おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 637
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049187

感想・レビュー・書評

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  • うっすらとした元ネタの知識しか無かったから知ってたらもっと面白かったのかな……でも知らなくても全然面白かった 死んだ人間の方が生き生きしてるのはそうかもしれない。生きてる方が色んな事に固執してしまうので1度本気でリセットしたいな〜

  • ちょっとファンタジーが強いけど、言葉のチョイスや鋭さが好き。

  • 幽霊と生きてる人が共存している世界。自分たちのペースでたくましく生きている。歌舞伎や落語に詳しかったら、さらに味わいが広がりそう。

  • 日常の中に潜む、怪異とおばちゃんをめぐる短編集。
    それぞれの話は独立しているが、「反魂香」の製造販売をしている謎の会社が、一本の線をつなげている。
    怪談や落語をオマージュした作品群なので、元ネタがわかるとなおクスッと笑える。
    「化けて出る」ほどの強いエネルギーを持った、おばちゃんたちのたくましさ・わきまえなさを味わう一冊。

  • 短編が17編と、短いお話がたくさんある中、
    あらっこのお話のこの人がこちらのお話に!、
    えっと、この人とこの人がつながっていたのか!、
    などと楽しめました。
    お話は短くても色々と深いです。
    「クズハの一生」の中のクズハは、会社員になった頃に男女雇用機会均等法が誕生するのですが、ふーんと思う程度で、その後結婚して子どもが大きくなってまた仕事につくのですが、社会がだいぶ変化していて、女と男の絶望の量がもうすぐ同じになる・もしかしたらその方が生きやすい世界になるかもしれない~と、人ごとのように思うってところが 染みました。

  • 歌舞伎や落語等に出てくる幽霊(おばちゃん)たちが、この世の生きづらさを抱えた人たちのところへ現れ一喝入れる。
    ただ面白いだけではなく、現代の社会問題を風刺した短編集になっている。
    松田さんの作品は多分4作目ですが、これまで読んだ作品とは、また一味二味違っていて、新鮮でした。歌舞伎などに詳しかったり興味があるともっと楽しめたかもしれません。 

  • いやあ、読んでいて痛快でした。
    この世の住人でないおばちゃんたちの目線から、男女とも疲弊した今の世の中を鋭く切り取り、風刺を利かせ、今を生きる人に「しぶとく生きろ!」とエールを送っているように感じた。

    わたしもこれまで女だからと諦めていた部分があった。
    謎の母乳神話に心底悩んだり、
    謎の3歳児神話を義父から強要されて悩んだり、
    女を下に見ている夫の言動に悩んだりしたこともあった。
    家庭崩壊は避けたくて、できないふりして、でも仕事は好きだから雇用形態を変えてゆるくアクセルを踏み続けてきたけれど、なんで女が生き方を変えないといけないんだろうとずーっとモヤモヤしていた。

    そんな気分を吹っ飛ばしてくれたのがこの一冊。
    そして、わたしも、死んでからスカウトされるぐらいしぶとく自分の気持ちを貫いてもよかったのかも?とふと思った。

    これからを生きる人たち、がんばれ。おばちゃんは応援します。生きている間も、死んでからも。

    ところで173ページのチーム・更科の記念写真が見えた人、誰かいますか?わたしには見えなかったのですが……

  • 短編なので、ひとつひとつ読みやすい。最初はバラバラの短編かと思ったけど、段々と繋がりがあるのが深みがでてよかった。
    ライトな感じなので、深みが欲しいと少し物足りないかもと思った。

  • ファンタジー?SF?は、あんまり得意じゃない。
    けど、読んでいくにつれてだんだん親しい気持ちになっていくのは、短編集だけど、連作だから。

    なんとなくぼーっとした人たちが、繋がっていって、それぞれの暮らしの中で、繋がりを持ってるんだと読んでいて思って、ちょっと幸せな気持ちになる。

    ドラマにしたい。汀さん、誰にやってもらおう。茂は誰が良いだろう。


    ファンタジーの中に、女性に関する様々な課題、問題が提示されている。うまいことフェミ小説。


    「私、洗脳されてたんやろか。そいつにじゃなくて、もっとなんか大きなものに。」
    「体の中が怒りで、悲しみで、悔しさで、虚しさで、馬鹿馬鹿しさで、全部真っ黒になって、ざわざわざわざわしはじめる。」

  • 幽霊の話って、あまり好きじゃない。どうして読もうと思ったんだろう、と思いつつ、読み始めた。
    幽霊がいい。当たり前だが、この小説は幽霊なくして成り立たない。ファンタジーっぽいのが苦手なのだが、この小説を読んでいると、幽霊はそこここにいるような気がしてくる。生きている人と混じり合っていて、そこに不自然さを感じさせない。小説の世界に入り込めるのだ。
    この作者は「女性の味方」だと思える。本人も女性だから「味方」というのもおかしいが。理不尽な扱いを受ける、生きづらさを抱える女性の味方、と言えばいいのか。男性も出てきたから、女性に限っていないとも言える。
    とにかく励まされる。元気が出る。
    うまく感想が書けないので、逆にゴチャゴチャ書いてしまった。

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著者プロフィール

作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。

「2020年 『彼女の体とその他の断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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