- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104718030
感想・レビュー・書評
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死を間近に控えた人々の前に「獏」が現れてある提案をする。
人生をある時点からやり直すことができます。
その代わり、やり直す以前の人生の「思い出」をいただきます。
ただし、やり直した人生に幕を閉じるとき、やり直す前の人生の記憶も蘇る、と。
はたしてやり直した人生が幸せになるのか、引き換えに渡した「思い出」を失ったことを悔やむのか、それはもう一度生きてみないとわからないんですよね。すごく難しい決断だと思います。自分で選んで来た人生。それを捨てて別の人生を選ぶというのは、もう一度「生きる」というのは大きな勇気のいること。
果たして自分だったら?
考えずにはいられません。
様々な人たちが獏に「思い出」を授け、もう一度別の人生を歩みます。そして再び死に直面し、最初の人生の記憶を思い出したとき、彼らがもう一度生きた理由が明らかになります。二度目の死を迎えたとき、彼ら自身も知らなかった、もう一つの隠されていた秘密が明らかになるんです。
物語と人の想いが幾重にも重なり、その中から温かい光が溢れ出てくるようでした。
とても切ないけど、悔いの無い静かな喜びに満ちた素敵な物語が詰まっています。
人を愛するがゆえに悔やんだ思いが、実は愛する人をも苦しめていたり、お互いを思いやるが故に余計にすれ違ってしまったり。生きていくって難しいけど、でも素晴らしいことなんだなと改めて実感した一冊です。
後悔しながらも、最後に振り返ったときにこれでよかったと思える人生を送りたいと思いました。
お気に入り度:★★★★☆ (2010年2月9日読了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死ぬ前に人生をやり直す。思い出を食べるバク。
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普通にあたりまえのことができるのが、いちばん大切なんだよって言った。
どんな人生でも晴れもあれば曇りもあります。 -
「あらざるもの」がすき
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死の間際にバクが現れて「もう一度人生やり直せますよ」と言ったら私は何を願うかな。
きっと後悔はたくさんあると思うんだ。あそこでああしていたら、という想いは星の数ほどあると思うんだ。
その中で何を選ぶかなー。
むしろ断わるかなー。
「後悔も含めて自分の人生だ」て。
一番ジンワリきた話は「あらざるもの」。明かされたバクの正体。
“私は、漠です。
あなたの、思い出を食べます。
善き人の人生の思い出をいただいて、代わりに違う人生を作ります。
人生の最期に、幸せだと思える夢のようなものを見ていただきます。
何を望むかは自由です。どんなことでも。
あなたが、それを望むなら。” -
人生をやり直す…まさに事実として。
良くなることばかりではないが、人生をやり直したいと思う時は、そこまで考えられないのも事実。
貴方ならどうしますか? -
死に際に人生のある地点に戻り、もう一度生きるという短編集。
全て40ページぐらいなのであっという間。
実際はもう一階層あって、
最初の話を読んだときそれを理解できなかったけど、
読み返してああそういうことかと。
これによって物語の深みが増した気がします。
人は一人で生きているわけではないってことですよね。
誰かの人生と一緒に生きているのだと。
なんだか考えるととても深い気がする。
ビジネス書よりも、こういう本をテーマに読書会するといいと思います笑
しかしながら他のレビューを読み、そうか、あの話は元ネタがあったのかと。
気づかなかった私はやっぱり読書家ではない…。
古典は読まないんです、という言い訳。 -
小路さんの作品らしく…軽ぅ~く読めましたが…、
いつもと違って…、ちょっぴり…物足りないかなぁ~、
と…思いながら…読み進めましたが…、
各話(短編)とも…、
最後の1ページ(エピローグ)を読んで…なるほどッ!!
エピローグまで読んで…‘もう一度’読み直すと…、
ぐいっと…深みが増す…。そんな感じ…。
二度読み…推奨…な作品でした…(^。^) -
私の読解力の問題なのでしょうが、誰と誰が話しているのか分かり辛くなる部分もありましたが、それぞれの優しい物語で読後感は良かったです。
最初は頭に?がいっぱいでしたが「J」で気付かされ、思わずそれまでの物語の終わり部分も読み返してしまいました。
「すばらしきせかい」は感動しました。
結局、一連の物語に出てくる「バク」は、八郎であるという解釈でいいんですよね(;´∀`)
自分の読解力のなさがちょっと悔しくなる作品でした 笑 -
あなたの人生が終わる時、人生のとある瞬間に戻ってやり直せるとしたら、どうしますか??
というお話。
人生をやり直せるとしたら、というのは繰り返しいろんな作家に描かれているテーマではあります。
(流星ワゴンなんかもそんな感じでしたね。)
様々な人の人生の帰路を小路幸也らしく軽く柔らかく描いた、素敵なお話でした。
物語の最初に出てくる『獏』との会話が全体の雰囲気をまとめていて、
かついくつかの話がつながったり繋がらなかったりする感じがなんとも小路さんぽく、
読後感もさっぱりほんわか切ない感じで良いかんじでした。
この日とほんとに普通の人を書くのが上手い。
そして有川浩っぽくもある日常感と、
少しの切なさが優しいお話でした。
日々お疲れのあなたにオススメの一冊笑