- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104066100
感想・レビュー・書評
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重箱の隅をつついたらロココ料理が出てきた…奥深い面白さのある本。というかシリーズ。他も読んでみます。
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日頃から太宰と芥川が大好きと発言していた芸人の又吉さんの芥川賞受賞直後に読了。タイムリーでひとり嬉しくなる。
タイトルになった「太宰治の辞書」のほか2編。
焼きまんじゅうのエピソードでは朔太郎の出身地がインプットされたし、芥川や三島ほか何冊分も読んだ気になる。
覆面作家だった頃からの北村薫ファン、本好きには堪らない嬉しさが盛りだくさん。 -
はじめは文学好きのマニアックな話と思ったが読み進むにつれ謎解きの要素が加わり面白くなる.僕も高校の一時期太宰治に傾倒したからロココ料理はもちろん覚えている.大学入試の面接で「太宰治を読んでます」と言ったら「早くやめたほうがいいですよ」と言われた.落ちたと思ったら受かってた.
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私と円紫師匠の最新刊。
といいつつ、初めの2編はほとんど文芸評論とも思える。
3編目でようやく円紫師匠が登場し、前半の伏線を膨らましていく。
ベテラン編集者となった私の成熟ぶりや円紫師匠の大真打ちぶりが見てとれ、シリーズの読者を楽しませてくれる。
それにしても、太宰治は食わず嫌いでほとんど読まないのだが、文中に出てくる女生徒のみずみずしさ、自由奔放さは、まるで北村薫のようではないか。 -
年齢を重ねた「私」は編集者となり、また一児の母ともなっていた。変わらぬ本への愛をはぐくむ日々のなかで、新たな本の謎を追ってゆく物語。
…まさかのシリーズ新刊というのが本当のところで、読んでいくうちにああこういうトーンだった、という懐かしさが湧き上がってきてじんわりしました。
本のなかの他愛ない描写をいとおしみ、思索してゆく、おだやかなけれど芯の通った考え方の流れるさまに、読むほうも心地よくたゆたうような気分にさせられます。
大きな驚きではなく、小さな納得を得られる、腑に落ちる、という感覚の展開なのですが、この雰囲気にまた寄り添うことができた嬉しさでいっぱいになれたという意味で、とても素敵な時間を過ごせたと思えたのでした。 -
標題の太宰治のみならず、芥川龍之介、三島由紀夫、江戸川乱歩、萩原朔太郎、江藤淳などの作品に言及されていて、近代日本文学、特に昭和日本文学好きにはたまらない1冊。中心は、太宰の『女生徒』に出てくる言葉から、太宰が使っていた辞書を探る、という内容。文学研究書を読むような気にさせられる一瞬があるけど、通しで読めばちゃんとエンターテイメントしています。そして、読み終われば『女生徒』を読み返したくなります。
ちなみに太宰の作品で僕の押しは『女生徒』『津軽』『桜桃』。『走れメロス』から読み始めてはいけません。 -
物語の世界に浸る様にして本を読むので、作家や書かれた言葉と対話することはほとんどない。なぜ、そう書いたのかと疑問に思わないと言ってもいいかも知れない。でも作者が抱いた疑問とその謎解きを読むのは面白い。そこに引っ掛かるのね フフッ という感じ。
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こういう小説を、ゆっくり静かに読むよろこび、というのもあるなと思う。
うしろに付いている出版案内が、参考文献目録そのものになっているという。。。うまく出来ている。 -
わたしが現代国内ミス中毒となったきっかけには、先生と私シリーズも間違いなく含まれる。
結構極端に文学研究の手記みたいで、同シリーズ既刊に比べるとミステリ色は薄い。
でも、文章は端的で柳眉、ストーリーも穏やかながら巧み。まさに文芸、こういう本をたくさん読みたい。
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