人質の朗読会

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 659
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041952

感想・レビュー・書評

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  • 人質たちが朗読する話は、どれも透明感と寂しさのある、少し不思議なものでした。
    ただ語るのではなく、きちんと原稿をかいて朗読しているというところが、エピソードを引き締めていると思います。

    全員が助からなかったことを分かった上で読むと、どうしても深読みしてしまう気もしますが、
    果たして彼らは助からないことを悟っていたのでしょうか。

  • テロリスト達の人質となり、かつ犠牲者となった日本人達がそれぞれが語る物語を朗読会という形で発表される

    各物語は関連性はなく全く別の物語なので好みなものとそうでないものがあると思います
    やまびこビスケットが好きでした

    自分も誰かに一つだけ語るなら何を語るのか考えさせられた

    全く人質としての内容が無いので、短編を一つの本に纏めようとしている様に感じられました

  • 人質の朗読会 小川洋子

    異国の地で人質となり亡くなった8人。彼らが拘束された期間に行っていた朗読会。自らの物語を語る。
    短編小説集という形で構成され、最後9章で通信を盗聴していた特殊部隊員が自らの物語と盗聴していた朗読会を重ね合わせることで締め括られている。
    朗読をハキリアリの行進と例えている

  • タイトルはおっかないが、内容は厳かで澄んでいて形の曖昧な短編集。

    日常にありそうだけれど、印象に残るような残らないような。掴もうとするとすり抜けていくような。
    オチも何もないのだけれど、どこかで心に残り続ける人との関わりの記憶。

    自分がこの立場になったら朗読できることはあるだろうか…

    …なかなか思い浮かばない。


    ラジオを聴く限り、小川洋子さんは穏やかな話し方をするマダム系だと想像しているのだが、文体も穏やかで美しい。

  • 地球の裏側の辺鄙な村で、遺跡観光の帰りにマイクロバスごと拉致された日本人観光客。人質生活も長くなったころ、彼らはそれぞれに思い出を物語にし、互いに朗読する時間を設ける。

    子供の頃、近くの製鉄所ではたらく男性に杖をわたそうとした少女。大家さんと食べた「やまびこビスケット」。公民館のB談話室での謎の会合。冬眠中のヤマネのぬいぐるみを売るおじいさん。コンソメスープを作るためにキッチンを借りにきた隣人。人生に希望を失っていた女性が見かけた槍投げの青年。死んだおばあさんに似ていると声をかけられる女性。退職の際にもらった花束を交通事故の現場に手向ける青年。
    そして、ハキリアリの研究をする日本人にラジオを聞かせてあげる現地の少年。

  • 一人ひとりの物語は読みやすく、胸に残る。とても良い。人質にとられたこととの結びつきがよく分からない。

  • 「槍投げの青年」と「B談話室」がよかった。その人以外には大して重要ではない、だけど心に残っている一つ一つの話が、B談話室での話のように語りかけてくる。

  • 小川洋子さんの語り口そのままの短編。一人一人の人生が愛おしい。

  • 2021年 7冊目

    物語の語り手がこうして交差する小説は初めてで、小川洋子さすがだなぁと思いました。
     
    人生の転機はイベント事だけではなく、名もない静かなもの。そして日常のなかで、心の奥底にしまわれる。人質たちは自身の自由や命と引き換えにそれを取り戻した。

    ・やまびこビスケット
    ・B談話室 
    ・冬眠中のヤマネ
    ・花束

  • 小川洋子さん、なんか奥が深いそうな気がするけど、芯はなんなんだろ。でもすんなり読めちゃうところがすごい。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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