惑う星

  • 新潮社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105058777

感想・レビュー・書評

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  • この著者の作品としては読みやすく、長さも適度。内容はまさに現代のアメリカン・リベラルの本流というか、「この人、トランプのことが大嫌いなんだろうな」という感じがヒシヒシと伝わってくる(それが本題ではないが)。

  • 話の中に出てくる惑星の描写がとても素敵
    でも主人公の子育て方針には賛成できかねるので、読んでてつらかった
    子供のためと言いながら、結局自分のためだよね
    結末は予想通り

  • 愛しい妻を事故で失ったシーオは、9歳の息子ロビンを育てるシングルファーザー。ロビンは最愛の母を失って精神的に不安定な上に、感情を上手くコントロールできずに度々学校で問題を起こしてしまう。しかしとても賢く才能にあふれてて、母が取り組んでいた動物保護に真剣に取り組むし、宇宙生物学の専門家であるシーオと2人で考え出す魅力的な宇宙の星々は、想像力に富んでいてとても楽しい。
    シーオはなるべくロビンと対等に向き合い、彼の為になるよう行動するのだが、最終的には恐ろしい悲劇を迎える。妻を失い残された大切な息子を必死で守ってきたシーオの胸の内を思うと、いたたまれない。

  • 人と人が完全に分かり合うことは、宇宙人を見つけるくらい難しい。そんなに難しい事なら、やめてしまおうか…

    人と人の分かり合えなさというテーマはよく見るけど、この切り口は新鮮だった。
    そして、4歳児を子育て中の身としては、「子供との分かり合えなさ」というテーマが辛かった。
    少し前までは、「息子の考えていることは全てお見通し」って感じで、そこが愛らしかった。ついこないだまで赤子だったし。最近は、少しずつ、想定外の言動が出てきたような…そして、間違いなく、今後はその割合が増えていくのだけど、そんな事には、できることなら目を向けたくない。「いつまでも、僕の目と手の届く範囲にいる赤子でいてほしい。」そんな思いに気づかされた。「子離れ」ってもっと大きくなってからのものだと思ってた。
    とても悲しい話で、読後は帯の上田岳弘さんの「奇跡の惑星に生まれ、”奇跡”の意味をまだ知らない」という言葉が響いた。読後に眠れなくなった本はいつぶりだろう。

    訳者解説にあったが、「惑う星」という邦題はめちゃ良い。
    装丁も著者名馬鹿デカだけど、カッコよくて、示唆的で良い。

    「完璧な人などいない」「でもね、私たちはみんな、完璧からの外れ方がすばらしいの。」

  • 非凡な少年に弱いのアタシ。

  • 回りくどい表現や行間のわかりにくさにつまずき、惑星や物理などやや難解で遅読。ASDの子をもつシンパパの奮闘、自然や動物愛護、宇宙への焦がれ、脳科学への興味…いろいろ知識とトレンドをばら撒いているかんじ。愛する人の死や死者へのシンクロ前後など、感情の揺れや移りの表現を、宇宙の広さや不確定さにもっと繋げるとか?期待していた。

  • 宇宙生物学者の父シーオと、9歳の精神的に不安定な息子ロビンの物語。『アルジャーノンに花束を』を下地に置いているが、変わってゆく息子を見つめる父親視点で語られているのが特徴。生命や宇宙への敬虔な眼差しを、易しく情緒のある文体で綴ってゆく。

  • 1年に2冊リチャード・パワーズ読めるとは。
    「黄金虫変奏曲」の方が前評判高かったけど、個人的にはこっちかな。とっつきやすさ、分量の手軽さもあるけど、子持ちには刺さるわ。いや、ウチ2人ともロビンより大きくなってるけど。
    父親としては「もしロビンがウチの子だったら、嫁さんに先立たれてたから」って「自分ならどうする?」で読んじゃうからグサグサ来る。
    恥ずかしながらと言うか食わず嫌いでアルジャーノン読んでへんけど、自分が退行してることがわかる知性って辛いんやろな。まだらボケ老人とか想像するだにゾッとする。いよいよリアルな年齢になって来たし。

  • 読了してから丸いちにち、いろいろ考えたけれど、この小説の感想はちょっとした字数で、気の利いた感じで書けるようなものじゃない。一生かかるようなテーマだな、とおもう。だからもう少し長い時間をかけて、パワーズにおける科学と非科学というか、未科学の領域の拡張可能性(それは取りも直さず文学の、想像力の問題だ)について、考え続けなければならない。合理主義的な相対主義的態度に、いまこそ抗う必要がある。

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著者プロフィール

1957年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住。2006年発表のThe Echo Maker(『エコー・メイカー』黒原敏行訳、新潮社)で全米図書賞受賞、2018年発表のThe Overstory(『オーバーストーリー』木原善彦訳、新潮社)でピューリッツァー賞受賞。ほかの著書に、Three Farmers on Their Way to a Dance(1985、『舞踏会へ向かう三人の農夫』柴田元幸訳、みすず書房;河出文庫)、Prisoner’s Dilemma(1988、『囚人のジレンマ』柴田元幸・前山佳朱彦訳、みすず書房)、Operation Wandering Soul(1993)、Galatea 2.2(1995、『ガラテイア2.2』若島正訳、みすず書房)、Orfeo(2014、『オルフェオ』木原善彦訳、新潮社)、Bewilderment(2021)。

「2022年 『黄金虫変奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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