考えることの科学: 推論の認知心理学への招待 (中公新書 1345)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
  • (29)
  • (76)
  • (76)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 1055
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013453

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 認知心理学の中でも特に「考えること」に焦点をあてた教科書的な本。人間がどのように考えているかを理解するための基礎知識がまとまっている。

  • 推理・推論の誤り、思考回路をつまびらかにする学問。それが認知心理学。4枚カード、ペイズの理論、三囚人の問題、ギャブラーの誤り、ヒューリスティックスという曖昧な判断。具体例を用いながら、分かりやすく解説する、入門書、導入的な新書。人間の思考というのは、おもしろい!これが認知心理学の神髄だろう。

  • ベイズの定理とは、ある仮説の正しさに対する“事前確率”と、その仮説のもとでデータが得られる“条件付き確率”とから、逆に、あるデータが得られたもとで仮説の正しさを確率的に求める定理である。

    今、3つの仮説(H1、H2、H3)があったとし、それぞれの仮説の事前確率が、
    P(H1)=3/6、P(H2)=2/6、P(H3)=1/6、であったとする。

    また、各仮説のもとでXという結果が得られる確率(条件つき確率)が、
    P(X|H1)=3/10、P(X|H2)=2/10、P(X|H3)=1/10、であったとする。

    今、Xが得られたときに、仮説H1正しさ(事後確率)を求めると、
    P(H1|X)={P(H1)×P(X|H1)}÷{P(H1)×P(X|H1)+P(H2)×P(X|H2)+P(H3)×P(X|H3)}
    ={3/6×3/10}÷{3/6×3/10)+2/6×2/10+1/6×1/10}
    =9/14
    となる。

    要するに、仮説H1がもともと正しいとする確率(事前確率)とその仮説のもとでXが得られる確率(条件つき確率)を掛け合わせたもの(分子)を、Xが得られる可能性の総和(分母)で割ったものが仮説H1の確からしさ(事後確率)となる。

  • 人間の考え方に含まれる曖昧さ、人間くささが書かれた本。

  • 2010/8/16再読了。

    人間の推論に関する記述的な研究の奥深さを理解。人間の内面や他者、外部との関係を良く考慮しないと人間のモデル化は難しいと感じた。

  • 数学を学ぶと必ず通る道には確率がある。高校や大学で。数学好きな僕だから、確率は面白かった、でも少しだけ苦手だった。その少しだけの理由が、この本の中あった。確率のなかに潜む心理。心の中で隠れて動く統計。それを少々難しく、でもできるだけわかりやすく、そしてちょっと楽しく教えてもらった。認知心理学とかなに?って人な私でも、楽しく読めた。むしろ、知識の少ない私みたいな人にぴったりだったのかも。

  • 論理学、認知心理学の最初の書物としては最適。今でこそ行動経済学その他、この分野の入門書は数多くあるが、平易でありながら、根源的である点で群を抜いていると思う。

  • 福澤一吉氏(『議論のレッスン』)推薦。推論に関する話題を認知心理学的側面からまとめたもの。推論にはどのようなものがあるのか、また推論にはどのような心理学的プロセスが働いているのかなど、議論の構造とダイナミズムを考える上で知っておくべきことが満載されている。

  • 読了日:2009/09/03

  • 本書は、認知心理学の本です。ですが、副題にある通り、入り口としての
    位置づけですので、総評としては読みやすく、面白かったと思います。
    ただし、行動経済経済学を学んでいる方にとっては、既知な情報が多いと
    思います。なぜなら、心理学(認知心理学を含む)と経済学を併せて考えられたのが
    行動経済学ですから。

    内容は、人々は推論を常日頃行っている。しかし、その推論はほとんどが演繹的ではない。
    帰納的考え方によるものである。また、色々な心理的作用によってバイアスがかかる。
    よって論理的でもなく合理的でもない場合が多い。人間はよく間違える。しかし、
    弱い部分を見つめ直し、より洗練された思考法を身に付ける事は可能である。

    本書の中で、統計的思考訓練を受けた学生とそうでない学生では、やはりある問題に
    対する正答率が異なる。まぁ、当たり前ですが要は「勉強しましょう」という事です。
    勉強すれば、論理的思考力が付き間違いを減らせますよと。

    そして、本書のポイントは、

    1.人間は論理的ではない。視覚的なイメージを操作して考える。(イメージさせる)
    2.同型的図式表現(ルーレット表現)
    3.認知的不協和理論

    の3点です。2は、タクシー問題といった論理的には正しい解が、感覚的には
    どうにも納得できないという難問を解くためのツールです。
    (※タクシー問題は、本書を参考にしてください。)

    まぁ、やはりイメージは大切ですね。認知心理学的に証明されたのですから、
    誰かに何かを伝えるときには、なるべくイメージ出来るように伝える。
    そして図式化する。私は、元は建築出身なので図で考える事は好きなのですが、
    そうでない方は、訓練した方がいいかもしれませんね。

全67件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1953年東京生まれ。東京大学文学部卒業。文学博士。現在,東京大学名誉教授,帝京大学中学校・高等学校校長。中央教育審議会教育課程部会委員として学習指導要領の改訂に関わる。専門は教育心理学。認知心理学を基盤にした個別学習支援や授業づくりなどの実践に携わっている。著書に、『考えることの科学』(中公新書)、『学ぶ意欲の心理学』(PHP新書)、『学力低下論争』(ちくま新書)、『学ぶ意欲とスキルを育てる』(小学館)、『「教えて考えさせる授業」を創る アドバンス編』(図書文化社)など。

「2023年 『これからの学力と学習支援 心理学から見た学び』 で使われていた紹介文から引用しています。」

市川伸一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×