男うた女うた 女性歌人篇 (中公新書 1716)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017161

作品紹介・あらすじ

「女うた」という言葉は、そのルーツを古く『古今和歌集』の序文に求めることができる。「あはれなるやうにて、つよからず」と紀貫之が述べた、柔軟かつ婉曲的な物言いは、時代を経ていっそう洗練され、繊細で複雑な心情を歌うにふさわしい表現形式を生み出した。本書では、記紀・万葉の昔から現代に至る、綺羅星のごとき女流歌人たちの作品と生涯を紹介。千年の時を超えて生き続ける、女うたの伝統をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 万葉から現代の歌人を60人選んで代表歌1首2~3ページで解説している。万葉集から19人、平安時代から19人、鎌倉時代11人、近世以降11人を選んでいる。
    解説は要を得て背景も内容にも技巧にもふれられている。あるとき使われた表現・歌いぶりが後世に受け継がれていく様もよく分かる。また、その時代その時代のなかで女性たちがいかに生き、そして翻弄されたかが伝わって来る。万葉の時代の女性たちは結構悲しい。それでもその中で力強く歌い上げているのだ。29歳の時に70歳の良寛に出会って最後の4年間を共に過ごした貞心尼の和歌にはぐっときた。
     向ひゐて千代も八千代も見てしがな空行く月のこととはずとも

  • 男性歌人には、恋の歌より、仕事がうまくいかなくて「流された」とか、「時の経つのは早いものだ」って歌が多いけれど、女性歌人ではやっぱり恋の歌が多いし、イイ感じ。

  •  馬場あき子「男うた女うた」、女性歌人篇、2003.10発行。 ①年ふればわが黒髪も白川のみづはぐむまで老いにけるかな(桧垣媼・おうな) 熊本、白川のほとりに、今も遊女桧垣の小さな墳墓があるそうです。熊本大学が所在する黒神町の町名は、この歌からのような気がしました。 ②向ひゐて千代も八千代も見てしがな空行く月のこととはずとも(貞心尼) 貞心尼は晩年の良寛に寄り添った歌人。

  • <閲覧スタッフより>
    折口信夫が“たをやめぶり”と評し「女歌」と表現した女性的なうた。万葉集から現代詩歌まで、古今の人びとがうたった詩歌を歌人・馬場あき子が“女性”というキーワードで選り抜いた一冊です。
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    所在番号:新書||911.1||オト
    資料番号:10155588
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著者プロフィール

歌人。日本芸術院会員。昭和女子大学日本文学科卒業。在学中より歌誌『まひる野』に拠り作歌。現在、歌誌『かりん』主宰。朝日歌壇選者。読売文学賞ほか、毎日芸術賞、朝日賞、紫綬褒章、日本芸術院賞など受賞多数。歌集の他に歌論・研究書など多数。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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