水危機 ほんとうの話 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037115

感想・レビュー・書評

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  • 研究者視点の水問題に関する本が欲しかったので、大阪で購入しました。
    結構分厚く、内容も濃かったので読むのに時間がかかりました。

    水問題の中でも水源地買収や河川管理など、自分が興味のある分野についての言及があったので非常に参考になりました。
    水源地買収の一環で危険視される中国などによる森林買収については疑問に思うところがあり、自分なりの考え方の形成の役に立ったように感じます。わたしと著者ではレベルが違いすぎますが…
    海外の水メジャーと呼ばれる企業の動向に関してはなるほどと思うところが多かったです。

    文調自体はさらっとしているので文章として読むのにはまったく詰まるところはありませんが、水文学という理系の知識に基づく話が基礎になっているので、決して片手間に読む本ではないです。
    水問題と一口に言っても、全体の概要だけではなく、自然災害、気候変動、国際河川、仮想水貿易などなど細かい分野についての言及も多く、網羅的に学ぶことができます。
    がっつり勉強したいという人におすすめです。

  • 前書きからして、科学者としてのプライドや信念に満ちていてワクワクするし、佐々木葉さんがTwitterで書いてた「とにかく最高に頭のいい人の書いた本だよなぁ」というのもよくわかる。科学的だし、ロジカルだけど、読みやすくて、説得力がある。

    記述が水管理全般にわたる網羅的なものなのに、人間味があって、濃淡がある。降雨や流況、そして人間社会による流況へのインパクトといった下りは著者の真骨頂。
    また、水防災のためのB/Cを、経済成長の停滞や被害額といった事柄と絡めて議論するという視点は、新しいし、本質的だと思った。

  • この本は、良書だと思う。

    詳しいレビューなどは他の人も書いている通りだと思う。


    自分にとってよかったこと。
    「水文学」という新しい分野を知ったこと。
    各章ごとの要点がまとめられていて、読み返す時にちょっとした索引になるので便利。
    巻末にこの本で取り上げられた文献一覧が載っていること。英語文献が圧倒的に多いが、日本語訳で出版されているものもあり、読んでみようと思ったこと。


    とにかく、水問題に関して興味・感心のある人には、絶対にお勧めできる本。

  • これは良かった。水に関係する話をなんでもという感じ。かなり非常識がはびこっているのだなあと思う。その辺が平易に解き明かされる。最近こういう全く未知の分野でわかりやすく解説されてる奴は大好きだなあ。例えば水環境についてに限れば、節水は常に良いとは限らないが世間的にはそうは思われていないなど。

  • 変な使い方をされることがあるバーチャルウォーターという指標について、適切な考え方が書いてあった。ところどころにユーモアに富んだ脱線があって、面白く読めた。

  • あとがきに
    研究とは,「不思議」や「非常識」「不見識」を「当たり前」にしていく作業である。

    水と水循環に関する基本原理
    1 地球上の水はなくならない
    などをしめし,

    次に常識と思われていることをいくつか示す。
    1 節水は善行で,たくさん使うのはいけないことだと無批判に思っている。
    などなど

    そして判断基準として
    1 間違っていないが正しいともいえないこともいっぱいある
    2 銀の弾丸はない
    などなど

    これらの頭の体操をしてから,水問題に取り組んでいる。
    最後にこれをやる方法もあるかも。

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