ガルヴェイアスの犬 (Shinchosha CREST BOOKS)
- 新潮社 (2018年7月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105901493
感想・レビュー・書評
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突如宇宙から名も無き物体が落ちてきて、硫黄の匂いが染みつき干からび始めた村。魔術的な言葉で語られる人々の愚かな過ち。石灰の味がするパン。はびこる犬。そして一片の希望。
最後は田舎特有の閉塞感が一気に開放されて、宇宙の秩序が見えた気がした。表裏一体と原点回帰。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SL 2020.3.6-2020.3.10
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ガルヴェイアスという田舎町の、様々な人々の生のあり様を綴織のように描いていく。読んでいて、マルケスの『百年の孤独』をちょっと思い出したが、そこまでのスケール感はなく、ラストはうまく収めたなとは思いつつも、やや既視感がある。
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息をのむ美しい描写と、
眉をひそめずにはいられない汚ない表現と、
くすりとさせられるユーモアが
凄まじい振り幅で襲いかかってくる。 -
隕石が落ちてこなくても、硫黄臭くならなくても、きっとこの村はこんな感じで、もっといえば人間ってこんなものなのかな。
誰が誰やら行きつ戻りつ、まるで噂に惑わされるように。 -
珍しいポルトガル小説。翻訳に感謝。
原題の「ガルヴェイアス」に「犬」を付けた邦題が秀逸。
隕石?が落ちてきて旱魃を引き起こし硫黄の臭いが村中に、パンにも染み付くのだが、「それはそれとして」というノリで平凡な村人の喜怒哀楽とそれぞれの物語が重層的に語られる。日常にかまけて人が見落としたもの、忘れたことも犬は覚えている。
不思議なテイスト。再読したい。 -
巨大な何かが落ちてくるという非日常とその村の人たちの日常の群像劇。
ポルトガルの小さな村は、消失するわけにはいかない。誰もが自分の故郷には、未来があると信じたい。 -
会話を追うのが大変でした。不思議な世界を旅した気分。
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現代ポルトガル文学を知りたいと思って読んでみたが、重層的な場面転換が続くモザイク的なストーリー展開をなじみのないポルトガル名の登場人物で追うのは辛かった。