首相公選を考える: その可能性と問題点 (中公新書 1674)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016744

作品紹介・あらすじ

政治不信の高まりとともに不死鳥のように甦る首相公選論は、国民の関心の一時的消長を超え、日本政治の問題点を知るために格好の素材を提供するものといえる。小泉首相が設けた「懇談会」は三つの制度提案を行ったが、本書は、それらを設計した委員たちの論考を柱とする。政治の現状を見据えた具体的な考察は、日本の統治システムを考えるうえに資するところ大きいだろう。巻末に、報告書全文並びに関係憲法条文を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 小泉政権時にかなり具体的に考えてあっておもしろかった

  • 首相=元首・行政府の首長を兼ねると言うことだが、憲法上の制約があると思いますな

  • ▼「首相公選」と聞くと「大統領制」が頭に浮かぶ人も多いだろう。事実、本書の刊行のキッカケとなった、小泉政権期に開かれた「首相公選を考える懇談会」の報告書においても、「大統領制」が第一に扱われている。
    ▼確かに、解散が容易で海外メディアに言わせれば「回転率の良い」日本の首相職は、任期中は基本的に辞任を迫られることのない大統領制に衣替えした方が、政権も安定し、リーダー・シップも発揮されやすいのではないかと考えられる。
    ▼だが、政権交代の期間が一定となることと政局が安定するかどうかということは全く別物である(例えば、アメリカの議会においても「ねじれ」は存在し得る)。それに、純粋な三権分立ではないものの、イギリス型の議会政治に範をとったのは、他ならぬ連合国軍の中心にいたアメリカ人たちであった。
    ▼「首相公選」は一種の祭典の様な直接選挙であるという点で、投票率の上昇、国民の政治参加を促す狙いもあろう。しかし、そこから当然に私たちが求めているような強いリーダーが生まれるわけではなく、政治変革を望むのならば、自身らが政治、現代社会へのコミットメントを強くしていくことの方が先決であると思われてならない。

  • ディベートのテーマで選ばれていたので手に取りました。
    最近でも大統領制導入の利点を語る人は多く、また短命首相が続いているので話題しなる事があります。
    なんとなく入ってくる情報から、公選はいいのではないかと漫然と思っていたのですが、この本を読んでいるうちにリスクもあると思えてきました。
    まず、首相を安定化させるシステムを作るという事は、愚かな首相が選ばれた際に、辞めされる事が難しくなるという事があります。
    また、現代の日本国民にしっかりとした観点から首相を選べるのかという問題もあります。
    確かに短命政権だと、議論できる政策のスケールも小さくなり、自ずと短期的な視点での政策が増えます。これは、次の世代である若者にとって不利な政策が多いです。
    公選の導入によりそれが解決するのかといわれると、すべての問題が解決するようにも思えません。
    現在は二大政党制移行への過渡期であり、それが問題の一因になっているとも思います。
    なぜなら、政党は変わっても、政策立案を支える官僚制度が以前のままであり、それによって鳩山、菅政権のような、官僚との対立が起こってると考えられます。この官僚との関係を変えないと、政治家や首相を選ぶシステムを変えてもうまくいかないのではないかと考えられます。
    ということで、公選導入とともに、官僚制度の改革も必要だなというのが、これまで読んだ感想です。

  • [ 内容 ]
    政治不信の高まりとともに不死鳥のように甦る首相公選論は、国民の関心の一時的消長を超え、日本政治の問題点を知るために格好の素材を提供するものといえる。
    小泉首相が設けた「懇談会」は三つの制度提案を行ったが、本書は、それらを設計した委員たちの論考を柱とする。
    政治の現状を見据えた具体的な考察は、日本の統治システムを考えるうえに資するところ大きいだろう。
    巻末に、報告書全文並びに関係憲法条文を付す。

    [ 目次 ]
    首相公選制論と現代日本の政治
    国民の国政参加の途をどう広げるか
    首相公選制に関する考察
    議員内閣制の日本的弊害を克服するために
    日本政治の格好の教材
    イスラエルの首相公選制
    「首相公選制を考える懇談会」報告書

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著者プロフィール

京都大学名誉教授

「2021年 『憲法概論Ⅱ 基本権保障』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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