武士とは何か(新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038907

作品紹介・あらすじ

源義家から伊達政宗まで、中世武士の行動原理に迫る――! 平安後期から戦国時代にかけて、政治・社会の中心にいた中世武士。日常的に戦闘や殺生を繰り返していた彼らのメンタリティーは、『葉隠』『武士道』で描かれた江戸時代のサラリーマン的な武士のものとはまったく異なっていた。史料に残された名言、暴言、失言を手がかりに、知られざる中世武士の本質を読みとく画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 世に膾炙している名言を通じて、武士の真の姿を探っていくコンセプトが面白い。

  • 序文を読み流したため、本書が良くある歴史人物の
    名言集から導く歴史テーマの解説と思い退屈気味に
    時間をかけて(飽きて)読んだが、最終章を読んで
    言葉(虚実併せて)から内面を問う武士の本質を紐
    解く一書だと分かる
    昨日知った藤木久志先生が説く「自立の村」に通じ
    る自立救済が中世初期の武士の発想の根源だったが
    やがて暴力の社会にも秩序が生まれ「喧嘩両成敗」
    という「秩序」らしき慣習になり、戦国大名という
    組織が利用して戦の世のルールとなる
    やられたらやり返すが家臣たちの中で乱発すること
    は組織崩壊になるので、理由の如何を問わず喧嘩を
    したら双方死をもって償う、(自力救済)報復を我
    慢して仰いだ者に勝訴という利益も与える(´・ω・`)

    この感覚を知ったのは時代を理解するのに有難い
    (清水克行先生の喧嘩両成敗の誕生読んだのにw)

  • 筆者曰く、「武士発生論は手詰まりの状況にある」。荘園内の有力農民が自衛のために武士になった、という説明は今では完全に否定されている。
    本書は、有力武士の発言をなぞりながら、「武士とは何か」を描きだす。
    一言で言えば、独立心の強さが武士の本質だろうか。鎌倉時代以降の中世社会における正当な武士は、貴族上がりの都の武士ではない。東国の武士に代表される、「傍流ないしセミ・プロ」の武士たちである。土地を与えてくれない上司に対して、軍役でもって貢献する必要はない。主君に仕える必要はないのである。主君に忠誠心を以て仕えるという武士像は、特に1660年以後の太平の世において、武士が仕える先が主君ではないくて家となった、いわばサラリーマン化した時代以降のものにすぎない。

  • 表題から自分の想像と異なる切り口ではあったが、とても面白く拝読した

  • 平安後期から戦国時代までの様々な武士(例外あり)の発言を読み解いた小篇をまとめた一冊。そこから浮かぶ武士の心性の面からアプローチした武士論が終章となっている。それらの虚構性についても論じられており、各時代認識の点でも面白い。

  • 江戸時代の武士は本来の一所懸命の武士からは変質した。自分の領地を持ち、それを守ろうとすることが武士の原点である。領地のために懸命になるから一所懸命である。領地の御恩があるから主君に奉公する。これが承久の乱で朝廷を打ち破った鎌倉武士の原動力であった。

  • 源義家「降人というは戦の場を逃れて、人の手にかからずして、後に咎を悔いて首をのべて参るなり」/平時忠「この一門にあらざらん人は、みな人非人なるべし」/藤原定家「紅旗征戎、吾が墓の上に懸けよ」/源義経「関東において怨みを成すの輩は義経に属すべし」/源頼朝「日本国第一の大天狗は更に他の者に非ず候か」/畠山重忠「謀反を企てんと欲するのよし風聞せば、かえって眉目というべし」/源実朝「源氏の正統、この時に縮まりおわんぬ」/北条政子「その恩、既に山岳より高く溟渤より深し」/北条義時「君の御輿に向いて弓を引くことはいかがあらん」〔ほか〕

  • <目次>


    <内容>
    元は共同通信の12話完結の「名ぜりふで読み解く日本史」。これを利用して、武士の名せりふ、名言を元に「武士」をひも解こうとしたもの。ただし、うまくいったかは?どうも呉座さんの言い回しが私には響かないんだなぁ…。さまざまな学者の説を分析しながら解いていくのだが、否定的な発言が多く、武士の姿は見えてこなかった。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター助教
著書・論文:『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社、2016年)、「永享九年の『大乱』 関東永享の乱の始期をめぐって」(植田真平編『足利持氏』シリーズ・中世関東武士の研究第二〇巻、戎光祥出版、2016年、初出2013年)、「足利安王・春王の日光山逃避伝説の生成過程」(倉本一宏編『説話研究を拓く 説話文学と歴史史料の間に』思文閣出版、2019年)など。

「2019年 『平和の世は来るか 太平記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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