あの家に暮らす四人の女

著者 :
  • 中央公論新社
3.46
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感想 : 465
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047398

作品紹介・あらすじ

謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声-古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。

感想・レビュー・書評

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  • h10-図書館2019.10.1  期限10/16 未読 返却10/9

  • 現実的かと思いきや、どっこい、だいぶファンタジーだった。

    案外ありえそうなファンタジーというか、誰もが考えたことのありそうな「ありえない」ファンタジー。
    たとえばカラスが地域を見守ってたり、死者が自分を見守ってたり。
    誰かが無くなったときに「星になったんだよ」とか、何か悪いことをした子供に「おてんとうさまがみているよ」とか、そういった話をしたときみたいな。
    そんなファンタジーがたまに顔をのぞかせて、女四人が暮らすという、ただの自称を彩っていた。

    主人公とその母親は嫌いというより、近づきたくない人種のように思えた。
    自分が知っている“武蔵野の金持ち”もこんな感じの人たちだった気がする。
    なんとなく古臭く、自分は常識的だけどすごいことをしていると自負しているあたりが。

    女を四人集めると面白くなるというデータがあるんだろうか。
    『セーラー服美少女戦士セーラームーンSS』における“アマゾネス・カルテット”しかり、『セックス・アンド・ザ・シティ』におけるキャリーたちしかり。
    そのうち3人は好きになれなくて、1人だけ悪いところがあっても「彼女の考え方に賛成だ」となるのは何故なんだろう。
    今作における“1人”は、私の場合、雪乃だった。

    ドラマ原作と知って読んでみたし、なかなか面白かったのだが、肝心のドラマが配信していない。
    過去には配信されていたようなので、再開してくれたらと思う。

  • 読んだことないと思って読み始めたが、以前読んでいた。
    面白い!女4人集まると、まぁ面白いよね。
    漫画を読んでいる気分だ。佐知に幸あれなんて寒いギャグをしんみり考えながら読了。

  • 古い洋館に住む4人の女性。前半はのんびりした日常が描かれていましたが、後半からの方向転換が凄まじい。表現が素晴らしくて場面がリアルに感じられた。

  • お父さんも含めてそれぞれの淋しさや不安や性質の違いも洋館が包み込んでいるよう。素敵で理想の生活だなと思った。

  • 4人の女性が古い洋館に同居する日常のお話。大きな事件や出来事が起こるわけではないものの4人それぞれの人との関わりやら心情などに共感出来た。

  • 2023.6.13

  • 昔は裕福だった古い家に、4人の女たちが「細雪」っぽく暮らしているお話。このぬる〜い感じ、私は好きです。「細雪」のように、静かに凋落へ流れていくのだろうな、と感じられますが、背景に貼り付いていた戦時の不穏さがありません。善福丸のなま温かい見守りや、佐知の亡父の思いが微笑ましいですね。

  • 登場人物が、いい具合に適当で平和な小説。

  • 刺繍
    河童
    ストーカー
    水難の相

    平和なストーリー
    そこそこの事件は起きるけど、同居人達の会話が面白く、ちょっと吹き出す場面も
    図書館本

  • 『細雪』を読み終えた後すぐに手に取ったこちら。

    帯に”残念な女たちの、現代版『細雪』”
    とあったので、タイミングがいいと思ったのだが・・・

    前半は、どうした三浦しをん!舐めとんのか。
    エッセイでならわかるけれど、虚しいギャグ的なものが空回りしていた。
    まぁ、ようやく後半の後半に来て、まあまあ良いところに着地したというか、流石です、三浦しをん、に落ち着きました。
    もうちょっと『細雪』絡めて欲しかったのは読んだばかりの生々しさがあったからか。

  • 三浦しをん節、全開ですわ(笑)
    ストーリーは平和で、会話が軽快。何度か「ぐひっ」と吹き出しましたよ。乗り物の中では読まんほうがええかもしれません。
    一見、お気楽で凡庸に見えても人にはそれぞれ苦労や悩みや苦しみがあるもんですよね、いちいち言わないだけで。色々あるけどやっぱりお気楽そうなほのぼのした人間関係に癒やされます。

    健さんに憧れる山田さんが良い(笑)

  • 女性四人が、ちょっとした問題や事件に巻き込まれながらも「かしましく」生活してゆく物語り。物語りに語り部がいるのも、良き風情。良作。
    ストーリーとは関係無いが、図書館で借りてきたこの本、たまに文中に「」や◎が手書きで書かれていて、かつての読み手が良いと思ったところに印をつけたのかしら、若しくは何かの暗号⁈と、しばし熟読するのが困難な箇所がありましたが、それもまた、良き風情。

  •  ミイラが出てきたところで『あれ?これ映像で観たことある?』と思ったらドラマ化されていた。
    しかし内容を全く覚えていなかったので楽しく読み進められた。
     『あの家に』とあるタイトルに不穏な雰囲気を感じ取っていたが、『あの家に』と語る視点の違いでこんなにも温かい物語になるとは。
    途中突然のカラス(の集合知)の語り、その後明かされる神田の語り、見守る父の目線に温かい気持ちになりながら、あの不気味な河童のミイラがこんなに活躍するなんてと笑わせてもらった。
    所々出てくる三浦しをんのユーモアが全体的にコメディタッチに仕上げてほのぼの読める作品だった。
     雪乃や多恵美といった家族でもない同性とこんなにも息が合い楽しく暮らせるなんて心底羨ましく、しかも古いが素敵な洋館で、私もここで暮らしたい。
     私も40歳を過ぎて母と二人暮らしという似た境遇なので、未来への不安がリアルかつ深刻にならない様に不安に深く突っ込まず過ごそうとする心持ちがとてもよくわかる。
    佐知と梶が今後うまく行きます様に!

