わたしの良い子 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
4.16
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本棚登録 : 1965
感想 : 195
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052309

作品紹介・あらすじ

「どうしてちゃんとできないの? 他の子みたいに」



出奔した妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。

勉強が苦手で内にこもりがちな、決して《育てやすく》はない朔との生活の中で、椿は彼を無意識に他の子どもと比べていることに気づく。

それは、大人としてやってもいいことなのだろうか――。



大人が言う「良い子」って、何?

女性共感率No.1作家・寺地はるなが、真っ正面から描き出す!

感想・レビュー・書評

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  • 良い子の定義とはなんぞや?
    ってお話しなんでしょうけどね
    よくよく突き詰めて考えると親にとって良い子ってもう存在するだけで良いってことなんよなぁ

    いずれにしろ子育て系のお話し読むと反省ばっかりで、気分悪いわ!(おい)
    もう忙しさにかまけてという典型的なダメ父だったからなぁ

    それにしてもすごいのは本作(あくまで自分が感じる)寺地はるなさんがどこにもいなかったなって思いました
    ずーっと主人公の椿でした
    寺地さんが書いたんじゃなくて椿が書いた物語でした(伝わる?)

    憑依系の作家さんなんだねきっとってなんだ憑依系の作家さんって!

    • みんみんさん
      おっ!ナイスレビュー!
      そうそう寺地はるな2冊目に読んだから
      言われて気づいたよ(°▽°)♪

      メロパパは反省したんだね…
      良いメロジジにな...
      おっ!ナイスレビュー!
      そうそう寺地はるな2冊目に読んだから
      言われて気づいたよ(°▽°)♪

      メロパパは反省したんだね…
      良いメロジジにならんといかんな( ̄▽ ̄)
      2022/11/01
    • ひまわりめろんさん
      いやもう孫できたら全面的にただただ甘やかすと決めているのでそうします
      いつになることやら
      いやもう孫できたら全面的にただただ甘やかすと決めているのでそうします
      いつになることやら
      2022/11/01
  • 子育て中の母親なので

    読んでいて
    そうなんだよねーと共感できるところも多々。

    そして痛いところつくなーと
    感じるところもありました


    いろんな人がいて、
    いろんな母親がいて
    子育てに正解なんてない

    もっと肩の力を抜いていいんだと
    思わせてもらったり
    もっと子どものこと受け止めてあげないとと
    反省したり

    読んでいろいろ考えさせられる作品でした。


    最終的に何かが明確に変わっていったり
    変化していくような話ではないけど
    それがより子育てに正解なんてないってことを
    示してるのかなと感じました


    自分を見つめ直すために
    たまに読み返すといいかもしれないです


    主人公のような考え方は
    とても好きで、
    でもとても厳しい。

    妹の気持ちも、彼氏の気持ちも
    少しわかるなーと思いました

  • 寺地はるなさんの小説には、読んでいて快哉を叫びたくなるセリフが必ずある。
    この本では主人公の椿が静原に言い放った
    「わたしは、静原くんがうらやましいよ。さっきから完全に他人事じゃない。(中略)当事者にならなければ、責任もとらなくて済むもんね。よかったね、おしあわせにね」
    が白眉。読みながら心で「やったあ!」と叫んだね私は。

    ワンオペ育児のお母さんたちを最も追い詰めているのは、身近な人からのジャッジ、中でも本来なら当事者であるはずの夫からの、自らを当事者ではなく支援者と思い込み、その実傍観者に転じた夫からのジャッジなんだよ、という事がもっと広く知られて欲しいものです。

    それにしてもこの椿さんはかっこいい女性だと思う。
    ノリの悪さにかけては筋金入り。優しいんだけど他人への関心が薄い(ワイドショー的興味がない)。他人の失敗を眺めて自分の方がマシだと安心するのが浅ましい行為だと知っている。子どもに対しても誠実である。

    こういう人に、私もなりたい。

    女性の方はもちろん、男性にこそ読んで欲しいのですが、「これ読んで反省しろ!」と言いたくなるようなタイプの男に限って、読んでも自分のことだって気づかないんだろうなぁ。

  • 寺地はるなさん3冊目。
    出奔した妹の息子 朔と二人暮らしをすることになった椿。
    正解のない子育てに悪戦苦闘するなか、確実に芽生える甥っ子への愛情。周りから哀れみの目を向けられても、スペアだと分かっていても、自分にできることは何かを考え、懸命に子育てする椿がとてもかっこいい。

