連鎖 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.63
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本棚登録 : 416
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055942

作品紹介・あらすじ

食品会社の社長・篠原の遺体が高速道路の非常駐車帯で見つかった。手形が不渡りになり、自殺の恐れがあると、妻からの捜索願を受理していた大阪・京橋署の上坂と磯野は、自殺とみて捜査を始める。篠原をめぐる人間関係、巨額の保険金、そして手形の行方……絡まりもつれ合う糸をほぐすような調査から見えてくる真相、その連鎖から浮かび上がる複数の事件は。

感想・レビュー・書評

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  • 食品卸会社を経営している夫が失踪したと妻が警察に来ることから話は始まる。

    京橋署刑事の上坂勤と礒野次郎が対応する。
    その夫の会社の経営状態や失踪時の行動を調べていると高速道路非常帯に駐車している車内で、遺体が発見される。
    自殺と推定されたが、あまりにも保険金額が大きいうえに不当たり手形に引っかかりを感じ、捜査は進められていく…。
    やがて他にも同様の手口の犯罪が浮かび上がる。

    地道な捜査だが、確実に犯人を追い詰めていくのにページを捲る手が止まらない。

    飽きさせないのは、小太りの通風持ちである上坂がしょうもないことをよく喋っているからなんだと思う。
    時々、ランチや夕食に出てくるメニューに勝手に美味しそうだなぁと思ってみたり…。
    映画の話がまぁ驚くほどに出てくるのである。
    『復習するは我にあり』の緒形拳がめっちゃ巧いんです。小川真由美もねというところや『天国と地獄』がよかった。あれも名作、結末の拘置所の場面、犯人役の山﨑努の金網越しの怒りと慟哭はすごかったなどと2人の会話も楽しませてくれるので、固〜い警察小説なのにふっと笑ってしまう。
    もともと今どきこんな言葉使うか⁇というようなベッタベタの大阪弁?である。

    そんな映画の件などを挟みこみながらきっちりと捜査を進めて解決する。
    重たくて複雑な事件が、そう思えなかったのは、このコンビのしゃべくりマジックにかかったからなのか。


  • いつものように軽妙な関西弁のやり取りの刑事コンビ。
    悪い奴らのお決まりの台詞。
    滑るように読み進める至福の読書。
    圧巻の大団円、こういうのが良いんだよと余韻に浸る。


    作品紹介・あらすじ
    食品会社の社長・篠原の遺体が高速道路の非常駐車帯で見つかった。手形が不渡りになり、自殺の恐れがあると、妻からの捜索願を受理していた大阪・京橋署の上坂と磯野は、自殺とみて捜査を始める。篠原をめぐる人間関係、巨額の保険金、そして手形の行方……絡まりもつれ合う糸をほぐすような調査から見えてくる真相、その連鎖から浮かび上がる複数の事件は。

  • とても面白かった。スピード感があるようには感じないけど微に入り細に入り書かれていて、上坂たちのやり取りもテンポが良いのでダレることがない。
    上司や同僚たちのグチを言いつつもそれぞれが自然体に仕事をこなしているところはプロだなと感じた。
    登場人物が大から小まで一癖あって思わずクスッとしてしまうのが関西ならではなのかと思った。
    それにしても真須美は恐ろしいし、モデルになってるのはあの事件の犯人かなと嫌でも思ってしまう。

  • やっぱり大阪の刑事さんが走り回って、麻雀も焼肉も行って、なんかクソやろうを追いかけて、標準語やったらこんなにほっこりせーへんわな。後妻業も登場するし、まだまだ大阪府警のデカさんたち、がんばってや。

  • 安定の黒川作品。テンポが良く読みやすい。リアリティがあり、捜査に参加しているような気持ちになる。

  • 面白い!大阪を舞台にある失踪事件から大きな犯罪が炙り出されていく。その模様を2人の刑事が追っていく。ただこれだなのに何でここまで面白いのだろうか。黒川さん得意の大阪弁によるユーモアたっぷりの掛け合いをとことんリアルを追求した捜査の描写がとにかく読ませるのだ。冗長的と捉える人も多いだろうが自分としてはストライク。発生した事件が陰惨で重たいのにも関わらず軽やかな読後感が得られるもの大好きだ。600ページ近い小説のラストである刑事が語るシーンはまさにこの物語にピッタリなコメント。ずばり読まれたし。

  • 簿記の勉強を始めたのが役に立った。手形の話が最初に出てくる。振り出し、割引などの用語が「やった、やった」と思える。
    大阪出身なので、場所の描写がよく分かる。なじみのある地名が出てきて、楽しい。また刑事さんの符牒のような言い回しが通ぶって自分も語れるように感じて、ちょっとわくわくしてしまう。

    ただ推理小説、を期待しているとがっかり感が出ると思う。
    どちらかというとこれは事件の裏取りの話なのだ。刑事さんが凄く難解な推理をするわけではなく、地道な捜査をしてそこから出てくる推論の裏取りをして、固めていく。令状が取れるくらいの確実性が出るように調べていく。天才肌の探偵も全てを見透かしたような刑事さんもいない。
    バツイチの刑事さんと糖尿に半分足を突っ込んでいる刑事さんが麻雀と映画ネタと外食のメニューで掛け合い漫才をしながら移動して、人に話を聞き、事件の周囲にいる人物の行動の確証を固めていく。
    エンターテインメントのような面白さは、あまりないけれど、本当の刑事さんは多分こんな感じで(いやもっと面白くないようなことを)地道に捜査をしているんじゃないかな、と思った。

    最後の仲村の覚醒も、ジロさんが村尾をこいつはシャブ中で無理だな、と思いつつも、本人にはまだ若いからやり直せる、というところも、人間臭さを感じさせる。
    真須美のふてぶてしいようで眠れなくなるところも、白石のような内縁関係であってもお互いに罪を擦り付けるような証言をするところもリアリティがあるように感じる。

    かなり厚い本だが、台詞が多いのでサクサク読めた。

  • 黒川作品にアレルギーあり敬遠していたが、この作品は面白かった。マシンガントークのコロンボ上坂と如何にもなおっちゃんタイプデカの磯野の掛け合いが滅茶苦茶面白く、これでもかと繰り返されるメシと映画&女優話に舌鼓を打ちつつ、闇深い連続殺人と程よく中和した、型破りな刑事もの。事件の構図はオーソドックスだが、軽妙な会話の裏で的確に進められる捜査手法も読み応え十分。アレルギーが軽減したので今後の黒川作品は読んでみたい。

  • 2023/7/25読了。

    話のテンポも良く、事件解決へ少しずつ、でも確実に近づいて行く過程が面白い。

    刑事2人のやりとりも面白い。関西人のノリなのかな。
    上坂が映画について語り出すシーンになると、あ〜また始まった、と読むのを飛ばしたこともあったけれど。

    不勉強なので、サルベージ屋とパクリ屋の意味がよくわからず、調べたりしながら読んだ。
    分厚い本だけれど、眉間に皺を寄せずにサラッと、そして飽きずに読める作品だと思う。



  • おっさん二人のゆるーい会話がいい。
    関西弁って少し苦手意識があるのだけど
    テンポが良いためか、雑学三昧だからか、読んでて楽しい。

    この小説、忘れた頃にまた読みたい。
    最初は分厚さにちょっと怯んだんだけど、2,3日で一気読みだった。
    土地勘があればもっと楽しめただろうな。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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