- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121011664
作品紹介・あらすじ
1991年初めから顕著となり、ますます深刻度を増す不況をどう捉えるか。冷戦後の激変する世界にあって成長を旨とする20世紀型工業文明は価値観の転換を迫られ、日本にあっても、かつてその成長の鍵とされた日本型制度・慣行はいまや世界の批判の的となっている。この不況を契機に、日本は公正・共生を目指す成熟化社会へ移行できるであろうか。構造改革と不況対策の兼ね合いのなかで、選択すべき政治の思想が問われている。
感想・レビュー・書評
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バブル崩壊後の日本の不況が深まった1993年に刊行された本です。
かつてエズラ・ヴォーゲルは『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を刊行し、日本の輝かしい経済的成功の秘密を、その独特の経営手法に見いだしました。ところがその後、経済大国日本に対するアメリカの態度は一変し、カレル・ヴァン・ウォルフレンに代表されるリヴィジョニストたちの「ジャパン・バッシング」が加熱して、日本的経営の特殊性と閉鎖性が厳しい批判にさらされるようになります。著者の立場は、この両極端の立場がともに陥っている問題点を指摘し、「公正」の理念に基づく成熟化社会をめざすものだと言えるように思います。
かなり以前から、テレビ番組などで新自由主義的な経済政策を推し進める立場と、持続可能な社会の実現をめざす立場に分かれて激しい議論の応酬がおこなわれているのを目にしており、竹中平蔵と金子勝のテレビ番組での討論を、あたかもプロレスでも見るようなつもりで鑑賞していましたが、それぞれの立場の歴史的経緯についてはほとんど知るところがありませんでした。本書から得た最大の収穫は、反ネオリベ派の系譜の一端に触れることによって、それぞれの立場の拠って立つ歴史的経緯についてもう少し詳しいことを知りたいと考えることでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20年ぶりに読んだが、今一度読み返す価値はあった
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412101166x 211p 1994・1・25 ?