ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短篇集

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105014087

作品紹介・あらすじ

いずれ満開に咲こうとしている恐るべき才能の原点。「早熟の天才」は、デビュー前の若書きも凄かった! グレニッチ高校時代から二十代初めまでの、ニューヨークの公共図書館が所蔵する未発表作品14篇を厳選。ホームレス、老女、淋しい子ども――社会の外縁に住まう者に共感し、明晰な文章に磨きをかけていく。若き作家の輝けるヴォイスに触れる貴重な短篇集。解説・村上春樹。

感想・レビュー・書評

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  • ここから世界が始まる。最後の短篇のタイトル、それこそがこの一冊を物語るすべてだった。一篇わずか数ページ、過剰に説明されずすべてを語らず、覚えのある感情は痛みを伴って胸の底に揺らいで落ちてゆき、しんと沈んだまま凍りつき掬い上げられることなく物語を閉じる。まるでそのあとに始まる嵐の前の静けさ。一体何が起こり、どこへ行き着くのか。熱を持つ口内炎。ばれた嘘。近づいてくる別れ。静止流星が刹那に輝き燃え尽きるように、真っ暗闇になってもいつまでも光の残像が心の中に刻まれる。カポーティの光はずっと胸の中に堆積してゆく。

  • イノセンスを強く感じれる短編集。

  • カポーティの初期、10代から20代の頃の作品集。短編14作品。一番最初の「分かれる道」で、良い意味で期待を裏切られて、じんわりきた。その後も全ての作品に様々な背景を持つ人々へのあたたかいまなざしが感じられた。
    編集者による後記に、社会の外縁に住まう者への共感、とあったけれど、まさに、根底に人々への共感がある。10代でそういう風に社会を見ることができるのがすごい。なぜか、清々しい気持ちになる。

  • 高校生から20代初めの時期のカポーティの未発表短篇集。村上春樹の解説もあり。けっこうシンプルな短篇が多いが、自分はけっこう好みだった。作品解題には、カポーティがいろんなアウトサイダーに注目している、という点が書かれていてなるほどと思った。

  • 『ティファニー』も『夜の樹』も『冷血』も、さびしくてあまりにも鮮烈でだった。やっぱりこういう人のことを「規格外の天才」って言うんだな。

    『知っていて知らない人』『これはジェイミーに』◎

  • 初期も初期。
    十代の頃のカポーティが学校の文芸コンクールに出した作品なども読める。
    編集者の手の入っていない真っ新の若書き。
    でも、最初からカポーティはカポーティだったのだということがよくわかる。
    青い老成。懐かしく不穏。

  • カポーティ、高校生から二十代の「習作」短編集。
    後の作品の魅力である柔らかさ、恐ろしさ、冷たさ、温かさはこの頃から持っているんだなぁ…。
    やっぱりカポーティ、大好き。
    どれも胸に残る、とりわけ「これはジェイミーに」が読後ずっと頭で響いている。

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