こうして歴史問題は捏造される (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107344

作品紹介・あらすじ

慰安婦、南京事件etc. 不毛な論議を終結させよ。第一次資料の読み方、証言の捉え方等、研究の本道を説き、様々な歴史問題に関する客観的事実を解説。イデオロギーに依らず歴史を見つめる作法を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • この本の内容が真実か否かはさておき、日頃のメディアや資料の見方について改めて考えさせる内容であった。
    「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」という言葉があるが、自分たちの主張をさも正しいかのように書いたり、誤った事実を意図的に伝えるために、誰かの発言や怪しい論文などの言葉や数字の一部だけを切り取ることはよくある事である。
    自分の中で確証が得られるほどのソースを確認していないので、(そもそも研究者でもない一般人が歴史問題が真実か嘘かということを真剣に主張すること自体ナンセンスでもあり、)この文章で書かれている戦争関連の内容には同意も反対もしかねるが、「今目にしている情報を鵜呑みにしない」ということが当たり前のようで実行が難しいと痛感した。

  • 歴史を検証していくということは、常に反証できるのかを問いかけながら行う、とても地道なものなのだと理解した。

  • 東2法経図・6F開架:210.7A/A72k//K

  • 第一次資料の読み方、証言の捉え方等、研究の本道を説き、慰安婦、南京事件等に関する客観的事実を解説。イデオロギーに依らず、謙虚に歴史を見つめる作法を提示する。

    歴史を研究する上での基本的な作法が詳しく書かれている。そもそも歴史のとらえ方が違うのだから、中国が南京事件に言及し、韓国が慰安婦・徴用工問題を蒸し返すのにイチイチ反論しても無意味、というのは説得力がある。「左がかった人」が読めば著者はかなり右寄りに思えるかもしれないが、「公文書至上主義」の著者はそんな色眼鏡は超越しているようだ。
    (B)

  • 大事なのは、一次資料と反証可能性、実際に反証を検証する姿勢、他の資料とのクロスチェックだ。

    あったり前過ぎることなのだが、これが極めて難しい。

    一般市民はそんなことやってる暇はないし、一旦信じてしまったことを修正、変更するのは、いいことでも悪いことでも猛烈に心的エネルギーがいるのだ。

    だから、研究者はジャーナリズムはこれに徹してもらわなければ困るわけだし、民主主義の根幹になるのだが、ま、そうでないことが色んなことを生み出してるわけだね。

    いわゆる歴史問題や、歴史修正主義、ジャーナリズムの問題にも触れる。

    ちなみに、政治的イデオロギー、建国イデオロギーなどのプロパガンダは、事実としての歴史とは無関係である。

    今のジャーナリズムはこれに近いんだろうね。

  • 第一次資料に丁寧に当たり、そして分析する。わかりやすい、ステレオタイプに流されるのが危ない

  • いい本です。
    南京事件は、虐殺された人数が30万人と数字だけがどんどん増えていくようですが、有馬氏のスタンスは、「便衣兵(兵士が民間人に化ける)の処刑以外にも一般市民の虐殺もあったが、それは組織的なものではなく個人や集団による散発的なものであった」(P65)というものです。

    従軍慰安婦についても、軍による強制性がなかったことがはっきりして謝罪したときにも、朝日新聞は「広義の強制はあった」と詭弁を呈していましたが、「残された資料を読めば、既に売春法があった日本軍の関与は、法規制や取り締まりを緩める方向で働くケースはあったものの、慰安婦になることを強制する方向では働いていない」(P89)とし、広義と言えばどんなケースも当てはまってしまうことを指摘。

    また、慰安婦問題を政治・外交問題にすべく奔走した福島瑞穂に代表される弁護士を「弁護士は、依頼人のためならば、不利なことは一切言わず、有利なことのみをいうことが許される職業です。」(P107)
    なぜ彼らが意図的に自分たちの理屈に不利になる情報(歴史的事実)を無視するのかが、よーくわかる指摘です。

