移民の経済学-雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか (中公新書 2575)
- 中央公論新社 (2020年1月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025753
作品紹介・あらすじ
移民が増えると私たちの生活はどう変わるか。雇用や賃金、経済成長や物価、貿易、税と社会保障、治安・文化まで経済学の視点で分析。
感想・レビュー・書評
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移民問題を経済学的な視点から考察した本。
移民を受け入れることで犯罪率が上がるデータはない。
結論が曖昧ではあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
背ラベル:334.4-ト
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移民が増えると、私たちの生活にどのような影響があるのか。雇用や賃金から、経済成長、物価、貿易、税と社会保障、治安・文化まで、経済学の研究成果をもとに分析することで、移民がもたらす「損」と「得」を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40288742 -
日本の場合は同化主義に賛成な人がどちらかと言うと移民に肯定的という研究が個人的な感覚とかなり乖離していて興味深かった。この国では多文化主義が殆ど無感心と同義でネガティブに響くのだろうか。同質性を重んじる国民性こらして、たとえ移民が増えたとしても、この国の将来の形として「多文化共生」が生じることはなさそうだと感じざるを得ない。
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【印象に残った話】
・移民が職業、賃金、予算や文化的同化に及ぼす影響についての学術論文を確認すると、以下のことが言える
・職業の面では、後進国で単純労働に就いていた人でも、先進国に移住し頭脳労働に転身することも可能となる
・賃金の面では、流出した移民からの送金が、本国に残された住民に還流して豊かになる
・予算の面では、優秀な人材を国外輩出するために本国の学校への投資が活性化する
・文化の面では、家族が分散することで、移住先から本国へ、技術とイノベーションの国際移転がよりスムーズになる
【アクションプラン】
・移民のマイナス面を考える -
図書館で借りた。
著者は海外で経済学を学んだようで、元データも理論もしっかりしてる印象。その辺の日本の経済評論家よりよっぽど信頼できる。
移民を受け入れたら、国内の雇用にどんな影響があるのか、賃金はどうなるのかなど、詳しく知ることができる。 -
結局なにが言いたいんだ…となってしまって頭に入ってきにくい。話題や観点は面白いのだけど。
あと因果関係について疑問に感じる点がいくつかあった。 -
移民の是非を考える時に争点となるいくつかのポイントについて、経済学の観点から考える本。特に面白かったポイントをいくつか。
・移民を受け入れると雇用環境は悪化するか?→移民と"競合"しない人は賃金が下がらない。
・移民が子育てや介護サービスにおける人手不足を補い、日本女性の社会進出を促進するか?→そうしたサービス料を支払う余裕のある高賃金の人はその料金をペイできるほどに生産性のある仕事ができるため、女性活躍は促進される。
⇒少子高齢化が進み労働人口が減少するなかで、移民を受け入れることによるマンパワーが必要なのでは?と思うことがあるが、受け入れた場合移民と"競合"してしまう国民にとっては厳しい展開が待ち受けているのかもしれない。移民のマンパワーに取って代わられないほどに高技能、高学歴、高レベルの資格等、高いスキルがある人にとっては寧ろ良いが、取って代わられる可能性のある人にとっては自分のポジションを脅かすこととなる。そうなると今まで以上に日本人同士の間の格差が拡大する可能性はあるのかもしれない。
また、本書では触れられていなかったが、日本は将来的に「移住したい国」で在り続けることができるのだろうか。「安全で住みよい国」として選ばれることはあったとしても、「稼げる国」として選ばれるだろうか。中国やシンガポール等、わざわざ海を渡らなくても賃金が上昇傾向にある国が他にあって、平均賃金の上がらない日本に移民はやってくるだろうか。…というそもそも論を考えてしまった。 -
いろんな視点から移民政策について議論がされていたので、この本を読めば広い視野を持って移民政策について議論ができるようになると思います。あまり経済学の知識を必要とするところが少なかったので、あくまで移民政策についての視野を広げるために読む本だと思います。