ミッドウェー海戦 第一部 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037061

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクションよりは歴史小説風。
    澤地久枝 著「記録 ミッドウェー海戦」は労作であり傑作だと思う。併せて読んでよかった。

  • 歴史書系かと思って買ったが、読み物的(著者の語りが随所にはいる小説風)な本だった。とは言え、戦場にいた人々等の関係者に取材をしたり、史料にも色々あたって、戦場の霧の向こう側を再構成しようとしている。ミッドウェー海戦について大体のところは知っていたが、ディテールを知るといろいろ興味深いポイントがある。体験者へのインタビューで生々しい思いが述べられている点も良い。

    この本の難をあげると、全般的に時系列が前後することの多い記述なのだが、登場人物が多いうえに、文章の脈絡が不明瞭な箇所も散見され、読んでいて流れを見失うことがあった。もう少し分かりやすく書けないかという気がする。
    (「飛龍」と「蒼龍」の書き違いもあったり。。。)


    ・副題にもなっている日本軍の驕り。真珠湾攻撃前の悲壮感との対比ですごくハラ落ちした。

    ・米軍は情報戦で優位な立場にあったのだが、航空部隊の運用のつたなさで危うくその優位をフイにしかけていた。空母同士の戦いはちょっとしたきっかけで勝敗が決する。「日本軍は不運だっただけ」というスプルーアンスの言は本音と思われる。

    ・そもそもミッドウェー攻略の意義は。敵機動艦隊を誘い出して決戦というのも、作戦として筋がよいとは思えない。ただ、ミッドウェーを占領してもハワイからどんどん攻撃されたであろう。そうすると占領と敵艦隊撃破の両方が必須か。それができてもハワイ攻略なんて無理そうな気がするが。

    ・日本海軍の人事異動。育成目的でベテラン部隊から他に転属させる必要はわかるが、そんなに一線部隊の練度が落ちるほどだったのか。

    ・日本的な内部の和を求める志向に、あまり安易に後知恵で敗戦の原因を求めたくはないが、恩給のために鈍足戦艦をノコノコ連れて行く風景は、なんだか理解できすぎてイヤだ。

    ・真珠湾で油槽を攻撃しなかったのは国際法違反を恐れていたからという話ははじめて聞いた。後の米軍による空襲を思えば、そんなこと気にしている場合ではないと言いたい。ただ日本とすれば短期決戦での講和を前提としていたので止むを得なかったか。アメリカはとことんやる覚悟。そういう見地でも、負けるべくして負けた戦争。

    ・レーダーの有無とか、誘爆への備えとか、基本的な部分での差もけっこう大きかったよう。

  • エピソード挿入のために時系列が前後してどうにも読みにくい。

  • 司令官のエピソードが面白かった。

  • ミッドウェー海戦だけに特化してここまで詳しい本は初めて読んだ。
    関係者への実際のインタビューや書簡の引用が多く、記述の信頼性は高いように思う。「本日敵出撃の算なし」との誤認識が敗戦主因だとする見解はやや新鮮だが、指揮官像や情報軽視に関して随所に顔をだす著者の主観が、先行他書や既存の分析によるバイアスがかかっており、著者自身が一次情報にあたって抽出したものではないように感じた。

著者プロフィール

1941年、大阪市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。専攻・国際関係論。日本文藝家協会会員。
主な著書として、『敷島隊の五人(上下)』『零戦の誕生』『暁の珊瑚海』(以上、文春文庫)、『ミッドウェー海戦(第一部・第二部)』(新潮選書)、『勇者の海』『空母瑞鶴の南太平洋海戦』(以上、潮書房光人社)、評論として『特攻とは何か』『松本清張への召集令状』(以上、文春新書)、『作家と戦争――城山三郎と吉村昭』(新潮選書)がある。

「2020年 『ラバウル航空撃滅戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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