    同僚の穂積との会話の中で、椿が発した
    「…ずれてる、っていうのは穂積が、標準モデルがいると仮定してるからでしょ。でもほんとは、いないんだよ。そんなのどこにも」の言葉。生きていると頭で分かっていても周りと比較して一喜一憂してしまいがち。こうして読書する中で再確認したり、意識的に思い出さないと、すぐに相対比較の穴にはまってしまうのでここでまた再確認できて良かった。

    また、静原の嫁のヒステリーを見た時に、
    "他人の失敗を眺めて「わたしはあんなんじゃないから」と優越感にひたろうとするのは、あさましい行為だ"と素直に認められる椿の誠実さが素晴らしい。これも自分を勇気づけるための相対比較で、プラスに考えてる時はマイナスの時以上に自分の思考を客観視できていない場合が多い。日々修行だな…。

    最後に、鈴菜との会話の中で、
    "生きている限り、人は誰かを傷つける。わたしもたくさん傷つけてきたんだろう。…。それでもわたしは、傷つけないように、傷つかないように、なるべく他人とかかわるまいなどとはけっして思わない。鈴菜や朔にもそんなふうに思ってほしくない。"と椿は考える。
    本当にその通りだなと思う。傷つき、傷つけられて、一人の方が楽だと思う時もたくさんあって、それでも人は一人では生きていけないから、人と関わる時はなるべく互いが気持ちよく過ごせるように思い遣りを持って接していきたいなと改めて思う。

    他にも、椿と父、高雄、穂積、静原、鈴菜、それぞれとの関係の中に、椿の人柄がよく見える。論理的思考と愛情を併せ持つ椿のキャラクターがとても素敵。

    心温まる作品です。気になった方はぜひ。

  • 出奔した妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。
    勉強が苦手で内にこもりがちな、決して“育てやすく”はない朔との生活の中で、
    椿は彼を無意識に他の子どもと比べていることに気づく。
    それは、大人としてやってもいいことなのだろうか―。
    大人が言う「良い子」って、何?


    シングルマザーの妹・鈴菜が置き去りにしていった甥・朔を育てている椿。
    朔は勉強が苦手で、他の子と関わるのも苦手。
    集団に馴染めず、協調性がないのだ。
    いわなる、ちょっと難しい子である。
    きっと、少しマイペースでスローペースなのだと思った。
    そんな朔に手を焼きながらも、世間一般の人か求める
    「良い子」の型を求めまいと悪戦苦闘する。

    寺地さんの本にはまいっちゃう。
    どうして、こうも心を抉るのだろう…。
    私の心の中にもある、あんなこと、こんなこと、
    自分自身で気付かなかったり、見ないふりをしてたり…。
    そんな埋もれてしまっている感情を掬い上げてくる。
    読んでる間中、泣きそうで。
    胸が締め付けられていた。揺れ動いていた。

    「どうして、ちゃんとできないの?他の子みたいに」
    ついつい思ってしまう事、ついつい言ってしまいそうな事、
    昔、自分が言われていたかもしれない事、
    誰にとっても良い子なんていない。
    願う事は沢山あるけれど、ただこの世界を生き延びて欲しい。
    ただそれだけ。
    椿の頑張り、考え方、悩みながらも自分なりの答えを見つけて、
    前に進んでいく。
    椿の芯のぶれない、正直な生き方
    その姿が素晴らしかったです。
    あんなに自分を思ってくれている椿がいても、
    自分を置き去りにしていったママを求める朔。
    朔も小さな胸に沢山の辛い思いを抱えているのはわかるけど、
    椿の事を思うと切なかった。やっぱりママがいいんだなぁ。
    母って凄いなぁ。

    はーーっ。今作も心の琴線に響く言葉が沢山溢れていた。
    わかっている!わかってるけどやられちゃいました。

  • 図書館で面陳されていた本。
    「回収し損なったブロックを夜中に踏んで、忍者がまきびしを撒いていったのかと思った」とか、「パニクった時に、しまったしまった島倉千代子を最悪のタイミングで思い出す」ところ、「真っ黒に汚れた上靴に、ナイル川でも渡ってきたのか」などと、そのユーモアたっぷりの言い回しがたまらない。
    破天荒な妹の子供を、母ではなくあくまで「伯母さん」として葛藤しながらもぶれない子育てに奮闘する主人公、椿。
    姉と妹の複雑な心情もしっかり描かれている。
    すっきりきっぱり解決しない物事とうまく付き合っていく、生きていくってそういうこと。
    やっぱり、この一言に凝縮されてるかな。
    好きな作家さんが増えました。

  • 「ねぇ、良い子ってなんなんでしょうね。」
    妹が生きているのに、甥を育てている椿。私は母親の代用品?不自由なことはいっぱいある。でも、私は不幸じゃない。


