つやのよる

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 369
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104731039

感想・レビュー・書評

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  • 『つやのよる』は「通夜の夜」であり「艶の寄る」でもあり。死の床に就く女性「艶」と関係のあった5人の男と、その妻や娘たちが語る「艶」と男たちの話。艶について語っているようでその実、自分の男への気持ちをあぶりだそうとしているよう。男たちはなぜ艶に惹かれ、女たちはなぜそんな男を求め続けるのか…

  • 死にゆく主人公・艶(つや)に関わった人々を次々に主人公に据えて、その人からの視点で描かれる小説。
    読み始めたときから、主人公の艶に対し嫌悪感をいだいてしまう。
    主人公の性格がまったく違えど、『ポルトベーロの魔女』をふと思い出した。

    数年前から井上荒野の小説に惹かていくつか読んできたけれど、女性のどろどろとした話を求めているわけではないので、しばらくは読まないでおこう、と思う。
    世の中的には、昼ドラのようなシチュエーションは人気のある題材なのかしら。。


    あと井上荒野の結婚観は少し前の感覚なんだな、と確信した。
    『だりや荘』では、不妊治療をあきらめた夫婦の妻が28歳だったが、本書の遅い結婚をした息子は32歳とか。年齢を明かされるまで、不妊治療をあきらめたという表現では、40歳くらいかなと思ったし、遅い結婚をした息子は40歳過ぎだろうと思ってたし。

  • なんだか不思議と引き込まれるモヤっと感だったが、最後の艶と最後の夫松生の章ですっきりさせてほしかった。全部がモヤっとしたまま終わった感じ。

    あんまり面白くなかった。

  • 夫と、恋人と、父と、関係のあったらしい奔放な謎の女の危篤の知らせをきっかけに、自分の男を見つめ直す女たち。男と女の心の奥の奥を鮮やかに照らし出し、愛のありかを深く問う長編。

    あんまり面白くない・・・。

  • すごく、さりげない色のある小説。
    色艶。それがやらしくなくて、なんか落ち着いている。
    そんな落ち着いた話でもないのに。

    深く、でもどっぷりと、っていう感じでもなく、
    小説の世界に浸かっていく感覚。
    ひたひたと、荒野さんの小説につま先から浸かっていく。

    そういうのがなんとも面白くて。
    奥深くにある小さい燻りみたいな、
    そんな感情が引きずられるようだった。

  • 性に奔放な謎の女「艶」と、どうやら関係があったらしい男たち、そしてその男たちと関係のある女たち。
    一見平凡そうな女性でも、実はみな心に深いドラマを抱えていると気づく。

    私的には残念ながらイマイチだった・・・
    艶って人が思っていたよりも鮮明に描かれていなかったし。艶に少なからず関わっている人の目線からこの女性の事を描く、という手法は面白かったが、話がバラバラすぎて、そして一つ一つがちょっと物足りなくて
    流して読んでしまった。

  • 死が近い女性、艶。その艶と深い関係があった7人を描くことで、艶が浮き彫りになる。
    艶を若いときにレイプした従弟の妻。
    艶の最初の夫の愛人。
    艶の愛人だったかもしれない男の妻。
    艶がストーカーしていた男の恋人。
    艶のために父親の捨てられた娘。
    艶を見取った看護師。
    艶の最後の夫。
    艶が最期を迎えるときを皆が知る。
    人間は死ぬまでの長い間、ものすごく人に影響を与え与えられているんだと思った。ただこの艶とは関わりたくない。

  • 最初タイトルを見たとき、「つや」とは通夜のことかと思ってしまった。しかし、読み始めてすぐにそれが「艶」という女の名で、死の床に瀕しているらしいことが分かった。あながち、「艶と通夜」のイメージが間違ってだぶったわけではないらしい。そして、この「艶」は決して表立っては登場しない裏の主人公でもあった。 なかなか技巧をこらしたシチュエーションで、「艶」が直接登場する話は少なく、各編を通して他人の口から次第に「艶」の人柄や、名前通りの男性問題の数々が、間接的に明らかになっていく。そして、それぞれの物語は、「艶」の登場によって、少なからずその人生に影響を受けた人々の回想であり、現在でもある。 井上さんの小説をたくさん読んでいるわけではないが、この小説にも独特の、何か土着的なエロスの匂いがある。各編で描かれる女たちの情交は、まるで第2の「艶」が生まれ出てくるかのようだ。

  • 一人の女性と関係のあった男性の、妻の視点で話が進んでいくところに怖さを感じてしまいます。怖さというか、凄みといういうか、いやはや。そこまで男性を虜にしてしまう女性とはどんな感じの女性なのでしょうか?その辺の想像をかきたたされる物語です。どの様な女性を想像するかは、自分の経験や趣味が否応無く反映されてしまいますね。一番最初の物語の石田行彦氏と、伝馬愛子氏のストーリーのを別の物語で読んでみたいと思いました。なんか、面白いストーリーが背後に隠れているような気がします。

  • 2010.6.28

    三浦しをんの「私が語りはじめた彼は」とか、朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」みたいに、まわりの人々のお話から、その人が浮かび上がってくる手法。

    やっぱり、関わりたくない~~

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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