財務省 (新潮新書 475)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104756

感想・レビュー・書評

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  • 「日本を牛耳る悪い奴ら」か、「日本最良のエリート集団」か。「財務省支配」の実態、消費税論議のポイント、職員たちの私生活まで「ミスター円」が大公開!

    「省庁のなかの省庁」として、霞が関に君臨する財務省。歴代の政権をコントロールしてきたとも言われる彼らは、「日本を牛耳る巨悪」なのか、はたまた「日本の最後の砦」なのか。「ミスター円」と呼ばれた元大蔵官僚が、豊富なエピソードも交えて古巣の姿を詳述。「財務省支配」の実態、消費税増税論議のポイント、永田町との関係、職員たちの私生活まで、これ一冊で財務省のすべてが分かる!(2012年刊)
     まえがき
     第一章 省庁のなかの省庁
     第二章 財務省の組織
     第三章 財務官僚とはどんな人達か
     第四章 「大物次官」達の肖像
     第五章 財務省は悪役でいい
     第六章 財務省支配の功罪

    うーん当たり前すぎて、さほど目新しさはありません。内容も浅く元大蔵官僚ならではという部分はあまり感じられませんでした。類書である「大蔵省―官僚機構の頂点 (講談社現代新書 川北 隆雄)」とか「 財務官僚の出世と人事 (文春新書 岸 宣仁著)」を超えるものとは言えません。
    本書の価値は、元大蔵官僚が実体験に基づいて古巣の事を書いているという点にあります。その善し悪しは別として、三権の一翼を担う行政の官僚がどの様な考えを持っているのかが窺えます。例えば、
    「国家公務員は事実上「政治家」である。(役人が根回しなどの政治的準備を行って法律をつくっているから)」とか「日本の国会議員達は「立法者」というより、アメリカでのロビイストの役割に近い存在。実際には「立法者」とは言えない国会議員達が偉くなりすぎたと感じる。(政治家の歳費をカットしろ)」という発言はなるほどと思いました。
    これを、大蔵官僚の奢りであると断罪することは簡単ですが、なぜ政治主導が行われないのかを理解する一助ではあります。政治家も官僚を使いこなす力量を持つことが重要です。

    私としては、裏を取るつもりで古本を買ったのでその意味で損はなかったですが、読みやすいので、財務省(大蔵省)について知りたい方には一読の価値はあります。

  • 「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省の実態を紹介した本。

    「ミスター円」と呼ばれた元大蔵官僚であった榊原英資さんが、官僚時代のエピソードを交えながら、財務省の組織や財務官僚の姿などを語っています。

    国の歳入と歳出の両方をコントロールする財務省。それゆえに「省庁の中の省庁」と呼ばれ、政治をもコントロールしてきたと思われています。では、実際に財務省はどんな官庁なのか。財務省という官庁について紹介しています。

  • 図書館でなんとなく。日本の公務員の総人件費は対GDP比で6%。イギリスやフランスの半分程度でOECD主要国中最低(OECD2007)
    公務員の数は人口1000人あたり42.2人、国家公務員の数は4人というデータを持ちだして、まず削るべきは議員歳費という主張を展開している。

    榊原氏が主計局の主査以上はまったく経験していないという話がおどろき。

  • ミスター円の財務省解説本。「官僚」というと悪いイメージが先行してしまうが、彼らは紛れもないエリートであり、諸外国に比べ圧倒的に少数で国を動かしている。
    「黒衣に徹するというのは、実は強い自信とプライドがあるからこそできることです。」これが官僚の美学であり、そうでなければ国、政治は回らないということ。また、悪者にされがちだけど、昔に出世した官僚はみんなワルだったというのも興味深い。ワルで回りにどう思われようが、自分の仕事を貫けるのが官僚力ということでしょうか。

    政治主導とは何なのか、ただ官僚をたたくのは違うのではないか?と思った。

  •  かつて「ミスター円」と呼ばれた財務省OBが古巣の姿をあますところなく書いている。大学院の講義で財務省がよく登場するので読んでみた。財務省がなぜ強大な権力を有しているのか、なぜ悪者扱いされるのかがよく分かった。講義で先生が言っていた「MOF担」という言葉も出てきた。
     若干財務省を援護する主張が目立つけど、自身が官僚寄りであることをあらかじめ述べている著者は誠実だと思う。「政治家は官僚を毛嫌いするのではなく、その道のプロフェッショナルである官僚を使いこなすべき」だという著者の主張には共感した。
     

  • 財務官僚がどうゆう考えを持ってるかとかってのがわかっていい。改めて財務省と他の省庁の違いみたいのがおおまかにわかった。
    それと社会保障制度の改革がなくては歳出の削減はムリで、公務員の削減なんかは、日本は他国と比べて数も少なくもらってないほうだから意味ないってのはなるほどって感じ。国会議員から削ろう。
    国会議員の役割は、自分のバックのために官僚の立法や予算編成に注文をつけることで、立法者とゆうよりは米国のロビイストだって指摘は納得。

  • 江田氏の「財務省のマインドコントロール」をはじめとして巷には財務省バッシングの書籍が溢れ返っている。このような中、本書は数少ない財務省、公務員擁護の冊子。向かい風をものともせず蛮勇をふるい一石が投じられている。親財務省のバイアスがあり意見は公務員寄りかもしれないと前置きしながらも財務省の驕りを率直に認め、公平公正まことに真摯に書かれている。大蔵省での生の経験がふんだんに盛り込まれた回顧は説得力があり懐深く真の実態に迫っている。

  • 元財務官が書いた本。

    立場を明らかにしている以上、財務省よりになってしまうのは仕方が無いと思いつつ、財務省の役割や功罪、その中の公務員像がオープンに書かれていて、興味引かれる内容となっている。

    公務員への就職を控えている人や、そもそも公的機関に興味のある人はどうぞ。新書だからそんなにパワーを裂かなくても読める。

  • 竹島一彦・公正取引委員会委員長と同期なのか・・・。
    しかも、浜田卓二郎まで・・・。
    入省年次によって、人材の特色というものは出るものなのか。

    元大蔵官僚だからといって、財務省を擁護するわけではないのだろうし、
    民主党の政治主導批判は、こうなった結果からすると、その通りなのだろう。

  • 日本の高等教育政策を学ぶ上で、政治過程のアクターとして財務省は大きな役割を果たしているだろうという視点から本書を手に取ってみた。

    政治過程についての学修を深める目的を充足しようとしていたが、本書は財務省の歴史、特に人物史に集中しておりほとんど参考にならなかった。

    読者として批判的に読み進めたうえで、エリート組織としての財務省を賛美し、これまでの財務省を中心とした官僚制システムの継続を筆者が望んでいることに深く疑問を感じた。しかし、民主党が掲げる脱官僚も現実性は乏しい。どのような仕組みがこれからの日本にとって最適なのか深く考えさせられた。

著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学経済学部卒業。65年に大蔵省入省。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官に就任。99年退官。2010年より青山学院大学特別招聘教授。著書に『「今日よりいい明日はない」という生き方』『書き換えられた明治維新の真実』など。

「2018年 『AIと日本企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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