    女の子しか育てていないので、『文字で表現しがたい泣き声』とか『「ぼく」から「おれ」への華麗な進化』とか面白かった。

    悩みをパソコンで検索。子育てあるあるだ。
    「一年生、勉強、苦手」
    そして出てきたものが正解なのかまた悩む。
    たぶん子育てに正解はないし、子育ての悩みはいつまでも尽きない。

    「どうしよう」とか「わからない」とか「もういやだ」と叫びながら私は今でも子育てしてる。でも、私も不幸じゃない。

    良い子と思った時にはたくさん「あなたは良い子」と言ってあげればいいんだ。
    子育てについて久しぶりに考えた読書でした。

    • くるたんさん
      けいたん♪
      こんにちは♪
      これはやっぱり自分の子育てを思い出さずにはいられないよね。
      そしてまだまだ子育ては続く…永遠にだね(*´ー`*)
      けいたん♪
      こんにちは♪
      これはやっぱり自分の子育てを思い出さずにはいられないよね。
      そしてまだまだ子育ては続く…永遠にだね(*´ー`*)
      2019/12/13
    • あいさん
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/
      うん、自分の子育てを思い出すね。
      前にも言ったけど、私教育ママゴンだったからね。いい母親では...
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/
      うん、自分の子育てを思い出すね。
      前にも言ったけど、私教育ママゴンだったからね。いい母親ではなかったな。
      子育て終わらないわぁ…本当に永遠だよ(^_^;)
      2019/12/13
  • 大人が言う「良い子」って、何?妹の子を育てる姉の話。実の子じゃない分、このテーマをより際立たせる。

  • たぶん、初めての作家さん。

    あっという間に読めて、とてもよかった!
    わたしの良い子・・・「の」、がいい。

    大人にとっての良い子、世間体での良い子。
    誰とも比べることのない、わたしの良い子、がとてもいい。

    主人公の椿のキャラクターに、ぞっこん惚れた!

    痴漢やパワハラ上司にカツを入れるところ、
    悩める友人に正直に対峙するところ、
    恋人に対する真直ぐな思い、
    なにより、自由奔放な妹を大切に思うところ、
    もちろん、甥っ子の朔を全力で守るところ!
    椿にとっては愛する人は皆、良い子なのだ!

    朔に対して「感謝なんかしなくていい」という、
    母のスペアであることも受け止め、
    ただただ、無償の愛を注ぐ姿に、涙が止まらない。
    ワンオペ育児でたくさんの悩める人がいる。
    子供は、みんなの宝、地域や国の宝。
    大人たち助け合いながら大切に育てるもの。

    くすっと笑えて、スカッとして、暖かい気持ちになれた。
    ほかの本も読んでみたい。

  • 『生きていくって…きっぱり解決しない物事とうまく付き合っていくことなんだろう。』

    主人公である椿は、いつも何かを考えていて、自分が思っているよりずっと真面目。そんな性格だから、妹の勝手な理由で子供を預けられても、責任感を持って育てていくことを決めた。
    でもそうやって突然一緒に過ごすことになった「朔ちゃん」は、ちょっと育てにくい男の子。集団に馴染めず、表現が苦手で、だから何を考えているのかわからない。

    比べたくないと思っていても、周りの子供が優秀に見えて、意識してしまう。

    「隣の芝生は青い」という言葉があるように、ちょっと憧れることがあると、そっちにばかり目がいってしまうもの。

    それをわかっているからこそ、踏みとどまらなければ、と、もやもやする椿。
    本当の親子でないことの難しさと、叱っていいものなのかを迷いながら日々を過ごす。そんな姿に、親ではない自分までも、考えさせられてしまう。

    あることをきっかけに、朔ちゃんを怒った時、我慢していた糸がぷつりと切れてしまったように感じた。きっと後悔するだろうな、と思っていたら、やはり椿は、そんなことをした自分をいつまでも引きずっていた。

    よかったことと同じように、あの時しなければよかったことも、一緒に積み重なってできたものが、人生なのだと思う。振り返ってみると綺麗に見えるけど、ところどころ色が違っていて、色違いばかりが気になって、不安になってしまう。だからときどき、目をそらすことも必要だと思う。

    物語が進むにつれ、椿が、他から見て恵まれた環境にいたことを少しずつ知っていく。
    自分が恵まれていることは、なかなかわからない。でもいつか気づく瞬間があって、そのときにまた、ハッピーがやってくるのだ。

    そして、最後に明かされる、心温まる真実。
    秋の夜長の一冊に、加えてみるのはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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