- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120039171
感想・レビュー・書評
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出だしの数枚で、自然に彼女が聴こえない事が伝わって来たところから引き込まれるように一気に読み上げた。仕事を追いかけず、女を追いかける生き方が出来れば、きっと楽しい毎日なんだろう。
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異性が何を考えているかを分かる人は少ない、いやいないだろう。絶対的に異なる世界を持つならばなおさら。
それでも惹かれ合い、そしてすれ違い、想いは高まり胸は締め付けられる。
明確な答えは出てないが、考えさせられるラスト。私はそこに光を見た。 -
「これを見た人に気づいてほしいよな。
自分たちが何を知らずにいたのか」
最後の辺りのこれが刺さる。
作者のメッセージかな。
報道と障がいの伝えたいこととか言うと何かハマらない「子供って、誰かに伝えたいと思って、木に登るわけじゃないんだよ。木に登ったらどんな景色が見えるのか、ただ、それが知りたくて登るだけなんだよ」ここは刻まれました。
知りたいでいいと思うんです。 -
やはり好きだわー、吉田修一
音のない世界。音のある世界
こんなに意識したことない。「当たり前と思ってる」
響子に!
本文よりー
彼の実家に行った時
始めて、響子を連れて行った。両親共
優しく接してくれた。
父親が怒鳴る「いい加減にしろよ。」
蛇口を流しながら母親が泣いている
「あなたは耳が聞こえるけど、それは気にしない」といわれたことある?
「あなたは耳が不自由だけど、私たちは気にしません」
といつも言われる」
差別感って難しい。
読了後、題名「静な爆弾」の意味を考えた。 -
同時に二つのことが可能な人間と、両手でも一つしか抱えられない人間がいるのを感じました。球場に広がる渦巻く観衆を、観たことない景色を光を、鼓動の高まりを、君にどう伝えればいい。声に出せるのに話せない、言葉に出来るのに伝えられない。恵まれた自分で在りながら、私達は人と人で言葉と言葉でぶつかり合い傷付け合っている。本当の想いは、書いては消して書いては直して、そんな綺麗なものではない。書き殴ってもみっともなくても心底から送信された想い、それは見える聞こえる形ではなくても、大事な人に受信されるものなのだと思います。
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ひと言で簡易に表すなら「仕事なの?私なの?」な恋愛物語。
響子は、決してそんなことを表に出しはしないけど、俺は決してそんな響子をないがしろにしているつもりはないけれど…徐々にすれ違ってゆく2人。
響子は耳が聞こえない。
思い出すのは「レインツリーの国/有川浩」
こちらは、聴覚障害のある彼女と、健常者である彼氏が、悩み傷付きながらもお互いを理解し愛を育んでいく、真っ直ぐな恋愛物語。
こちらも同じように、聴覚に障害のある彼女との恋愛ではあるけれど、ストーリーは仕事に全力投球な男が彼女を見失っていることにも気がつかず…どちらかというと、良くある男と女のすれ違い模様。
離れてしまったとき、はたと彼女の大切さに気が付いてしまい…時すでに遅し。
そこに聴覚障害であることが、恋愛にどれだけ障害をもたらしたのか…
伝えたいこと
伝わらないこと
もどかしさは、誰にとっても同じ。
そんな話し。
2016.09.03
今年の21冊目 -
バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。
他の著作にもれず、今回も読みやすかった。
そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。
文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間に読み終わったのは事実だが)、余分なことを書かないというか、読み手に委ねる部分が多いというか、そういうこと。
だから、言葉は少ないのに、いろいろな思いが胸中に膨らんでくる。
やはり、うまい作家なのだと思う。
本作はあまり物語の起伏は多くなく、作中度々語られる、怖いような「静けさ」は妙に伝わってくる。
そのあたりもあってのことだとは思うが、最後、彼女に起きたことについて具体的には全く触れられていないのが、ちょっと消化不良気味かな…。 -
はなさない
ってことは
よけないことが伝わらないってこと -
近いはずなのに世界が違う切なさ。
近いはずなのに一番奥のものを飲み込んでさらけ出せないようなもどかしさ。
空白が凛と響く小説でした。