日本の半導体四〇年: ハイテク技術開発の体験から (中公新書 1055)
- 中央公論新社 (1992年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121010551
作品紹介・あらすじ
20世紀後半の技術の基本的性格は、トランジスタの誕生に始まるエレクトロニクスの数々の技術革新によって決定づけられた。そのハイテクを使いこなす産業の力は、日本を国際摩擦を引き起こすほどのレベルにまで高めた。本書は、見えない、さわれない「固体の中の電子」を、はっきりとしたイメージで捉えて駆使する道をひらき、超集積回路へと展開する歴史を、戦後の日本、世界の中の日本という視点から、個人的体験を交えて語る。
感想・レビュー・書評
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半導体の基礎となる真空管からトランジスタの発明、トランジスタからLSIなど、今の半導体に至るまでの流れが描かれた本。
舞台は戦後直後の日本のため、戦後の混乱期に僅かに伝え聞くトランジスタの情報をもとに、限られた資源の中でこの技術に追いついていく日本の復興の姿も記されている。
残念ながら半導体はもはや日本のお家芸ではなくなってしまったが、かつてお家芸とまで言われた半導体がどのように出来上がり、その裏にどのような苦労、特に日本人の頑張りがあったかが分かる。
まさに科学の現代史であり、技術的な説明も明瞭であるため、必読の書と言える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者はソニーの中央研究所の所長だった人。半導体の歴史を教えてくれます。
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戦後の半導体産業の黎明期からの開発者、しかもどまんなかにいた著者による回想録と展望。ショックレー、キルビー等の超大物の身近な話や、開発に関する私見等含蓄ある内容。自分にとって非常に充実した本。
歴史が浅い?せいもあるのだろうが、詳細な記録が残っているのが半導体工学の良いところだろうか。こういう裏話的話題がごろごろあるのが羨ましい。決して猿真似ではなく、応用も1つの新技術であることに自信を持ってよいのだという視点を得たこともよかった(この点どうも理解が変だったのだが、当事者に説得されたような気分になり、日本人としても自信を持っていればよいと)。 -
半導体の歴史として、1991年に書かれた本。
ダイオードの発見から、IC回路の発現に至るまで、歴史として全体の流れを記す。
また、本書が書かれた時代背景もあり、日本は世界に誇る素晴らしい先進的な技術を持つ国として描かれており、特にソニーは世界のソニーとして、とても素晴らしい栄光を約束された最高の企業として書かれている。 -
同姓同名のわれらがきくちさんとは別の人。多分こちらの方のほうが有名なのだろうけど。真空管とかトランジスタとか、その辺の技術(あんまり詳しくないんでこんな書き方しかできず)の発展の歴史と、著者自身の研究の歴史が振り返ってある。もちろん前者も読んで勉強になるわけだけど、後者も面白い。著者は大学を出てから、電気試験所(その後、電総研→現在は産業技術総合研究所)にいたが、ずいぶん経ってからソニーに移る。電総研にいた頃は基礎研究というか、そんな感じだけどソニーに移ってからは完全に技術への応用。でも、国立研究所でも民間企業でもそんなに違わないかなとも思ったり。ソニーには今、高安さんとか茂木さんとかがいるわけなんだが、どんな感じなんだろうな。何度もでてくる鳩山道夫って人は、一郎の甥だそうだ。
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4121010558 221p 1992・1・25 ?