針がとぶ Goodbye Porkpie Hat

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104491025

感想・レビュー・書評

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  • 「クラフト・エヴィング商會」の本に興味を持ち、その著者の本を読んでみようと思った。のだけど……。

    「静かに響き合う七編」と帯にある。
    うん。そのとおりでした。

    たとえば一篇目の「針が飛ぶ」と五篇目の「少しだけ海の見えるところ 1990-1993」には、一言一句変わらない同じ3行がある。とか。
    「長袖のような半島」が四編目の「パスパルトゥ」と六編目の「路地裏の小さな猿」で重複。
    三編目の「月と6月と観覧車」と五篇目の「少しだけ海の見えるところ 1990-1993」の登場人物が重複してるらしい。とか。などなど。

    響き合う。というか重なっているようだ。
    何度も読み返すと味わい深いのかもしれません。

    なんとはなしの雰囲気を楽しめる人にお勧め。
    頭の良い人が楽しめるんだろうなと思った。
    なので自分には無理。

    • おびのりさん
      感性が硬くなったのかなあ?
      燃え殻さんとか河野裕さんとか、何書いてんのかわからんのよ。
      人気の伊坂さんの作品も、最近は、さっぱりわからない。...
      感性が硬くなったのかなあ?
      燃え殻さんとか河野裕さんとか、何書いてんのかわからんのよ。
      人気の伊坂さんの作品も、最近は、さっぱりわからない。
      もはや、読者好きの範疇から、外れてしまいそう。٩( ᐛ )و
      2023/01/16
    • 土瓶さん
      まあ、ただの好みだね^^
      伊坂さんは私も得意とは言えないし、人気の恩田陸さんとかも……。
      まあ、ただの好みだね^^
      伊坂さんは私も得意とは言えないし、人気の恩田陸さんとかも……。
      2023/01/16
    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠

      なんとなく本作見たことがあると思って本棚確認したら登録してました…
      たぶん自分的には合わなくて残念ながら途中で諦めて返却してしま...
      土瓶師匠

      なんとなく本作見たことがあると思って本棚確認したら登録してました…
      たぶん自分的には合わなくて残念ながら途中で諦めて返却してしまったと思います(・・;


      おびのりさん

      伊坂作品同じ感想です
      最近のは…(ー_ー;)
      昔の作品の方が良かったです
      2023/01/17
  • 一風変わった雰囲気の短編を、
    とりとめもなく並べているのかと思って読み進めていたら。。。

    お話ごとに添えられた挿画のスタンプをぽんぽんと紙に捺していたら
    いつのまにか、不思議な国の地図が出来上がっているような。。。
    大人のための素敵なスタンプラリーみたいな短編集なのでした!

    目に見えるものに潔く「グッドバイ」と告げ続けながら
    心に引っ掛かったものはすぐ左の掌に書きつけ、日記に残す女性詩人。

    浜の砂が積った人気のない駐車場を「月面」、
    そこにどこからともなく現れる黒猫を「コクテン」と名付ける青年、バリカン。

    「自転車修理人」兼「鳥博士」兼「雑貨店店主」として
    旅人が必要とするものを魔法のように準備してしまうパスパルトゥ。

    30分の1の幸運の贋ルビーの入った乳白色のジンジャーのアイスクリーム。
    『常夜灯が好きになってしまった天使の話』や、
    幸福だった頃の記憶を反芻して毎日用意される「最後から二番目の晩餐」の食卓。

    などなど、吉田篤弘さんならではの、心惹かれる人々や風景が
    ふんだんに散りばめられて

    「ないものはない」パスパルトゥのお店には
    この素敵なスタンプラリーを完成させるためのスタンプ帳も
    きっとあるのだろうな、と想像を膨らませてしまう、不思議な本です。

  • 「針がとぶ。そこに、わたしの聴くことのできない音楽があった。」
    表題作のこの文章に痺れた。
    有るのか、それとも無いのかは、結局のところ捉え方次第。

  • 青い余韻。月を眺めたくなる。

    短いお話が、少しずつリンクしている。
    それは、とても自然に、
    記憶の欠片がキラリとするぐらい静かで小さくて。
    けれど、温かく、なぜか懐かしい気持ちになる。

    針がとぶレコードの、そこにある聴く事のできない音楽。
    聴けない音楽を想像するように、
    見えないものや消えてゆくものを想う人たち。

    この7篇(+1篇)の、繋がり、本には描かれていない物語。
    あるけれどないもの。そこに見える風景や音を、想像しては愛しく想う。

  • 登場人物が魅力的かつ食べ物の描写が良いので、情景を思い浮かべながら読むのが楽しい。言葉をひとつひとつ拾い集めていく旅をした感覚になった。

  • 短編集かと思いきや、細い糸で繋がった連作でした。

    「月と六月と観覧車」にミルリトンのイタリアンレストラン・アンジェリーナの皿洗い士・バリカンが出てきて何やら嬉しい。

    「金曜日の本」と、おばあさんの日記の「少しだけ海の見えるところ」が特に好き。
    特に日記の方は、本当にすてきな言葉ばかりですべて引用したいくらい。

  • 綺麗な作品、という印象。言葉や話の展開が静かで、わかるようなわからないような、美術館みたいな感じ。好きな人は好きだろうな。
    それぞれの話の繋がり方が不思議で面白かった。

  • またまた素晴らしい本に出会ってしまった

  • パストゥルトゥ
    路地裏の猿
    情景が浮かぶ

  • 2017.08.29 図書館

  • 各々エピソードのキーワードが素敵。

  • 小川洋子さんの解説にあるように読み終わったときとても長い旅をしてきたような錯覚に陥るそんなお話。吉田さんの文章にとても惹かれる。雨の日に静かなあたたかい部屋でゆっくり読み返したい。

