夜の道標 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.85
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本棚登録 : 1944
感想 : 198
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055560

感想・レビュー・書評

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  • 自分がまだまだ無知であることを実感。
    読みやすすぎて登場人物1人ひとりの表情と声がびっくりするくらい浮かぶ。だからこそ本当につらい!自分ならどうしてるのかなー。。

  • どんどん引き込まれ、一気に読みました。それぞれの視点から物語が進行していき、終盤に近づくにつれ、その真実に衝撃をうけました。
    犯人である阿久津が、かつてされたことはとても辛いことではあったけれど、果たしてそれは間違いなのか、正しいのか、私には明確な答えがわかりません。阿久津のそれと程度の差はありますが、発達グレーゾーンをかかえた子供を持つ親の立場としては、その親の気持ちも痛いほどわかります。
    我が子と重なり、辛くなるところもありました。

  • 読み終えてどうしてこの題名がついたのだろうとか考えたと同時にもう一度プロローグから読み直し、ああそうかと気がついた。いろいろな登場人物がいるが主人公は2人に集約されていたんだ。二度読みして面白い小説となった。

  • すべてが繋がった最後、泣いた。
    誰が悪いのか、人間の優劣って決められるの、
    阿久津が先生を殺してしまったこと以外何も悪くないと思う。

    優生保護法について

  • 二年前に起きた殺人事件がきっかけで繋がっていく人たち。そこには絶望感や孤独、諦観があってそこから抜け出そうにも抜け出せない現実がある。殺人事件の容疑者と共に生活をしている女性、父親から虐待される小学生。明日どうなるかわからないような日々が静かに、でもたくさんの感情のうねりと共に描かれていく。次第に明らかになる事件の動機と人間の恐ろしさ。終盤にいくにつれなんとかどうにかなってほしいと祈りのような気持ちがどんどん溢れてくる。引き込まれて圧倒された作品。

  • また一気読みしてしまった。芦沢央さん、息つく暇もない物語の展開はさすが。業が深い内容で心が痛い。良かったねえと言えるシーンもあるので救いがあって良かった。

  • Amazonの紹介より
    1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。
    殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。
    それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。
    『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。


    芦沢さんの作品というと、オドロオドロしい、不気味な人物
    といったホラーテイストな雰囲気のある作品が印象的なのですが、今回はホラーは控えめにして、登場人物の心理描写を前面に出している印象があって、ヒューマンミステリーとして真っ向から勝負しているという感覚がありました。

    なぜ塾講師は殺されたのか?犯人は分かっているのですが、行方不明。登場する人物は、犯人と何かしらの接点があり、どう関わっていくのか。群像劇として、それぞれの立場から、発生していく出来事に対する心情が垣間見えていきます。

    みんなに共通しているのは、「罪」によって心に寂しさを抱えています。孤独や贖罪などその人達の心理描写が、過去を知ることによって胸を打たれるものがありました。特に小学生達の心の叫びが印象深かったです。

    小学生としては、あまりに重いものを背負わされるのですが、犯人と関わることで、心の成長や相手を想う気持ちなどが垣間見えてくるので、良い大人へと歩んで欲しいと思いました。
    他にも犯人を匿う女の心の寂しさ・叫びといった心理描写も哀愁が漂って印象的でした。
    「罪」を犯すことはいけないこだととはわかっているのですが、それぞれが犯した人の背景を知ってしまうと複雑な心境になってしまい、ただただ明るい方向へ行ってくれと祈るばかりでした。

    事件の真相としては、なぜ塾講師を殺したのか?がポイントになっています。
    なぜ1996年という設定にしたのか?その真相を聞くと、なるほど、だからこの時代にしたのかという納得がありました。と同時に犯人が抱える陰の部分が何とも言えない哀しみがあって、言葉を失ってしまいました。

    犯人の悲劇的な部分とは裏腹に小学生のパートでは、明るい話へと変化していくので、それだけでも心が救われました。
    続きが気になる人のパートもありましたが、しっかりと罪を償って、自分自身と向きあって欲しいなと思いました。

  • 読み始めてこの登場人物たちがどのようにつながっていくのか楽しみながら読みました。むごいことをする父親、根気よく犯人をつきとめる刑事、なぜ殺人を犯してしまったのか犯人心理、いろいろな交錯をくりかえしそしてラストへの流れ。謎が謎を呼ぶてに汗にぎるスリル感だんだんとわかって行くつながり。あなたも考えてください。スリルを味わってください。

  • 親から当たり屋をやらされて命の危険にさらされ痛い思いをして転校ばかりさせられ、友達との本当の友情を築けなかった波瑠。その事実を知った桜介との友情はずっと続いてほしい。波瑠には明るい未来が待っていますように。

  • それぞれの登場人物に今後一瞬でもいいから穏やかな時が訪れて欲しいと思って本を閉じました。
    波瑠の父親にも。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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