アジアの国民感情-データが明かす人々の対外認識 (中公新書 2607)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026071

作品紹介・あらすじ

政治体制や文化が異なるアジア各国は、歴史問題や経済競争も絡み近隣諸国への思いは複雑だ。本書は、10年以上にわたる日中韓・台湾・香港・東南アジア諸国などへの初の継続調査から、国民の他国への感情・心理をデータから明らかにする。台頭中国への意識、日本への感情、米中関係への思い、ASEAN間での稀薄な気持ち、日韓に限らず隣国への敵対意識など様々な事実を提示。新しい視点とデータから国際関係を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 予想通りの傾向をほぼ学生のみのデータで導いた本。
    正直4分の1を残して読むのを辞めました。
    また、気が向けば読み直してみたいと思うが、その頃にはデータが古くなっているだろう。

  • 東南アジアは日本への好感度が高いが社会的結合は高くない(知り合いは少ない)。中韓はその真逆。

    もっと人と人の交流が必要なんだろうなと感じた。東南アジアとも、中韓とも。

    アジア各国の中国への国民感情については、それぞれ思惑が違っていて面白かった。

    データの提示や解釈にとどまっていて、考察がもう少し欲しかった。

  • 対中認識

    ✖️香港台湾ベトナムフィリピン(南沙諸島)
    ▲日本韓国
    ○ネシア、シンガポール、マレーシア、タイ

    ベトナムの対外認識
    日本シンガポール韓国アメリカ   中国

    中国に強い警戒感、西欧を手本ドイモイ政策
    海洋問題


    フィリピン

    日本シンガポール韓国    アメリカ  中国
    アメリカとの結合の強さ、感情の二重性
    かつてクラークをもっていたが撤退

    タイ
    日本韓国中国
    金融危機、リーマンでのアメリカへの反発、中国への信頼
    アメリカによる軍事政権への圧力


    マレーシア
    日本オーストラリアシンガポール韓国中国
    イスラムの国であるが故にアメリカとは一定の距離
    シンガポール
    日本オーストラリア韓国台湾
    北朝鮮とも国交、全方位外交することでアジアのハブの位置を確保、外交の中心


    インドネシア
    日本シンガポール韓国オーストラリア中国
    中国への肯定的な評価と警戒感が入り混じる
    華人が経済を牛耳った、ムスリムにとって華人は警戒すべき対象



    韓国
    アメリカベトナムオーストラリア    日本中国

    中国
    ロシアシンガポール   日本韓国    アメリカ

    台湾
    日本オーストラリアアメリカ     中国

    香港
    日本台湾シンガポール     中国

  • 日本とアジア諸国ではなく、アジア諸国同士の国民感情は今まで気にしたことがなかった。新鮮な観点で興味深い。

  • なかなか面白かった。
    しばしば、日本礼賛・特定アジアと韓国・中国・北朝鮮を嫌う日本人も多いが、彼らが言うように他のアジアから日本の好感度は高いことが分かった。

    マレーシアとインドネシア、ベトナムと中国、日本と韓国とどうも隣国はなかなか仲良く行かないみたいらしい。
    (シンガポールが別格なだけか)

  • 以前より何となく抱いていたイメージがデータで説明されていた。
    米中対立の先鋭化が進む中、今後このようなデータが継続的に分析されていくと一層興味深いものになるのではないか?と思った。

  • 面白かった。
    アジア諸国の相互感情とアメリカに対する思いが平易に書かれていた。
    日本に対する好感は結構意外。

  •  主に、2007-08年、2013-14年、2018-19年の3回にわたり東・東南アジア各国・地域トップ大学の学生に対し行った調査のデータを使用。前2回の調査データを使った『連携と離反の東アジア』での著者論文の発展版のようなものだ。
     日越が複数の質問で中国に否定的な傾向はまあ予想どおり。一方、泰馬星印尼では中国の影響は肯定的に評価。興味深いのが韓国・台湾・香港で、個人レベルでは中国の(経済的)台頭をチャンスと見ることと中国の影響への肯定的評価との相関性はあるも、それぞれの国・地域全体では中国の影響への否定的評価が増加傾向で、中国の台頭にも懐疑的傾向なのだ。中国との間に軍事的衝突が発生した時に米の軍事介入を望む者の率は、韓国では日本より高い。
     また、ASEANによる地域統合とよく言われるが、ASEAN各国の調査結果を見ると、域内他国に対して相手の影響を肯定的に見たり、留学や就職したいと考えたりする者は多くない。高い評価は英米豪や日星に対してだ。各国の学生が先進国志向なのは当然だろうな、と思う一方で、ではどうやってASEANへの帰属意識を持てるのだろうか。
     本書には非常に多くのデータがあり、個別論点では傾向もあるにはあるが、一般化できる結論が得られるわけでもない。そもそも、トップ大学の学生なので、どこまで一般大衆と一致しているのか。他国への感情に影響する要因について、素人的によく言われるソフトパワー仮説や接触仮説も含め5つの仮説が挙げられているが、全ての場合を説明できる仮説はない。同質的な隣国同士(日韓、中越、馬と印尼、中比)は互いに相手を低く評価する、ぐらいは言えるが。また、大半の国では米中をゼロサムで見ていない(日本ですら米中ゼロサム視傾向は韓国ほどではない)。軽々に一般化できない、ということが本書の結論だろうか。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2607/K

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授

「2023年 『ウズベク移民と日本社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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