- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104473
作品紹介・あらすじ
七代團十郎の鶴雑煮、瀬戸内の海水むすび、松茸出汁の蕎麦、伊勢の舟盛、糸魚川の鯛の潮煮、由比の鱚の蒲焼、五代高麗蔵の牡蛎雑炊…。幕末の名優・三代中村仲蔵の自伝『手前味噌』には、諸国の珍品、名物の記録が数多く遺されている。食べ物だけでなく、東海道から中山道、越後、伊勢、尾道など、旅興行で巡った土地の人情、風俗も活き活きと描写され、江戸時代がいかに豊かだったか実感できる美味しい一冊。
感想・レビュー・書評
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新書文庫
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雑炊とおじやは同じもので、おじやとは女房詞というのが新鮮に感じました。
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歌舞伎役者のぐるなび。
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江戸から明治にかけて活躍した歌舞伎役者の日記をもとに「江戸の食」が書かれている。
地方巡業もしてるので、江戸ばかりではなく、大阪も富山や金沢あたりまで行っていたようで、その土地土地でのうまいもの(まれにひどいもの)をあれこれ食べていた様子が楽しい。
でも、鳥だからといって鶴はちょっと引くなと。 -
江戸時代の歌舞伎役者中村仲蔵の自伝「手前味噌」を読み解きながら、当時の食文化を紹介する。
薀蓄系の本ではあるけれど、仲蔵の人柄もあってか実に楽しく読んだ。
読んだ端から誰かに教えたくなるようなネタ満載。
ふんだんに使われている図画も興味深かった。
こういう本、好き。 -
理事長のおこぼれシリーズ。やはり歴史にはどうしても興味がもてない・・・。
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江戸時代の食生活。
そんなもの知って何になる?と問われると非常に苦しいが。
でも、面白い。息抜きにピッタリ。ソファの上かお風呂の中で読むのがオススメ。
うっかり電車の中で読んでしまったので☆一つ減点。腹が減って仕方がなかった。
江戸時代の歌舞伎役者中村仲蔵がつけていた食日記を考察するのが本書。
蕎麦ウドン、すし天ぷらから納豆汁や鶴まで。
それぞれ見出しがつけられているので、どこから読んでも楽しい。
一番の衝撃が鶴。食べるなんて想像できません。そもそも美味しそうに思えない。
と、やはり食べても美味しいものではなかったらしい。一種の縁起物だったそうな。
鶴は、観るものさね。 -
中村仲蔵と言えば三遊亭円生、ってことを言うと歌舞伎ファンには馬鹿にされるのであろうが、自分にとって中村仲蔵は学生時代に聞いた円生の落語のタイトルで知った歌舞伎役者の名前だ。(そう言えば「円生」名跡の後継者問題はどうなったんだろうか?)
ここで言う仲蔵は江戸末期から明治初期を生きた歌舞伎役者で、血筋も決して良くなく旅芸人として長く不遇の時代を過ごしたのだが、彼が食道楽でかつ日記を小まめに付けていたとは驚いた。しかもその日記をベースにして「手前味噌」と称する自伝が出版されており、それも青蛙房(円生本など落語関係に強い出版社)から復刻出版されていたとは迂闊にも知らなかった。
本書は仲蔵が興業のために日本の各地を旅するなかで出会った各地の旨いものや名物の食べ物についてその「手前味噌」に書かれた部分を集めたものを紹介したものだ。
例えば蕎麦についても、信州は信濃町で食べ経験から「蕎麦は名物ゆえ旨い、露汁のだしが鰹節ではなく、近辺の川で捕れる雑魚のだしなれば、頬や上顎に突つき、痛くって邪魔になり喰えず」とあり、また甲州では「松茸で出汁をとっている」と江戸期の地方、地方の蕎麦を通して見た食文化が伺える資料としても貴重なものだ。
そのほかにも伊勢での姿造りや雉とかの高級食材から箱根道中での団子や芋などおやつ替りの庶民の食べ物など様々なものが出てくるので、当時の知られざる食生活が伺える。また各地の旅情報というかグルメ情報として読んでも楽しくなるものだ。是非とも今度は仲蔵本人の手による原本「手前味噌」を買う事にしよう。