代理母、はじめました (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 137
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053924

感想・レビュー・書評

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  • この作者の作品は簡単に賛成、反対と言えない重いテーマを「そうなったら、こういう社会になるかもね」と描き出してくれるところが面白い。今回は、代理母。
    いろんな立場の人の意見が盛り込まれていて、なるほどと思うところもあった。
    ストーリーとしては最後がいつも上手く行きすぎなのが気になるけど、テーマが重いだけに、このぐらいの方が読後感がいいのかもしれない。

  • この作家さんの別のお話を読んで面白かったので読んでみた。
    確かにいつもエンディングは明るくまとめる。そこが良かったのだけど、今作に関しては無理がありすぎる。
    近未来(おそらく大地震原発事故があったという設定)を活かし切れてない。中途半端に出てくる幼なじみの美女や老院長は必要だったのか?
    そして私が1番納得が言ってなかったのは「貧乏女が生きてく手段として代理母を選ぶこと」を美談としたこと。今作でももちろん出産に伴うリスクは語られるが、産後の女性の体への負担について多くは語られて居ない。産後はカルシウムも不足し、女性のからだは文
    字通りボロボロになる。骨 、歯も弱くなるし、脱毛もある。現に昔10人も子供を産んでた時代の女性の老化、今と比べものにならない。今の40代はみな若々しいがそれは出生数が少ないからだ。それを母と交代で代理母続けて行きます、と明るく語れるものなんだろうか。からだがボロボロになってもそれでもお金を稼がなければならない、という悲惨な状態なのかもしれないが、私には少なくとも明るく語られることとは思えない。
    最後、ユキの母とミチオの母があの場にいわせたのもあまりにも都合が良すぎて興醒めした

  • 毎度のことながらインパクトあるタイトルだが、読み始めるといきなり、16歳の主人公が義父の指示で高校を中退して代理母をするというさらに衝撃の出だし。

    富士山噴火で首都圏が灰に埋もれ、首都と富裕層は内陸に移転、空飛ぶ無人タクシーがあるなど、大混乱と技術革新の真っ只中にいる近未来の日本は、相変わらず男尊女卑、経済格差が蔓延り、女性は地位が低く、貧しい人は負の連鎖から抜け出せない社会のまま。
    そんな社会の中で、義父に騙された主人公が、代理母ビジネスを始め、仲間や信頼できる医師たちと女性の問題に向き合っていく姿は、少しだけ希望を残してくれる。

    仕事と家庭、子育ての両立で苦労するだけだから結婚したくない女性、出産育児で仕事を離れるとキャリアが断たれるから代理母に頼んで子どもが欲しい女性、独身だけど母になりたい女性、家族から子どもが産めないと一人前と認められない妻、悩みは現代女性と同じく切実だ。
    一方で、お金のために代理母を受ける貧困女性、出産の感動をもう一度味わいたい母など、受ける側の動機も様々で、こんなに女性は様々に悩んでいるのかと目から鱗だ。

    代理母が認められるべきかどうかは正直わからない。
    真剣に子どもが欲しいと悩む夫婦には選択肢の1つとしてあってよいと思うが、犯罪や出産ビジネスのリスクもある。法律で縛りすぎると救えない人がたくさん出るし、個別ケースで判断するには医療現場にはリスクも責任も大きすぎるだろう。

    子どもを育てるのは本当に大変で、自分で産んだかどうか、血が繋がっているかよりも、愛情をもって育てていく覚悟があるかどうか。
    出産とか子育ては自分にとっては当たり前で日常で、代理母について考えたことがなかったので、とても衝撃的だった。

    毎回、社会の課題に斬新に斬り込む垣谷さんの小説は、現実と小説の合間で、自分の価値観を考えさせられる。

  • 垣谷さんの本なので期待して読んだが、近未来のことを想定しているのだろうが、富士山が噴火して東京が灰に覆われ、貧富の差が激しくなり、ついには義父から16歳で初産で代理母までやらされるという読んでて苦しくなる展開。理解不能というか、全くついていけず、読むのが苦痛となり、40ページ過ぎに一度リタイアしたが、改めて読んでみた。こういう世の中にはなってほしくないな。

    国によっては、全く体の仕組みがわかっていないことにハッとした。教育があればこそなんだなと思った。きちんとした代理母ビジネスを立ち上げた二人。意欲的に取り組む2人の姿に面白くなってきたが、代理母のこと日本ではどうすべきがいろいろ考えるきっかけになった。

  • 垣谷美雨さん、大好きだけど、
    設定にリアリティがなかった。
    その割に主人公の感情はリアルで
    なんだかちぐはぐ。
    途中で読むのをやめました。

  • いままで、この作者の作品を何作も読んできてて、この作品は今までとはちょっと違うと思った。以前の作品はユーモアがあり社会の制度の不備を突く作品だったりして読んでいても楽しかった。
    だが、この作品はクールで主人公の状況を考えると苦しくなる。未成年の子供に出産をさせるなんて

  • 柿谷美雨さんのファンでほぼ読破している。新作を楽しみにこの本も読んだが今までのようにスッキリとはいかない難しい問題の本。代理母と子供を授かる夫婦にとってはいい制度であるが少子化問題は本当に難しい。難しい問題に対して、練り上げていく作家の今後の作品が楽しみでもある。

  • 冷やし中華みたいな軽いノリのタイトルだけど内容は重めで、代理母ビジネスについての話。
    最近読んだ川上未映子の『夏物語』は、独身でも子供を産みたい女性が精子バンクを使って出産する話だったけど、本作はさらに未来の話で、自分が高齢とかキャリアの都合で卵子と精子両方の提供を求めているから代理母の需要があるという話だった。
    代理母って、女性起因で不妊な人が夫の精子で子供が欲しいから求めるものであって、独身で代理母出産を求めるなら養子で良い気もするけどなあ。
    何にせよ選択肢が増えるというのは良いことだとは思う。

  • 相変わらず垣谷美雨面白い。
    状況の設定がリアル。
    ジェンダーの話になると、異性は諦めるしかないのか…という気になるけど、希望を持たせる最後でよかった。安直にミチオと恋愛関係にならないのもよし。

    院長の宗旨替えがあまりに極端で、年寄りはそんな簡単に考えを変えないぞ。。と思ったけど、とはいえ変わって欲しい願望もあったので許容範囲。

    ジェンダー村いいなあ。信頼できる人たちで作るコミュニティ。
    世の中が変わらないから、こんな形でボトムアップで変えていくしかないんだろうと思う。
    自分で自分を守って生きていく方法の成功例の一つに見えた。

  • 高校を中退させられ、16歳で代理母をさせられた‥義父のカネ欲しさのために‥

    センセーショナルな内容で始まる。
    冒頭からくじけそうになったが、
    穏やかな表紙デザインを見て、よし大丈夫!読むぞと。

    時代は2040年設定、現在から約20年後。
    時代が逆戻りしたような荒んでいる日本。
    その中で懸命に生きている人々。
    その状況の中、「代理母」というテーマで話は続いて行く。

    それぞれの立場で、子を持ちたいと強く願う気持ちに、共感したり反発感を持ったりとアレコレ考えさせる読了感だった。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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