8月17日、ソ連軍上陸す: 最果ての要衝・占守島攻防記

著者 :
  • 新潮社
3.27
  • (2)
  • (2)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103904069

作品紹介・あらすじ

「敵襲っ!」早暁、静寂をつんざいて開始されたソ連軍の一斉掃射。ポツダム宣言受諾を受け、日本軍が引き揚げの準備をしていた千島最北端、ソ連との国境の島は生き地獄と化した-。悲壮な決意を胸に迎え撃つ日本軍、突撃する戦車連隊、上空からは敵弾が驟雨のように降り注ぐ。終戦後に侵攻してきた北の大国との三日間の戦闘を、生き残った元兵士たちの新証言、新資料で再現する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【最終レビュー・文庫本あり】

    図書館貸出。

    〈雑誌:ダ・ヴィンチ最新号―TEAM NACS特集〉

    リーダーこと、森崎博之さんのイチオシ著書。

    『公演中「本公演・PARAMUSHIR」の参照著書』

    *本公演・公式サイト

    http://www.teamnacs.com/stage01.php

    今回、ライブビューイングにおいて初体験する本公演・千秋楽に備えようと思い既読。

    埋もれていた未知の歴史が

    北の果ての島々で、こうして

    〈壮絶で、泥まみれで、ほろ苦く、せつない、身体と身体がぶつかり合う男たちの人間ドラマ〉

    〈無謀と分かっていながらも、こうする以外に手段がなかった、過酷な運命の選択肢…〉

    歴史の流れに翻弄されていく一人一人それぞれの

    ありのままの心情等を踏まえ、リアリティかつ存分に綴られています。

    『映画:北の桜守』で描かれる時代と一部リンクするか所もありました。

    [手記・著書・生存者への取材…]

    もがきながらも、修羅場な環境下の中

    自らの直筆や、真実そのものを

    それぞれの形で残し、記憶していたからこそ

    彼等一人一人に、心から哀悼の意と共に、ささやかな感謝を伝えたい想いになりました。

    『歴史の持つ力そのもの』を

    今、こうして私達に伝承していく

    〈深い意味合い〉

    このことを、この著書を通して、改めて実感しています。

    ネタバレになるキーワードが次から次に出てきたので、鑑賞前にはあまり書くことはできません。

    [戦場=震災]

    こうしてレビューをまとめつつ、こうも感じながら…

  • 8月15日の終戦を迎え、千島列島の最北端の占守島を守っていた日本軍は、
    武装解除の軍使を待ちつつ、これまでの苦労を労って休息していた。

    しかし3日後の8月17日午後10時45分ごろ、国端崎に突然の砲撃を受けた。
    それは日本軍には信じられないことだったが、日ソ中立条約が
    まだ有効であったはずのソ連軍の攻撃だった。

    ソ連軍の大量の兵士の上陸と攻撃に、必死に防衛した日本軍。
    1日で占守島を占領する予定だったソ連軍の思惑を大きく狂わせ、
    4日間も彼らを足止めし、死守したのだ。

    その結果、島の缶詰工場で働いていた400人の女子従業員たちは、
    内地に引き揚げることができ、北海道の土地もソ連軍に占領されずに
    すんだということだ。

    生き残った兵士たちの証言と、ソ連軍の資料から検証された1冊。

    知らなかった。
    彼らのおかげで、今私たちは北海道の豊な自然を享受できているんですね。

  • 感想未記入

  • 終戦記念日とされる8月15日よりも後、北の果ての占守島の日本軍守備隊と突如侵攻してきたソ連軍との死闘の記録です。
    敗戦の報を聞いて悔し涙を流した15日、一夜明けて「家に帰れるんだ」といった安堵感を感じながら武装解除を進めた翌日、そのような中で突如砲撃とともに上陸してきた国籍不明(戦闘開始時において)の部隊との戦闘への突入。

    彼らの奮戦により、時間と戦力を費やすことになったソ連軍は、北海道侵略を諦めざるを得ませんでした。
    多くの日本人にとって忘れられた(もしくは認知されていない)戦いであると思います。

    池田末男大佐が出撃前に部下に対して行った、「赤穂浪士となって恥を忍んで生き残り将来仇を報ぜんとするか、白虎隊となって日本民族の防波堤として玉砕するか」という問いかけと、それに対して白虎隊としての道を勇み選んだ部下たち。
    この姿が忘れられません。

    書籍自体については、ちょっと各証言や資料の矛盾点の整理・検証にページを割きすぎている印象はありますので、そのあたりが読みづらく感じてしまう方も多いかと思います。
    とはいえ、歴史資料的な観点で見れば、そういった検証部分についても大変貴重なものだと思いますし、かなりの労力を費やされたのでしょう。
    占守島での戦いを知る資料としては、よい書籍であると思います。

  • 2010年8月17日

    カバー写真/北千島慰霊の会
    表紙写真/戦車第十一連隊士魂会
    装幀/新潮社装幀室

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

大野芳(おおの・かおる)
一九四一年愛知県生まれ。ノンフィクション作家。『北針』で第一回潮賞ノンフィクション部門特別賞受賞。
著書に『近衛秀麿――日本のオーケストラをつくった男』(講談社)、
『絶海密室』『瀕死の白鳥――亡命者エリアナ・パブロバの生涯』(以上、新潮社)、
『8月17日、ソ連軍上陸す――最果ての要衝・占守島攻防記』『「宗谷」の昭和史――南極観測船になった海軍特務艦』(以上、新潮文庫)、
『死にざまに見る昭和史――八人の凜然たる〈最期〉』『無念なり――近衛文麿の闘い』『裸の天才画家 田中一村』(以上、平凡社)、
『天皇は暗殺されたのか』(二見文庫)など多数。

「2020年 『伊藤博文を暗殺したのは誰なのか 安重根と闇に隠された真犯人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大野芳の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×