の高遠審議官
滝澤審議官の間でインテリジェンスを巡る駆け引きがあり
米国ではコリンズと上司のファルコーネが
インテリジェンスを操る。
さらに日本国内の偽札検査器メーカー社長も出てきて
前半は会話の中からお互いの探り合いという展開が続く。
そして、北朝鮮の偽札は
ウクライナから弾道ミサイルを買うためだったと判明し
舞台は一気にフランスのパリへ。
運河とセーヌ川を弾道ミサイルを積んだ船が行く。
河岸ではパリ警察が、米国諜報が
孤軍奮闘のスティーブンが船を突き止めようと動く。
そして、スティーブンが船を特定し
ウクライナと北朝鮮の船を拿捕するが
弾道ミサイルの心臓部分は抜き取られていた。
そして、ある文書をスティーブンは
篠笛の師匠で恋人の麻子に託して
高遠審議官に送るが
それがまた新たな事件の契機だった。
最後は日本国内でアクションが展開する。
頭脳戦から一転してパリ、日本の
アクションシーンが続く。
この展開はわくわくさせる。
ラスト湖から浮かび上がる
スティーブンと麻子の運命は如何に。
読後もいくつかの謎が余韻として残る。
NHK前ワシントン支局長が
リアルな、リアルな国際状況や
外光状況をベースに描いた
本書は読み応え十二分だ。