決壊 下巻

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 576
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104260089

感想・レビュー・書評

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  • どこまでも突きつけられる感覚。

    硬質な作品。

    前編の登場人物達の情報が、後編に響いてくる。

    どこまでもつきつけれる、硬質な恐怖。

    悪意。

    それがその人にとって正義だったとしても。

    それは悪意になりうる。

    あまり、こういった作品は読んでこなかった衝撃を受けた作品。

  • 上下巻、一気に読みました。結構キツかったなぁ。とにかく、起きてほしくないことが全部起きる。自分だったら、と考えてしまう。

    まず、メインの事件が悲惨すぎるのだけれども、それ以上にショックなのは、人間の「思い込み」の恐ろしさ。過去の出来事を正確に思い出すのが困難なように、人の頭の中で、出来事が好き勝手に変形していく。「本当のこと」なんてあるのか。他人に「わかってもらう」ことなどできるのか。そもそも、自分自身すらあやふやなのに。うーん・・・

  • 生半可な言葉では語れない。 とてつもなく重いラストに胸が張り裂けそうだ。

  • バラバラ殺人事件の被害者と容疑者となった、その兄。
    実家の父母、妻。
    真犯人のひとりの少年と歪んだ母親の愛情…。
    連鎖する事件。

    ひたすら重い。
    どんよりとした空気に包まれながら読み進める。
    見たく無いけど、見たい。
    どんな凶悪な事も、対岸の火事なら興味本位で覗いてしまう。

    なんか、何が正しくて何が悪いのか分からなくなってくる。

    多分、きっと今夜は夢に出てくるだろう。
    一気読みするんじゃなかった…
    orz

  • 救いがないと言えば救いがないのだけど、
    崇みたいな人は生きてても逆にしんどいのかなぁと。
    最後で死に収束していくのはある種の救いではないのだろうか。

    出生・鬱・ネット・親子兄弟夫婦関係の歪がテーマだと思うので、
    そういう観点で見るとまた違うのだろう。
    また間を空けて再読したい。

    ー<悪は健康の欠如>に過ぎなくなってるー

  • 「幸せにならなければ」といった幸福希求主義が現実とのギャップを生み、それに追い込まれていく恐さを感じた。
    ネット、家族、会社さまざまな人間関係においての自分、著者の言葉を借りれば「分人」が存在するが、そのバランスの取り方や赦し、なぜ人を殺めてはならないのかについて考えさせられた。
    救いがなく、孤独な人間の姿に重たい気持ちになるが、また読みたくなる一冊。

  • 「大審問官」のバリエーションのような会話が延々と続くのも、家族、人間関係でナルシスティックに悩むのも、すべてストーリーの伏線だった。この下巻からは純文学的めんどくささとページが極軽になるエンターテイメントが驚きの共存をみせる。ミステリーとしてはお粗末だが、その文章の精密、頑固さ、それがいつの間にか美しくなっていく文体に酔いはじめてしまう。その力で楽しめる。やはりすごい才能。売れないだろうけど。

  • いち小市民としてはこの物語をどう受け止めていいのかわからない・・・。
    ただならない衝撃を受けてしまうのは、自分も犯人の言葉にただのひとりよがりとだけは言い切れないものを感じてしまうから?
    マスコミやネットの住人たちはやたらリアルだし、「悪魔」が生まれてしまう社会の歪みをすごくうまく描いてると思う。
    ストーリーもミステリー仕立てでぐいぐい読ませてくれる。場面の描写もものすごく緻密。
    でも読後はすごいイヤーな後味の悪さ。
    その気持ち悪さの正体がなんなのか、まだ整理できません。どんな言葉にしても追っつかない気がする。
    ただ衝撃作であることは間違いない。

    あと蛇足だけど、頭のよい主人公と、友人(同じくらいのエリート)との居酒屋での会話が、ちょっと笑えるくらい難解です。
    言いたいことは感覚として理解できなくもないんだけど、読んでるこっちは完全に置いてけぼり。多分意図的なんだろうけど、バカですいませんな気持ちになるんですが・・・。

  • 家族でも知らない違う一面。それがネットの中にはある。
    ネット社会の闇に迫る作品。

  • 救いがなさすぎる。
    悪や負の連鎖が最後まで続いて、読むのがきつかったけど読まずにはいられなかった。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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