男の子になりたかった女の子になりたかった女の子 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.25
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本棚登録 : 939
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054273

作品紹介・あらすじ

今や国内外で話題沸騰の松田青子の最新小説集! 苦しい女性の人生をもっと自由にさせる、笑いとパンチが炸裂した12篇を収録。

谷崎潤一郎『細雪』をモチーフにした〝いつまでも身を固めない〟ゼリーが冷蔵庫で女子トークする「ゼリーのエース」/団地に住む年代の異なる二人の女性の人生がゆるやかに重なる「向かい合わせの二つの部屋」/古い女性観を押しつけてくる物語の〝地の文〟に、登場人物の女性が反抗し、ついには〝地の文〟を撃退する「物語」など、著者らしい笑いと風刺の利いた11編を収録予定。

感想・レビュー・書評

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  • ブルマの話が印象的でした。
    私も中学1年生の途中まではブルマだったので、はみパンを気にしていたことを思い出しました。あの当時はブルマが当たり前というか、他に選択肢があるとは思ってもいなかったから、ここまでブルマに対しての憤りはなかったです。
    ただ短パンになったときの安堵感はありました。
    今となってはなんでパンツと同じ形をしたものをはくのが当たり前の時代だったのか不思議です。
    今だったら完全にセクハラと騒がれそう。

  • 独特の世界観
    私にはついていけないものが多々あり。
    深く読み進めると女性の生き方、苦悩?が見えてくるのかな?
    「天使と電子」「向かい合わせの二つの部屋」は読みやすい。
    「許さない日」は共感。
    「物語」「男の子になりたかった女の子」はわかりづらい。
    「誰のものでもない帽子」は中途半端に終わり、後足が悪すぎる。
    あとはあまり…
    私的には、好きではないので、読み終えるのが遅くなりました。

  • どの話もふわっと不思議なんやけど、ストンと心の中に入ってきてめちゃくちゃ好き。
    『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』の意味がわかった瞬間ふぁぁぁ!!っとなった。
    どのお話も終わり方が素敵で、どのお話も前向きになれた。
    新しい世界に踏み出したちょうどこのタイミングでこの本に出会えて良かった。

  • 「物語」
    なんだかすごいものを読んだ。
    これから先この話を何度も読み返したくなるだろうな、という予感がある。
    最後の「物語」に関するシスター・アンナの言葉は胸に刻んでおきたい。
    っていうか毎日復唱したい。

    「物語」に愛想笑いをしない。
    「物語」を押し付けられた場合はちゃんと否定する。

    難しいけどすごく大事なこと。



    「男の子になりたかった女の子になりたかった女の子」
    私も「男の子になりたかった女の子になりたかった女の子」の一人。

    「歳をとったウィノナ・ライダーを見て傷ついたと言った男を男の子になりたかった女の子になりたかった女の子は鼻で笑う。」(p243)
    ここめちゃくちゃ好き。

    女に生まれて生きづらい面は確かにあるけど、別に男になりたいわけじゃない。
    男になりたい女に憧れる。
    男になりたい女の「女の部分」に惹かれる。

    歳を重ねるごとに女って良いなって思う。
    女に生まれて良かったなって。
    自分がどんどんフェミニストに傾いてきてる事は知ってる。
    でもやっぱ女って良いんだよな最高。

  • どれも面白い。
    帽子の話は、赤ちゃんのいる生活がいままで読んだものの中で1番リアルに感じた。

  • 短編集。不思議な世界観で慣れるのに少し時間がかかった。物語が好き。ユニークだった。

  • 男性、女性の不思議な比喩による考え方に頭がついていけませんでした…感覚的に訴えてる?

  • 『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』読了。
    最近ハマっている松田青子さんの短編集。パンチの効いた内容で読んでいるコチラまでもがスカッとする。普段から抱えているモヤモヤしていることをいろんな角度から押し退ける。面白いし、カッコいい。
    これくらい強い気持ちを持っていたら無敵になれるだろうねと思ったりするけどね。以前読んだ『小説版 韓国・フェミニズム・日本』にあった「桑原さんの赤色」をまた読むことができてよかった。復讐の色・赤色のアイシャドウを欲しいけど未だに買っていない。ずっと、真っ赤なアイシャドウを探してる。
    1番最後の「自分で作り上げてきた自分だけの目を信じろ。」でグッときて読み終わった。

    2022.8.30(1回目)

  • タイトルがいいなーと思って。
    でもすごい不思議な世界観。なんだこれ!?

    ジェンダーを紐解くというか、
    お話によってはさらにきつく結んでる?!笑

  • 短編集。


    ・天使と電子
    十年前にもらったバースデーカードから送り主の声が聞こえてくる。
    その当時はわかり会えなかっけど今になったら腰を落ち着けて話し合える。

    ・ゼリーのエース
    いつまでたっても“身を固めない”あるゼリーの女の子の話。
    身を固めるイコールよその家に入りケア労働をすること。

    ・ クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る
    ある派遣の採用試験に関わる女性たち。

    ・桑原さんの赤色
    「女性募集」という求人が意味することは簡単な作業だけ/安い賃金の仕事ということ。
    復讐のための赤いアイシャドウ。

    ・この世で一番退屈な赤
    経血が月替りでオレンジジュースになったり川のせせらぎになったりしたらたしかに退屈はしないと思う。

    ・許さない日
    ブルマはどうやっても下着がはみ出るし、校庭に座ると脚の付け根に石が刺さるし、生理のとき蒸れて不衛生。スポーツウェアとして実用的ではないと思う。
    自分は女子校だったので異性からのからかいはなく校庭は外から見えないようになっていたので変質者も湧かず、ただ不便な運動着だと思っていたけど、長じてから性的に見られるものだと知ってなんともいえない気持ち悪さを感じた。


    ・向かい合わせの二つの部屋
    たまたま向かい合わせの部屋に住む、同じ名前で違う年代の二人の女性。

    ・誰のものでもない帽子
    コロナ禍で経済DVから逃れた母子。

    ・「物語」
    他人から勝手に押し付けられる欲望や社会規範や性的客体化されるおぞましさ。
    登場人物を品評し、見下しながら自分語りをする地の文(おそらく書き手はそこそこ年がいった男性)が、最終的に登場人物たちから追い出される。

    ・斧語り
    持ち主の死後、その孫に譲られた斧。
    薪を割ったりすることはもうないが、それなりにいい気持ちで日々を過ごしているのがのどかで良い。

    ・男の子になりたかった女の子になりたかった女の子
    自分と異なる属性の人間が選んだ「傑作」は8割合わない。
    “男の子になりたかった女の子”になりたかったから男の子になりたいわけではない。男が望む女の子になりたくなかった女の子。

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著者プロフィール

作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。

「2020年 『彼女の体とその他の断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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