  • 覗いてはいけない場所を除く様な気持ちでこの作品を借りました。

    4人の軽妙な会話が面白く、童話とリアリティが融合した様な作品でした。


    素敵過ぎる表現
    ・桜のふくらんだ蕾がポップコーンのように弾けた。

  • ほのぼのしていて、好きてす。

  • 途中まではちょっとたるいなあと思ったけど途中から急にコミカルになって面白い。ストーカー問題なんて深刻になりそうなのが、か弱い女も四人集まりゃ強い!いいんじゃないかな、女だけの家。自然界じゃあ母系社会が普通だもん。カラスやカッパの辺りはファンタジーなんだかお笑いなんだかわけ分かんなくなったけど、好きだわ〜、このシッチャカメッチャカさ♥あと単行本の方のなんかちょっとレトロチックな表紙の絵や見返しの乙女な感じの紙や、こだわりあって楽しい♥

  • SL 2022.6.6-2022.6.7
    特に感動するポイントもないし、大きな事件もないし、ほのぼのとした日常のお話。
    それなりに楽しいんだけど、この世ならぬものが出てくる必要性を感じない。

  • 著者の語り手についての話を読んだのがきっかけで読んだ。あまり見たことのない、語り手の表現の仕方だった。
    馴染みのある形式ではなく、コミカルな面もあったのだが、物語として非常にゆったりしていて少々退屈に感じてしまった。

  • 刺繍、庭にシンパシーを感じる。
    ほっこり楽しかった。

  • 表紙が好きで手に取った。内容は予想外。
    私もこんなふうに見守ってもらっているんだろうか。いつか見守るのだろうか。
    そういう人がいるといいな

  • 三浦しをんの小説講座を読んで。
    三人称視点の、お父さん視点はまあわかるけどカラスはそんなにいらなかったんじゃないかと思ったり。
    うーん、いる気もするけどそんなに効果的には感じなかったな。

    女四人での暮らし、些細な感情の機微、とくに雪乃の考え方にとても共感できてよかった。
    意味不明なところがある人と、理解しようとかされようとかせずに、モヤッたりほっとしたりしながら生きていくのが、なんだかんだ良かったりする。

    細雪は読んだことがなかったので、機会があれば読みたいな。

  • 進まない…
    読みにくい…

  • 細雪を読むと、雪ちゃんをほっといてやれよ!シミなんてどうでもいいでしょうが!!という気持ちが爆発するのでこの終わり方には救われた

  • 途中まで今ひとつ入り込めなかったんですが、最後に一気に持っていかれてしまいました。

  • あの家に暮らす四人の女。
    最初から最後まで抑揚のないストーリー。
    でも、それも素敵だなぁって思いました。
    ワクワクやドキドキ。思わぬ潜む伏線。
    そんなものは無かった(笑)。

    主人公の佐知、雪乃、亡くなった佐知のお父さん。
    いろんな視点からのストーリー。
    単なる日常。でも何故かファンタジー?
    こういうストーリーもあるものだ。

    佐知さんの今後の行方が知りたいなぁ~。

  •  愛すべき日常。愛すべき普通の人たちの中にある過剰。

  • 平凡な女性の日常を描いた小説だが、所々にファンタジー的な話が挟まっている。全体的にストーリーに抑揚のない感じがした。

  • 刺繍作家の佐知、その母鶴代、佐知の友人の雪乃、雪乃の会社の後輩・多恵子は縁あって古びた洋館で4人暮らしをしている。
    それぞれに起こる小さな事件や、心の機微がゆるく絡み合って生活は営まれていく。

    谷崎潤一郎メモリアル作品の本書は、細雪からインスパイアされたもの。
    しをんさんの周りを掘り下げることで浮かび上がらせる文章が心地よい。
    タイプの違う4人の女性がそれぞれ個性的でチャーミングで、こんな生活憧れる!

  • ♦︎心に残ったフレーズ

    p56.外に出れば出会いがあるっていうのはあなたの幻想だから。付き合う相手がいないひとは、部屋にこもってても大勢のなかにいても、所詮はひとりのままなの。

    p152.女子が公正さに敏感なのは、公正に取り扱われてないと感じる局面が多々あるからではなかろうか。女子だと見て、あるいは若いからといって、侮った言動に出る輩のことを、女子は表情も変えずに、しかしよく観察して末代まで忘れずにおるよ。

    p166.夢とは外界からの視線や風を防ぐ膜。つまり障子紙。破れやすいから慎重に扱わないといけませんし、破れたらすぐ貼り替えるマメさと経済力も必要です。でも夢という障子紙を維持してこそ、生活は充実するんです。

    p171.女も男も、どういう関係を目指すのがベストなんだろ。そりゃあ、お互い『こうしないと』とか『こうしてほしい』って考えをやめて、自分と相手に対して広い心を持つのがベストでしょうね。

    p197.『ちょっといい感じの人だな』と胸に恋の小鳥を飼うぐらい、その羽ばたきを味わうくらい、好きにさせてくれたっていいじゃない。

    p202.出会った事実ではなく、タイミングや気分や状況や仲介者の気の利きようをこそ、『めぐり合い』という。もしくは『運命』と。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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