- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120024450
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「今夜は眠れない」に続く緒方&島崎コンビの物語。
13歳の少年たちが主人公だし、さわやかな文体で、すらすら読める話なんだけど、実はものすごく厳しい倫理観が背後にある。
宮部みゆきさんてたぶんかなり厳しい倫理観の持ち主なんじゃないかなと、最近思う。どの作品を読んでも、【犯人】を追い詰める論理は、非常に潔癖で厳しい倫理に基づいてる気がする。
大人が主人公の場合は、あえてその倫理観に逆らう、というときもあるが、この作品のように13歳くらいの少年が主人公のときは、たいていラストが苦くなる。潔癖で厳しい倫理観と13歳の少年はとても相性がいいのだ。
クドウさんはふつうの優等生の女の子で、相手が雅男じゃなかったらここまで追い詰められなかったかもしれない。雅男くんはとても気のいい優しい男の子なんだけど、やっぱり許せないんだろうなあ、クドウさんの無意識の差別意識が。そこを責められると辛い、というところなんだけども、それが許せないのが緒方雅男なのだ。
全部わかってて、この世の終わりみたいな顔を隠してた島崎くんもつらい。
こんな中学生がいるのか、という感想はよく見かけるけど、たぶん学校に一人くらい、そして何年かに一度くらい、こんな老成した中学生が現れると思う。そういう意味ではさほど非現実的とは思わない。
同じ13歳を男性作家が書くと、もっと性欲にからんだ描写が増えるのは面白い現象だと思う。女性作家だとそのへんがうまくスルーされてしまうようだ。 -
「今夜は眠れない」の続編。