お殿様たちの出世: 江戸幕府老中への道 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035852

感想・レビュー・書評

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  • 江戸幕府の老中制度を草創期から終焉まで、その移り変わりを描いたもの。
    江戸時代の歴史を読めばいたるところに老中が出てくるが、その位置づけやどういう大名がなっていたのか、将軍との関係などはわからなかった。
    それをしっかりと解説してくれていてありがたい。

    特徴的なのは徳川家の家政機関を全国統治に転用したということ。しかも当初は将軍の伝達器官であったことから、側近や中小譜代がなるものだったこと。
    鎌倉幕府や室町幕府が全国統治を考えた組織であったのに比べての違いは、将軍の代理の統治者に、鎌倉幕府は北条氏の執権、室町幕府は足利家の縁者の三管領を選んだのに対して、中小譜代(将軍の手足)を選んでいること。

    この本の纏めにもあるが、将軍の権威があれば問題ないが、将軍が幼少など機能せず、かつ親族や大大名などが政策に口出ししてきた場合に、軽量内閣では通じなくなる。
    幕末の混乱はその弱点が露わになったものであり、井伊直弼の強権政治や有力大名の政治関与をしても繕えなかったということではないか。

    もっとも250年も政権をきちんと維持できれば、立派に機能した政権構想であろう。

  • 歴史好きだけじゃなく、会社務めの人なら楽しめると思う。

    室町時代末期から安土桃山時代を経て江戸幕府が成立するまでの、いわゆる戦国時代は武勲を立てるなりで出世出来たわけだけども、幕府成立後はそうそう合戦も無い。

    そんななかどうやって政治の中枢である老中になっていったのか。
    歴代老中の変遷やエピソードなんかをまとめてある本。


    そんな出世方法の変化も中々面白いんだけど、写真の資料で老中達が印鑑を押した文書なんかが出典してあって、当時も何するにも決裁行為があったんだな~と、普段何かといえば決裁起こしてる自分がかぶっちゃったりしてオモシロス。

    そんなに重厚な作りでもないので、軽い気持ちで読めます。

  • 歴代老中は、なぜその時代に老中となったか。時代によって老中に求められる役割は異なった。また、老中を出す家格も異なる。

著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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