こまった人 (中公新書 1819)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018199

感想・レビュー・書評

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  • 面白い話もあった。

  • ものを考へることができれば、振り回されない。悩まない。情報は与えられるものだが、知識は自分で考へたものだ。情報は自分で考えなければ知識にならない。さうでなければ、わかるといふことではない。わかるとは、与へられるものではない。
    どうしてかういふ時世のことを書く気になつたのかわからなかつたが、ぶつぶつ呟ひたことなら仕方ない。よく、じゃあ具体的にどうすればよいのかと答へを求めるひとがゐるが、答へをひとから与へられた時点でひとは考へなくなる。規則の話があつたが、なんでもかんでも規則で決めることを否定はしないが、考へなくなるのは間違ひない。さういふ点で、社会といふものが養鶏場化してゐるのだと思ふ。
    ひとは生まれながらに様々な菌や生物とともに生きていゐる。腸には無数の菌がおり、顔には無数のダニが生活してゐる。そも細胞にはミトコンドリアとかいふ別遺伝子の存在が無数に生活を共にしてゐる。口にはたくさんの菌がバランスをとりながら生きてゐる。脳化が進めば進むほど、かうした存在は邪魔なものとして排除されていくのだらうか。
    いつだつたか、子どもが学校の体育館で並んでゐた時に前にゐる子どもの頭をはさみで刺したとか。ゲームではそれで相手は倒れるかもしれないが、そんな簡単に頭蓋骨が壊れるものですか。生命を頭の中のものだと思つてゐるおごりに他ならない。少し想像すればわかることだ。殺意といふよりも、生命に対するさういふ安易さの方がよほど恐ろしい。
    ああすれば、かうなるといふのはなんといふおごりか。管理できないから危機なのである。ひとは危機に対して、時間が過ぎるのを待つしかできない。人事を尽くしても、天命は待つしかない。

  • ・3/21 読了.この人が外交や戦争の話題を語るのは意外のような気がするけどどんな考えなのか興味があって楽しみ.養老さんにどこか信頼を置いてるとこがあるんだろうな.

  • おもしろいけど、ぼやき口調が続くためか、この量は多く感じた。でも、近所にこうしてぼやくおじいさんがいそうで、そんな気持ちでのんびり楽しく読んだ。

  • なぜ養老孟司は本を書くのか??
    いつも通り彼は独自の意見を述べて面白かったけど、ふとなんで彼は本を書くのかという疑問にいきついた。彼の性格・年齢・趣味など考えれば本を書く必要は一切ないのにたくさんの本を書いてる。年寄りは話し相手がほしいからか、どこかで社会とかかわっていたいのか、よくわからないけどちょっと疑問になった。まぁ、今回の本も結局、オレはどうでもいいけどちょっと自分で自分で考えて生きてみたらってことを言ってました。以上。終わり。

  • 私にとってはこの解剖学者こそ「こまった人」としか思えませんでした。自分でも「政治嫌い」の項で「世間からすれば、どこかの無責任なジジイが勝手なことをホザいているだけ」と語っていますが、全くその通りです。政治オンチだと繰り返し言っているが、もしそうなら「『黙っとれ』、自分の専門外に口出しするな」という心境です。この人が爆発的なブームを起こした著者だということに日本の底の浅さを感じました。右翼でも左翼でもないというとおりでしょうが、あまりにもスタンスがいい加減すぎます。小泉首相の靖国参拝問題なども触れているのですが、正直に言ってこの人が書いている文章は脈絡がなく、話し言葉のように飛躍するし、解りづら過ぎるように思います。これも自分で中に書いているように誰かに原稿起しをさせたことによるものなのでしょうか?

  • 彼は変人である。

    彼の書いた文章を読むとき、先ずこのことを頭に入れておかなければならない。

    しかし、変人のくせにイイことを言う。

    そこが彼の魅力である。

    彼から教えられるのは、「自分で考え、自分で納得すること」の重要性である。

    常識に対して常に疑問を持ち続ける態度である。

    変人だからといって、見くびってはいけない。

    (^o^)丿

  • ブックオフで中古で手に入れたので、内容としては2000年代半ばぐらい、小泉さんが首相をやってる頃かな?
    という印象はありますが、養老さんの独自の世界観が面白く、
    かつ、自分はそんなに肩肘張らなくて生きてよい。という気持ちにさせてくれる感じでした。★

  • いつもの養老節。軽く読み流す。
    基本愚痴っぽい。まぁ、そこがいいんだけど。

  • 2003年から2005年まで、中央公論に連載していた時評。
    同じく新書になっていた、「まともな人」の続編である。
    相変わらずの”養老節”が炸裂していて、痛快である。

    彼の口癖は、「わかるひとには、わかっているのである。」だ。
    このころ問題となっていた、イラク派兵や、靖国、ニートの問題などを、
    いわゆる一般的な物の見方とは少し違った角度から取り上げている。

    彼は戦中派なので、決して浮世離れした学者の意見というわけではない。
    私たちの「ああすればこうなる」という、一見論理的な思考スタイルが、
    実は、問題をうみだしている原因だということを教えてくれている。

    明日なんて所詮予測できないんだから、無理やり導いた
    「ああすれば、こうなる」思考に振り回されてはいかんな、と感じた。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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