コンビニ外国人 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107672

感想・レビュー・書評

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  • ジャーナリストにより、外国人留学生について書かれた本。よく聞き取りされていて、実態の一面はつかめるが、学術的ではなく、聞き取りが主体で定量的指標がないため、全体像がつかめない。
    「もちろん悪質ではない店もある」と書かれているが、ほとんどが著者の言うとおりの悪質な店なのか、悪質な店の方が例外的でほとんどないのか?実態が見えないのに勝手に結論付けて、自分の専門外の分野、例えば政治や行政のせいにしているように見える。思考が一方的で説得力がない。
    また「沖縄ファミマ」は売上が本土の売り上げより高いのは、独自製品や観光客を対象とした独自の工夫の成果としているが、この分析も疑わしい。沖縄には、強敵セブンイレブンがないのが理由ではないのか。またそもそも、沖縄には沖縄振興策で地元企業保護のため、本土企業は進出できない。だから「沖縄ファミマ」という別会社となっている認識に欠けている。コンビニを主題としているのにお粗末。
    「(日本語力の試験)「N5」から5段階に分かれており、「N4」は基本的な日本語を理解することができる程度。ほとんどペラペラに話せるなら「N2」レベル、「N1」は同時通訳ができる高度なレベルである」p18
    「(在留外国人)247万人(2017年6月末。入国管理局)」p32
    「(新大久保)ほんの数年前まで、「東京のリトル・コリア」と呼ばれていた街が、いまでは様子がすっかり変わり「多国籍タウン」となっている。(ベトナム、ネパール、ミャンマー人が増加)」p43
    「新宿区の外国人:4万2000人(2017年10月)」p44
    「日本には難民申請をしながら何年も認められず、法的地位が定まらないまま生活している人たちが全国に数千人いると言われている。彼らは在留資格を持たない非正規滞在者で、国民健康保険にも入れず、基本的に働くことも許可されていない。もちろんコンビニでアルバイトすることもできない」p48
    「(ネパール人)「日本は政治も安定しているし、地震からの復興もすごいし、ネパールとは反対の国」」p79
    「この4年でネパール人の数が10倍になっている沖縄」p87
    「(上海)総延長500kmを超す地下鉄網は、いまや東京をはるかに抜き去って世界一を誇る」p89
    「中国人はたくさんいるからいつでも競争。だから日本の大学の自由な雰囲気はすごくいい。のんびりした雰囲気にあこがれる中国人は多いです」p131
    「日本語学校は法務省が仕切っている(文科省ではない)」p140
    「(中国人留学生)本当に医学や科学を勉強したいと思う人たちはアメリカを目指す」p158
    「留学生は風俗営業に従事できない(風俗営業には10ルクス以下の暗い喫茶店やバーも含まれる(低照度飲食店))」p178
    「コンビニでは、廃棄商品をスタッフ向けに値引き販売することを禁止しているし、スタッフが食べることも固く禁じている」p181
    「コンビニは、使う日本語が簡単だから、日本に来て1年、2年の就学生に向いていると思う」p192

  • コンビニやファミレスやマックで働く若い外国人。
    アジアから留学ピザで入国して日本語学校に入学する。
    そこで二年以内にある程度の日本語試験や大学に合格しないと帰国させられる。
    日本語学校は2017まではザルでどうしようもない学校も多かった。日本語教師は薄給で経営者が儲けている。
    色々な闇を抱えているが人手不足の日本経済を回して行くには必須な外国人労働者。
    「労働力が欲しかったのに、来たのは人だった」というのがドイツのトルコ人労働者への言葉。

  • コンビニだけではない、外国人の働き手としての導入の方法としての留学。日本への留学は週28時間バイトができることが魅力、それにより借金をして、日本語学校でボラれつつも借金を返しつつ留学することも可能。

  • Kindleで読了。外国人材受け入れに関わる部署にいるけれど、あまり実態を知らずに仕事をしていたな…と反省。共生のキーになるのは「交流の経験」という部分に共感した。

  • 日本のコンビニで外国人が働く。もはや当たり前の光景だ。なぜ彼らは日本で働くのか、どんな将来を夢見ているのか。外国人労働者の立場と彼らを受け入れる日本の立場を調べていくと、そこには矛盾や闇が存在する。

    途上国の若者からすれば、物価の高い日本で働くことは金を稼ぐ手っ取り早い手段だが、基本的に日本政府は難民や移民を認めない。そこで彼らが選ぶのは留学ビザを使って、日本語学校に留学しながら働く。が、留学ビザでは週28時間の労働しかできないし、学校側から多大な入学金や授業料を請求される。ビザの期限が切れて、帰国したときには借金だけが残るというのが多くの現実だ。

    果たして、週28時間の労働制限は適正なのか、日本語学校は外国人のための教育機関になっているのか、そもそも留学ビザや外国人技能実習制度で労働者を受け入れるのは正しいことなのか。こうした様々問題がありながら、多くの外国人はそのことを知らず、コンビニで働いている。

    日本政府が2020年に30万人の留学生受入を目標にしているが、それは本当に「日本で学ぶ者」を求めているのだろうか。そもそも日本人すら敬遠する複雑な業務であるコンビニバイトを外国人にやらせるということに、無理を感じる。

  • 社会問題をテーマしている新書にしては、問題点の紹介で終わってる感じが否めない。外国人就労の問題に切り込むならば、コンビニだけでは足りないし、コンビニ問題に注目したいならば、もっとあるだろ。情報あるだろ。

  • コンビニに限らず、日本で既に多くの外国人労働者なしでは成り立たない事態になりつつある、というレポート。最近はベトナム、ネパールからの労働者が増えているようだ。

  • タイトルはキャッチーですが、技能実習生の抱える問題や留学生ビジネスの闇など、在留外国人問題を包括的にまとめた気合の入ったルポルタージュです。
    続きはこちら↓
    https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/01/blog-post.html
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  • 折しも外国人労働者の受入を拡大する入管難民法等改正が成立。
    例えば技能実習制度に新たにコンビニが加わるって!?なぜ?と思ってたけど、外国人労働者をめぐる問題点がよくわかった。
    ローソンでは現地に研修所を設けたり給付型奨学金を設けるなどして若い労働力を確保していると知った。それくらい日本の人手不足は深刻なのだ!
    でも、制度の闇に失踪や死亡の例が多数に上る。これは当事者だけの問題ではなく、日本で日常生活を送る私たちにも犯罪被害の危険を突きつける。
    とにかく人手不足。
    もちろん外国人にも雇用の門戸を広げ、多様な担い手によって経済を活性化させるのは大切。
    だけど、なにかで読んだ、多数の「母親になった途端、家庭に閉じ込められた優秀な日本人女性」=日本語が話せて意識もセンスも高く、爆発させたいエネルギーをためている人材が働き続けられる社会づくりも重要なのではないかな?
    外国人に一翼を担ってもらう経済活性化は、生み出される付加価値は海外へ流出する。
    消費税増税・東京オリンピック後には日本経済はシュリンクするだろう。
    だったらなおのこと、もう少し長期的な視点で考えるべきなんじゃないかな?
    と思った。勉強になった。

  • コンビニを利用する全ての日本人必読!

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著者プロフィール

1973(昭和48)年、沖縄県生まれ。茨城県育ち。横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。日本在住の外国人の問題から、がんの最新治療法まで取材範囲は広い。著書に、外国人留学生の実態に迫ったルポ『コンビニ外国人』(新潮新書)、共著に『本の時間を届けます』(洋泉社)などがある。多文化社会研究会所属。

「2019年 『となりの外国人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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