迷いは悟りの第一歩: 日本人のための宗教論 (新潮新書 603)

著者 :
  • 新潮社
3.42
  • (2)
  • (3)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 53
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106033

作品紹介・あらすじ

なぜ私は〞神〞を捨て、仏の道を歩んだのか――。神と隣人を愛するか、無常・無我を悟るか――。ふたつの宗教を生きるドイツ人禅僧が、キリスト教と仏教を徹底比較。迷える日本人にこそ伝えたい、本物の仏教の教え。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • クリスチャンとしてドイツに生まれ育った、ネルケ・イエンス・オラフ・クリスティアンは、高校生の時に出会った「坐禅」に魅せられ仏教に傾倒。25歳の時に日本で出家得度した際に授けられた僧名は「無方」。その意味は「一切の方角に開かれている、囚われのないありさま」・・・仏教とキリスト教の教えは正反対である「不条理が故に信じる神」ではなく「自分が自分でなる仏」(一人称の人生哲学)・・・異色の経歴をもつ禅僧「ネルケ無方」が、キリスト教と仏教の宗教観の本質にせまる、悩み迷える日本人へのメッセ-ジ。

  • クリスチャンとして育ったが、座禅に魅せられ出家得度し、遂に、安泰寺の住職となったドイツ人の、キリスト教と仏教の比較論。
    「悟りは、迷いの自覚です。迷いがなければ、悟りもなく、迷いは悟りの”原料”といっていいかもしれません。逆に言えば、悟りがあるからこそ迷いに気づかされるのです」なるほど。
    「親鸞上人の『善人』とは『いい人』ではなく、『自覚のない人』のことです。つまり、自分のことを勝手に『いい人』だと思い込んでいる、とんでもない誤解をしている人のことです」あてはまるかも。
    無宗教の人間には、理解するのはなかなか難しいか。

  • 『自分がまず先に悟る……』というスケベ根性を捨てろ!お前一人くらい、どうなってもいい

    P141
    菩提心とは『自未得度先度他』の心とはっきり書いてあるやないか
    P142
    『自未得度先度他』→自分が悟る前に、まず他の人たちを悟りの岸に渡してあげる

    「道元禅師の『自未得度先度他』は素晴らしい言葉だと思いますよ。しかし、それが言えるのは本人が悟ってからではないでしょうか。悟った覚えのない自分がそんなことを言って、どうやって人を先に救うことができるのでしょうか。まず自分が悟ってなければ、人を悟りの境地に導くことは不可能なのでは……」

    「お前は、ホンマに屁理屈にこだわるやっちゃな。そんなつまらんことばかり考えているから、いつまでたっても悟れんのじゃ。その『自分がまず先に悟る……』というスケベ根性を捨てろ!お前一人くらい、どうなってもいい」

    ーーーーー
    スケベ根性でした!ごめんなさい!

  • ドイツ社会で生まれ、ドイツ社会が当たり前のようにしているキリスト教習慣に原始的疑問を抱き、クリスチャンの洗礼を受けながらも、日本の禅に憧れ、日本にやってきて93年に出家得度してしまった著者の愉快なタッチの宗教比較論?

    現在、曹洞宗・安泰寺住職で、檀家ゼロ、自給自足、座禅三昧の修行生活をおくっている。

    ユダヤ、キリスト、イスラムの一神教の本質、違い。

    日本仏教の日本文化論を挟みながら、著者独特の比較論。

    ドイツ人ならではの論理的な文章で、宗教とは何ぞやを解りやすく説明している。

    もう一冊読んでみたくなりました(笑)。

  • 仏教とキリスト教の違いが、こんなによくわかるものはそんなにないかも。

  • ドイツ人で日本の禅僧になった著者の経験的仏教・キリスト教比較論。文章量も少なく読みやすいので、軽い宗教入門として良いかな。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1968年、旧西ドイツ・ベルリン生まれ。7歳で母と死別し、人生に悩む。16歳で坐禅と出合い、禅僧になる夢を抱く。1990年、京都大学の留学生として来日。その秋から初めて曹洞宗・安泰寺に上山し、半年間の禅修行に参加する。1993年に安泰寺で出家得度。8年間の雲水生活を経て嗣法。2001年から大阪城公園で「ホームレス雲水」として毎朝の坐禅会を開く。2002年に師匠の訃報に接し、安泰寺第9世の堂頭(住職)となる。国内外からの参禅者・雲水の指導にあたって坐禅三昧の生活を送っている。著書に『迷える者の禅修行――ドイツ人住職が見た日本仏教(新潮新書)、『裸の坊様』(サンガ新書)、『禅が教える「大人」になるための8つの修行』(祥伝社新書)、『ドイツ人住職が伝える 禅の教え 生きるヒント33』(朝日新書)、『迷いながら生きる』(大和書房)、『日本人に「宗教」は要らない』(ベスト新書)、『読むだけ禅修行』(朝日新聞出版)、『迷いは悟りの第一歩』(新潮新書)、『ありのままでいい、ありのままでなくてもいい』(KKベストセラーズ)、『ドイツ人禅僧の心に響く仏教の金言100』(宝島社)がある。

「2015年 『安泰寺禅僧対談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ネルケ無方の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×