    そして、慰安婦問題については別の視点でも論じます。
    「日本や中韓での慰安婦問題で欠けているのは、戦場や占領地で日本軍兵士のレイプやそれに伴う暴行や殺人の犠牲になった女性たちの人権という視点です。被占領地の女性には「レイプされない権利」があるはずです。」(P205)というのは、異常な興奮状態にある兵士が何をしでかすかわからないことを知りながら何の方策も取らなければ、闇雲に被占領地の女性が危険な目にあっていた(実際、終戦間際に参戦したソ連兵の殺戮に近い乱暴狼藉や日本降伏後の平時でさえ米国進駐軍が多くの日本人女子をレイプしています)点を指摘し、戦時中の慰安所の存在は必要悪だったと導きます。

    それにしても、海外の元慰安婦には「女性の人権」という立場から寄り添う日本人弁護士や報道機関が、終戦間際や終戦後に公然と行われた占領軍によるレイプで、彼らが日本人被害者女性のためになにか具体的に行動をおこしたのか、寡聞にして知りません。

    「女性の人権」を高らかに謳うのなら、中韓の被害女性ばかりでなく、同士である日本人被害者、さらにはベトナム戦争で韓国軍が行ったレイプ犯罪に対しても断固として戦うべきでしょう。

  • 占領軍の民間情報教育局は、戦争裁判を日本人に受け入れさせるウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムを実施した。

    NHKの「決断なき原爆投下」も、証拠資料を表面的にあさっただけのもので、まったく信用できない。トルーマンの日記は、彼が自己弁護のために書いたものであることを見過ごすべきではない。

  • 題名の付け方が秀逸。

  • 日本の領土内(朝鮮、台湾を含む)には慰安所はなかった。慰安婦が相手を下の歯、占領地や戦地の日本兵。

    当時の日本の領土では、貸座敷娼妓取締規則のもと、本人が警察に出頭し、親なし戸主の承諾を得ていることを書面で証明しないと娼妓になることを許可されない

    慰安婦問題をめぐる日韓の密約 石原信雄官房副長官 韓国側に、従軍慰安婦は、こうして出てきて証言してくれたのだから、彼女たちの面子をたてて、強制性を認めてやってほしい。認めてくれたら、経済的補償は一切求めないし、二度とこの問題を持ち出すこともしないといわれ韓国側のいうとおりにした。しかも、その約束の念書はとらなかった。

    原爆 イギリス、カナダ、アメリカの共同開発 ケベック協定

    中国と韓国では歴史的事実よりもりも建国イデオロギーが重要

    日本軍を打ち破った主体は国民党軍であった、共産党軍は、敗戦によって日本軍がいなくなったあと、中国の内戦で同じ中国の政治性勢力である国民党に勝利をおさめて現在の中華人民共和国を建国した

    韓国がしがみつく独立神話
     韓国という国は1948年に成立。日本を打ち破って建国したと言うなら1945
     1993まで軍人の治める国家だった



    歴史教科書は現政権正当化の道具

    カイロ会議に呼ばれたのは毛沢東でなく蒋介石
    ポスダム宣言に署名を求められたのも蒋介石
    中国共産党軍は国家ではなく、連合国の一員でもなく、独立ゲリラ戦線という位置づけでした、事実、現在の中国は1949年に建国。それまでは国でなかった
    ということは中国共産党は戦勝国ではないことになるさらに言えば、ポツダム宣言で課せられた条件を現在の中国に対して守る義務はない

    歴史とはあったことを書くものであって、計画したとか、しようとしたことを書くものではありません。

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著者プロフィール

有馬哲夫(ありまてつお)
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『歴史問題の正解』『原爆 私たちは何も知らなかった』『こうして歴史問題は捏造される』『日本人はなぜ自虐的になったのか』(全て新潮新書)、『NHK解体新書』(ワック新書)など。

「2021年 『一次資料で正す現代史のフェイク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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