愛なき世界 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 744
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051128

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で半年待ちで借りたもの。
    洋食屋の青年・藤丸が慕うのは〝植物〟の研究に一途な大学院生・本村さん。本村さんに恋をして、どんどん植物の世界に分け入る藤丸青年。小さな生きものたちの姿に、人間の心の不思議もあふれ出し……。風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、美味しくて温かな青春小説。

    あらすじ読んで「絶対面白い!」って思って読み始めた。
    実験の説明とかは「うわーー何言ってるかわからんーー」ってなったけど、面白く読めた。
    研究って奥が深い。地道な作業の連続で、私には無理だ…。
    『舟を編む』の時も思ったけど、何かを突きつめて頑張る人はすごくかっこいいし憧れる。
    研究を続ける本村さんも、料理を極める藤丸くんもかっこいいよ!

  • 三浦しをんワールド全開で、こういう生き方もあるのだな、と考えさせられました。研究者というのは、すべてを研究に費やすなかで、生命とは何かを考えさせられるのだな、と思いました。植物の生命の素晴らしさがとても伝わってくる一冊です。

  •  主人公の藤丸とともに、植物の研究者の世界をのぞくと………読者は植物の世界に導かれていく…。
     東大研究室に食事を配達に行くたびに植物の世界を見せられ、研究者の植物愛に圧倒される藤丸。植物のことしか愛せない研究者、木村。その木村を好きになってしまう藤丸。
    木村との共通言語は『植物』
    植物のことを知らなかった藤丸が、木村を好きになったことで、なんとか共通言語を持とうと、懸命になる藤丸がいとしい。
    人が人を好きになる瞬間って、周りからみると滑稽だけど、本人は真剣だよね…と藤丸を応援したくなる。藤丸に想いを告げられ、うろたえる研究者の木村も、藤丸の思いを真摯に受け止めていて、好感が持てる。二人の周りの登場人物たちも、独自の世界をそれぞれ持っていてその話もおもしろかった。

    木村たち研究者の話を聞いたことで、「自分の周りにある植物も、複雑な構造や働きを持っているんだなぁ…」と、自分が植物を見る目が変わった気がする。植物自体は変わらないのに、自分を取り巻く世界が変わる…これだから本読みはやめられない。
    本を読むことで、いろんな眼鏡を持つみたいにいろんな見方ができるようになることがうれしい。三浦しをんさん、ありがとう。
     
     読売新聞の連載小説だったので、新聞を開くのが毎日楽しみだった記憶がある。

    • カマボコさん
      「舟を編む」のような世界感が素敵でしたね。しかし藤丸は不憫だなぁ(笑)。
      「舟を編む」のような世界感が素敵でしたね。しかし藤丸は不憫だなぁ(笑)。
      2021/04/20
    • workmaさん
      カマボコさんコメントありがとうございます( ノ^ω^)ノ
      確かに藤丸は…結果だけ見ると…不憫…。
      でもでも、東大の研究室の人々...
      カマボコさんコメントありがとうございます( ノ^ω^)ノ
      確かに藤丸は…結果だけ見ると…不憫…。
      でもでも、東大の研究室の人々や木村さんと出会ったことで、藤丸の世界は変わったのではないかと…。
      たとえ報われなくても、恋した人によって自分が変容するのは…「恋の醍醐味」かもしれませんね…。フフフ。
      2021/04/20
    • カマボコさん
      確かに自分を変えてくれる人に出会えるのは幸運ですよね。続編あれば報われてほしいです(*´꒳`*)
      確かに自分を変えてくれる人に出会えるのは幸運ですよね。続編あれば報われてほしいです(*´꒳`*)
      2021/04/21
  • 愛のない世界を生きる植物を愛し、研究している人がいる。
    愛を持たない植物に情熱を注ぐことは、注がれる植物も研究者も、愛し愛される世界に生きていると言えるのではないか。

    世界には光が降り注ぎ、光を受けて植物は大きくなり、それを食べる人間も光を食べて生きている。地球上の全ての生物は光を食べ、生命の循環は続いていく。

    世界は愛に溢れているし、愛のない世界にも愛は降り注がれている。

    ありきたりな恋愛の話ではなく、植物も含めた全ての生物の愛の話。壮大で、温かさに包み込まれている気がした。

  • 面白いなあ。
    なんか良いなぁ!
    「恋のライバルは草でした(マジ)。」なんて話が成り立つのかな?と思って読み始めたら、真面目で純粋で、真剣で、面白くて、ついつい引き込まれて、一気に読了。
    東大赤門前の雰囲気を頭に思い浮かべながら、読むとなお良しと思います。
    京大に置き換えてもいけそうです。
    面白かった。

  • 三浦しをんさん好き
    どれも好き
    本屋さんで迷ったけれど、この装丁には負けた
    愛なき世界とは思えない
    一途な料理人と植物研究の院生
    そして個性ありすぎの研究室の面々
    知らない研究の一こまを垣間見せてくれた
    難しかったけど……
    食堂の周りの人たちもいいなあ
    やはり好き 三浦しをんさん!

    ≪ ライバルに しずかに挑む 愛をもち ≫

  • 植物の実験についてのパートは難しくて、挫けそうになったが、好きなことに夢中になれるってことは素晴らしいことだと。
    魅力的な登場人物達が織りなす物語は読み応えあり。

  • 赤門T大生物科学研究室の本村さんと研究室の仲間たち、近くの洋食?店員藤丸くんとの青春のひととき。
    理系女子修士卒としては、みんなが本村さんほどつきぬけてはないと主張したい!でもどこかに一点集中しちゃう気持ちはよく分かる。。
    教授先生のエピソードにはグッとくる。近年よく聞くPCRの原理にも詳しくなれること請け合い。

  •  洋食屋で働く青年藤丸は出前で訪れた大学で、植物を研究する大学院生の本村に恋をし、告白する。しかし、植物という愛のない世界に身を置いているから想いに応えることはできないと断られてしまう。男女逆転版『舟を編む』のような物語世界で、藤丸の恋と本村の植物研究を追う。

     文系の私にとって、理系の研究内容、とくに大学院での専門的な研究が興味深かった。植物学と農学はどう違うのか、研究室ではどういうことをしているのか、植物の成り立ちを調べるためにどうアプローチするのか。
     本村が研究に熱中する姿はかっこよかったし、それを見て想いを抱えながらも彼女の邪魔にならないように努める藤丸の姿も好印象だ。
     ただ、後半が少し急ぎ足になっていて、少し薄っぺらく物足りなかった。ラストには納得がいったが、長いこと描写してきた割には盛り上がりに欠けてあっけなく感じてしまった。
     

  • あらすじ
     東大前の洋食店で住み込み見習いの勝丸。得意客から出前を頼まれ研究室に入る。植物を専門とする、松田先生率いる研究室。本村はシロイヌナズナの遺伝子について調べている。勝丸は本村に告白するものの、ナズナに負ける。本村は感情を持たない植物の世界に夢中なのだ。勝丸は失恋しても研究室との関わりを持ち、他の院生や隣の研究室教授(イモ博士)とも交流を深めていく。

     面白かったー。愛があふれた作品だな、全編に。シロイヌナズナが好き、サボテンが好き、料理が好き、イモが好きって、人以外にもめっちゃ情熱を注げるものがあるって素敵。特に今回の登場人物たちが好きなのって、ニッチ過ぎて、人知れず好きなものが多く、公言しないけど好きって感じが「本当に好きなんだ」という様子も伝わってきた。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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