  • 吉田篤弘さんの本は、特別に興奮するとか悲しいとか感動するとかはないけど、何故か読みたくなります。読むと落ち着く。
    これもそんな本でした。
    短編の一つ一つが、どこかで少しずつ繋がっていてほんのり不思議な世界観。

  • 2014 6/23

  • 普通の日常風景なのに
    どこか不思議な日常が紛れ込んでる
    短篇集。

    繋がってないよぅで登場人物がリンクしてて
    でも時系列が繋がってなかったりで
    読みながら『あ、コレはあの人!』とか
    『コレはあそこの話し』とか、気付きながら
    読むのも面白かったです。

  • 何てことない何気ない日常が描かれながらも、少しだけ地面から足が浮いているように感じる。それが吉田篤弘の作品。作品世界の居心地が好く、いつまでも読んでいたいと思わされます。
    詩人である叔母の遺品を整理する姪、人の来ない遊園地の駐車場、クロークに忘れられたコート、何でもある雑貨屋パスパルトゥ、ケージから消えた磁石を飲み込んだ猿。それぞれ独立した物語かと思いきや、見えるような見えないような糸で繋がれていました。時間系列をずらして配置することで、それぞれの物語の独自性と繋がりが浮き出ています。

  • 吉田さんの本はすきなんだけど…
    今回のは合わなかったのかも…

  • 大好きな吉田篤弘氏の短編集。
    始めの3話が気に入る。

  • う~ん・・・
    自分には合わないかな

  • 『おかしな本棚』の説明より。
    「視点の変わる連鎖的な長編を書き、そこから何編か抜き取ることで、(レコード)の針がとぶような趣向にしました。」

  • 針が飛ぶ。まさしくレコードの針が飛ぶように、ある一つの話から数章を抜き出して時系列を狂わせる、というような試みだったか。なんにしたって面白い、でも著者の文章をたとえメモ書きだっていいからぜんぶ読みたい私には何だかお預けを食らった気分でもある。
    いつか残りも出してくれないかなぁ。“うしなわれた物語”みたいに。
    パスパルトゥが良い。香辛料の話とか、他作品とのつながりも多かったような。

  • 吉田さんの本は,読んでいて必ず映像が思い浮かんでくる。

    この本では,レコードの針が飛んだ瞬間。ふっと電気も消える。こういうイメージに心がつかまれます。

    この本は短編がリンクしているという形態で,「針がとぶ」の伯母さんの若いころが「月と6月と観覧車」。伯母さんがなぜ手にメモをしていたのかの由来が明らかになる。そして伯母さんの姪であるユイの父親の故郷「どこからも遠い町」であるロングスリーヴスに,伯母さんの若き頃の恋人,文四郎がたどりつく「パスパルトゥ」。文四郎の描いた絵に触発され,クロークルームに1枚だけ取り残されるコートの話を思いつく小説家の話「路地裏の小さな猿」。そのクロークルームのお話「金曜日の本」。伯母さんの日記「少しだけ海が見えるところ」,そして姪のユイがパスパルトゥらしき人に出会う「最後から二番目の晩餐」。

    こう書いてみるととても無粋だ。いろんなことが抜け落ちているような気がする。でも「すべてを望んではならない」。百科事典にも刻むべきだ。

  • 空想をかき立てられる本。落ち着く文章。

  • 文庫になったら手元に持っていたい。

    その絵を見たい。

  • 7/26 読了。
    読むうちにパチパチとボタンをはめるように話が繋がっていく連作短編集。吉田篤弘作品の中ではなかなか好きだった。

  • クラフトエヴィングの本は久しぶり
    やっぱり好きだなぁと思った

    ボレロやつむじ風食堂ともリンクしてて二ヤリとした
    バリカンと猫のあたりは特に
    この微妙な繋がりがたまらない

  • 途中で読み終えるのが嫌になったほど気に入った本。また読みたい。というか手元に置いておきたい。そのうちちゃんと買います。

  • 短編連作集。「針がとぶ」伯母の残したレコードは。「金曜日の本」クロークルームに残された1枚のコートと、マスト・ビー。「月と6月と観覧車」月面と名づけられた遊園地の駐車場とコクテンと名づけられた黒い猫。掌にメモするバリカンとの6月。「パスパルトゥ」ロング・スリーヴス半島での文四郎と道化ズボンの雑貨屋の日々。「少しだけ海の見えるところ」由利子伯母さんの日記。「路地裏の小さな猿」ショート・スリーヴ半島で路地裏の小さな猿を思う。「最後から二番目の晩餐」ユイの旅。
    「どうも腑に落ちなかった。すっきりと物語が終わった感じがしない。それが作者の狙いなのか?だとしたら、じつに巧く出来ている。」まさにそんなお話。

  • 本の好みは人それぞれで、ある人のおススメ=ある人は気に入らない。ということはあるのだけれど。
    ワタシは好き♪やはり胸をはって「吉田篤弘さんが好き」と言えるなあ。(こないだ読んだのは、ワタシ的にはハズレでしたが)
    短編連作。やさしくて静かでさみしくて・・・。ひっそりと、つながっている。
    キレイだけどそれだけじゃない。

    もっと他の著作も読んでみたいです。

  • 透明感のある世界。きれいな世界。詩的な世界。遠い世界。
    深みがないという批評があるのが、どうも気になってしまう。
    きれいなもの→うすっぺらい。というステレオタイプ。

    たしかに生々しさはない。けど、そんなものは満腹になるほど、日常にあふれてるわけで。これはこれで、やっぱりいいんだと思う。

    残された日記。旅する人々。忘れられたコート。響きあうショートストーリー。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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