市場の声: 政策評価機能発揮のために (中公新書 1454)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014542

作品紹介・あらすじ

戦後最悪の平成不況の下で、政府の政策が信任されず、「市場の声」が重視されている。しかし、つぶさにみると疑問は多い。なぜ政府の政策は信頼されないのか。市場参加者に現実を正確に評価する能力はあるのか。市場の声は市場参加者の考えを正しく伝えているといえるか。エコノミスト、ジャーナリズムに一貫性はあるのか。-バブル崩壊以降の日本経済を振り返り、経済システムの変化のなかでの市場と政府のあるべき関係を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 市場について知りたくて読書。

    学生時代の99年発売の経済政策の視点からの市場論。規制改革を進め、透明性を高めて市場の力を活用することを述べていると読み取る。日本経済がこの後どうなって行くのか考えみると興味深い。

    新自由主義的な風潮が強まり、小さな政府、民間を生かすなどへ進んだ結果、いわゆる格差なるものが問題となる。その反動で、新自由主義は後退し、小さすぎない政府を目指す方向へ軌道修正される。

    しかし、本書以降の大きな変化は、日本の相対的な地位の低下、一人あたりのGDPがランクダウンし始めたのは2000以降、経済がデフレ除隊だと認識されたのも2000年以降、それよりも大きく変化したのは、日本の取り巻く周辺国の関係。北朝鮮の脅威、中国の台頭、さらに、9.11同時多発テロで世界の構図は多く変化している。

    そんな日本の迷走が数字となって現れたのが2000年以降といえる。

    そして、現在、本書でも禁じてとして触れられている調整インフレの政策が進められている。99年当時にはまったくの予想外だと思う。

    小さすぎる政府は、あまりよくないと学習したが、規制改革の必要性は変わっていない。まだまだ、日本の規制で変革したほうがいいものは多く残っていると思う。マスコミ業界の過剰保護、再販制度など。

    この当時には耳にもしなかったグローバル化の流れは、もはや止められないのかもしれないが、21世紀に日本が再び光を取り戻すことができるのかのターニングポイントに今、到達しているのであろうか。

    読書時間:約40分

    本書はバンコクのブックオブワールドで購入しています。

  • 105円購入2011-11-09

  • 佐伯啓思氏の本の中で知った本である。

    テレビのフレーズでよく出てきます。所謂、市場の声。

    経済企画庁、そして、JPモルガンにも在籍していた筆者ならではの分析で結構、面白かったです。

    政府、金融市場、ジャーナリズム、三者のそれぞれの位置でのより責任のある態度が今後ますます求められています。

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著者プロフィール

小塩 隆士(おしお・たかし):1960年京都府生まれ。83年東京大学教養学部卒業。2002年大阪大学博士(国際公共政策)。経済企画庁(現内閣府)等を経て、現在、一橋大学経済研究所特任教授。主な著書に、『高校生のための経済学入門[新版]』(ちくま新書)、『再分配の厚生分析』(日本評論社、日経・経済図書文化賞受賞)、『社会保障の経済学(第4版)』(日本評論社)、『公共経済学』(東洋経済新報社)、『くらしと健康』(岩波書店)、『日本人の健康を社会科学で考える』(日本経済新聞出版)ほか。

「2024年 『経済学の思考軸 効率か公平かのジレンマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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